とうとう108円台!

円高が止まりません! 本日、ドル円が、108円台前半にとうとう突入し、ズルズルとまるで底なし沼の様に落ちていきます。前回までの動きの中では、111円割れで急速に反転することが多く、何らかの買い支えがあることを感じさせましたが、今はそれも皆無です。

誰が買い支えるのかと言うと、証拠はありませんが、やはり政府関係の動きでしょう。アベノミクスが始まって以来、何度か、買い支えを感じる不可解なドル円の動きを経験しましたが、それは100円とか、110円と言う大台の一円上、101円、111円割れで感じることが多かったのです。

名称未設定

2014年のドル円チャートでも、数か月、ぴったりと101円を下限に変な形状になっているのが、見て取れます。これは、政府が100円割れを防ぐために、101円で買い支えをしていた証拠とまでは言えませんが、その可能性をうかがわせるものではないでしょうか。

私が言っているだけではなく、そんな記事も当時多く見られました。

しかし、今回、あるはずの111円での買い支えも全くなく、108円まで下がってきています。

 

前回伝えたとおり、世界合意の可能性

安倍首相が、「為替介入は断固控えなければならない」と言ったと伝わっておりますが、そう言った状況証拠から考えても、前回お伝えした、G20で秘密裏でのドル安誘導への世界合意があった可能性は高いと考えられるのではないでしょうか。

今は、ヘッジファンドは5年振りのかなりの高水準の円買いポジションを取っているそうですし、日本の個人投資家、「ミセス・ワタナベ」も逆張りのドル買いには動いていないそうです。そんな極端に一方へ偏ったポジションのまま、一切反転しないというのは、非常に不自然な状況です。

 

「イエレン先生」もドル安支持

前回のFRBのイエレン議長の証言が、思った以上にハト派だったと言うことで、さらにドル安が加速したわけですが、これも彼女のこれまでの言動からは少し違和感があったと言えるでしょう。イエレン先生にしては、少々、優しすぎます。

当ブログではイエレン議長を、「マーケットに対する優しさと厳しさを持った先生のような存在」と高く評価しているのですが、以前、

「株は高すぎる」

と愛の警鐘を鳴らした水準までNYダウが上昇しているにも関わらず、ハト派な発言で更なる株高を演出すると言うのは違和感があります。これは彼女の意志以外の強いバイアスが働いている可能性は否定できないのではないでしょうか。

「FRBは株を見て利上げを決めている」

そんな揶揄が言われているそうですが、それは彼女らしからぬ姿です。前回伝えておりますが、以前の彼女の発言から、FRBは本当はドル安なんて望んではいないのではないでしょか。なぜなら、ドル安はインフレ要因であり、インフレを抑制すること、通貨高を維持することが本来のFRBの使命なのですから。

世界の株式市場は年初からの暴落に見舞われましたが、

「年初からの株式市場の下落で、過度な資産高が修正され、FRBは正直なところ、ほっとしている」

という記事を見かけたことがあります。残念ながら、ソースを見つけられなかったのですが、FRBはこれ以上の株高は本音では望んでいないことの証左と言ってもいいでしょう。今のイエレン議長の言動はやはり、本音とは違う可能性がありそうです。

FRBが、それでもドル安を志向しなければならない理由は、利上げによって新興国から資金が抜け、ドルに集まることによって、世界経済がおかしくなってしまうという、グローバルな理由が潜んでいそうです。ですから、アメリカが心配するのは、別に「円安」ではないわけです。

それでも、ドルに関係なく、「円高」が激しく進行してしまうわけは、政府が為替を買い支えることが出来なくなったことを投機筋に見透かされ、円買いを仕掛けているからと言うわけですね。

円高が止まるには?

そんな状況の中、円高を止めることは容易ではありません。前述したとおり、政府は秘密裏に今まで何度もドル円を買い支えしていた可能性が高いのです。それが、世界合意で封じされては、どうにもなりません。日銀も無力です。日本経済、日本政府にとって、「いい円安」は残念ながら、もう終了したと言うことでしょう。「円安にするには、アメリカを納得させる形で誘導しなければならない」という経済記事がありましたが、こんなことは不可能です。

日本政府が自分たちのために行う円安誘導はどんなやり方であれ、許されないはずです。

では、もう円安になることはないのか? 円高は再び80円台へ? 外している私ですが(笑)、それはないと思います。なぜなら、さっきも書きましたが、通貨安はインフレ要因であり、経済状況のいいアメリカは油断すると、インフレが加速する恐れがあります。QEによるマネーがこれだけじゃぶじゃぶの状態で、アメリカだって、ドル安をそうそうは受け止められないはずです。

インフレ阻止のため、アメリカはどこかで再びドル高へ舵を切る時が来る、と私は思います。それこそ、円高が阻止される時で、それほど遠い未来ではないのではないでしょうか。日本側からはどうにもできないのです。

 

円安第二幕は?

では、円安は去年の高値の125円で終わったのでしょうか。私にはどうもそうは思えないのです。

「これ以上円安になりそうもない」

黒田総裁がそう発言し、自ら円安を止めてしまったところが、当面の高値になっていますが、為替が動き出したら、中央銀行総裁の発言くらいでは収まらないのが、普通です。今の止まらない円高がいい例です。それが、あの時はあっさりとそこで止まってしまいました。

と言うことは、それはコントロールされた円安、つまりは日本政府にとって、「いい円安」だったと言うことでしょう。それが、終わると今度は止められない円高がやってきた訳です。ですから、更にそれが終わった時、今度は「止まらない円安」がやって来る可能性があるわけです。それは、コントロールできない円安、「悪い円安」と言うことになります。

「悪い円安」なら、アメリカが、世界が容認するもしないもないわけです。いい例はギリシャ問題で下落するユーロです。ドイツはそれで大儲けして、非難を浴びてはいますが、ユーロにとっては悪いことなので、仕方がありませんよね。

そんな「悪い円安」は奇しくも、一瞬、日本経済を救ったかのように見えるかもしれません。しかし、その誘因はやはり日本の財政に関する懸念から始まり、黒田バズーカの出口に絡む国債の暴落という深刻な事態につながる可能性を秘めているものではないでしょうか。

でも、それはまだまだ当分先の未来のことのようです。