朝日新聞の誤報問題が世間で大きな問題になっていますね。

そして、その誤報への対応の悪さを池上彰氏がコラムに書いたところ、掲載拒否・・・。

これは新聞社としてどうとかいうよりも、社会組織として末期症状に陥っており、それはまさにシェイクスピアの『リア王』であると私は断言します。

 

シャープの記事でも書いたのですが、都合のよい甘言以外を聞き入れず、当たり前の苦言すら排除することが常態化した組織はいずれ滅びます。今回の件でいうと、池上氏は真心で苦言を呈すコーディリアです。

 

名作文学は現代では理解しずらい特別難しいことを言っているわけではなく、今でも十二分に通ずる、至る所で表出する当たり前とも言える事象を鋭く抉り出しています。それが私の思う予言力です。よくいうところでは普遍性です。

 

私の周りには、シェークスピアは「よくわからない、おもしろくない」と言う方もいますが、私はそう言った方たちにこういう読み方をすると面白いという紹介をしたいと思っています。

 

なぜ朝日新聞がこんな暴挙ともいえるようなことを平気でしてしまうのか。それはすべて『リア王』に書いてあります

甘言しか受け入れないのですから、甘言しか言わないゴネリルやリーガンしか出世しません。本当に組織のことを考え正しい判断の出来る真心のコーディリアは会社の重役には一人もいないのです。今回、池上氏が朝日新聞に勝利出来たのは、絶大な知名度を持ち、世間から支持を受ける実力者だったからに他なりません。でなければ『坊っちゃん』のように敗退が待っているだけです。

 

発表から何百年とたった現代でも、世の常であり続ける『リア王』には舌を巻くばかりです。数百年後のこんな遠く離れた国の一つの事件にもその物語の源が流れているのです。

 

今回、原作と違うのは、結末でリアはコーディリアとともに滅びますが、池上氏が朝日新聞と一緒に滅ぶことはないでしょう。それは池上氏が朝日新聞の重役の三女ではなかったからかもしれません(笑)。

しかし、今回どんなに朝日新聞を批判、非難したとしても、シェークスピアが描き出したそれは結局、人間のど真ん中の姿なんだと私は思います。