表題とは関係ありませんが、明日はいよいよギリシャの国民投票です。
前回記事でずいぶんと大胆に覆しをしてしまいましたが、国民がNOを選んでユーロ脱退を選ぶかと言ったら、きっとそうはならないとは思います。が、結果はとても楽しみですね。

 

さて、本題ですが、

トヨタが発行、”元本保証”の新型株は是か非か

こんなニュースが少し前に話題となってました。

 

株と言えば、元本が保証されない物ということは誰もが知っていますが、トヨタの新株は、

5年間売れない代わりに5年後には買った値段でトヨタが買い取ってくれる

というものです。

 

元本保証の株です。まあ、トヨタが潰れてしまえば買い取れないですが、5年後にそんなことが起こるはずもないので、年率1パーセントくらいの配当もあり、非常に人気となっているようですね。

投資をあまりやったことがないという日本人にとっては、いいこと尽くめに映る制度と言うことになるのでしょうね。

 

ただ、専門家の間では是非の判断が難しいということになっているようです。というのも、5年間売れないということで、株主としての機能が働かない可能性があると言うのです。

 

株式会社で、一番偉いのは社長ではなく、実は株主です。株主は本来であれば会社の価値が下がっては自分が損失を蒙りますから、その会社のために一生懸命考えます。その会社の成長を信じて私財を投げ打ってるわけです。
最近ですと、大塚家具騒動の件がありましたが、まだ結果は分からないものの、私は株主が大塚家具を救ったのではないかと考えています。社長の独善にNOを唱えるという株主にしか出来ない大義を果たしたような気がしています。

なぜそんなことが出来たのか、それは大塚家具の先行きに陰りが見えれば、自分たちが損失を蒙るというリスクがあるからです。

ですが、今回のトヨタの新株の元本が保証された株主であれば、どうでしょうか? 大変な思いをして、会社の成長のために物を申すでしょうか? 潰れなければ損をしないのですから、経営陣にとって都合のいい株主になる可能性はだいぶ高いことがわかるでしょう。リスクがないので必死にはならないでしょう。

 

何度も書いてきていますが、会社が衰退に向かうのは、経営陣が会社の成長を蔑ろにし、自分たちの保身を最優先し始めた時です。それはシェークスピアの『リア王』の示唆通りです。そうなってしまった時、経営陣に「NO!」を言えるのは株主だけだと私は思います。

物を言わない株主を増加するこの新株制度がトヨタ衰退の大きな一歩にならないことを祈っていますが、果たしてどうでしょうか?

 

とは言え、今回の制度がもしトヨタ衰退への一歩になったとしても、「盛者必衰」といいますし、いいか悪いかはおいておいて、それはごくごく自然なことなのでしょう。

そういった普遍性を見事に表しているところが『リア王』世界文学の最高峰と言われる所以なのでしょうね。