「VW排ガス事件」について、人類的な問題とし、テクノロジー批判を強めてきたのですが、今度はこの問題を経済的観点からも少し書いてみたいと思いました。

 

いろいろと情報を見ていると、昨今の世界同時株安の隠れた悪材料がこれだったという見解がありましたが、私もそれはそのように思います。「中国の景気減速懸念」や「アメリカの利上げ観測」はずっと前から言われていたことで、いまさらこれを理由に世界の株価が暴落するにはかなり違和感があったといえるでしょう。

確かにフォルクスワーゲンの問題は世界の経済を揺るがしかねない大事件、ということが言えますし、隠れた材料だったのですからね。

 

さて、それとは別に世界が注目していたアメリカの利上げでありますが、FRBは9月の委員会でこれを見送りました。私はこれにも違和感を感じました。このブログで、高い評価とともに紹介しているイエレンが議長になってからというもの、あまり言われてはいませんが、女性らしい丁寧さと的確な判断で、マーケットの信任を得ていたのです。

 

が、今回の判断は明確さを欠いているように感じ、またその後の会見も、まるで三流アナリストと同じような理由付けを語るなど、的確さを欠いていました。だからこそ、いままで聞こえなかったFRB批判がちらほらと聞こえてきていたのです。

リスクを恐れてだらだら、という風に感じられる不透明さを残す延期を説明する様子は彼女らしからぬ姿でした。人の姿がそんなに急に変わることなんてあるんでしょうか? なぜ急に”出来ない人”になってしまったのか・・。

 

で、ここからは想像になってしまうのですが、9月利上げ見送りはイエレンの本意ではなかったのではないでしょうか。その理由はやはりフォルクスワーゲン事件です。アメリカはドイツと中国に制裁を与える意味で、この時期に、これを出してきたようです。

そんな世界を震撼させる悪材料を抱えながら、利上げを断行出来るはずもありません。これがあったから、イエレンは政治的な理由で利上げをできなかった。させてもらえなかった。そう考えるのは自然に感じます。

 

ともすると、それが既に表ざたとなった今、彼女は本意の利上げに速やかに踏み切る可能性があるのではないでしょうか。これまでの彼女の仕事ぶりと、彼女へのマーケットの信任を考慮するならば、そう考える方が妥当ではないでしょうか。

 

日銀は再び金融緩和に踏み切るでしょうし、株は皆が思っているよりもだいぶ早く高値を奪還するのではないでしょうか。また、利上げも行われると私は思うので、年末にはドル円135円なんてこともあるかもしれません。