UBS「人工知能が貧富の差を広げる」

こんな記事が出てました。当ブログでは、予てから人工知能と言う科学技術への捉え方について、色々と記してきましたが、この記事に書かれている通り、その進化は、私たちの格差を広げることは間違いがないと考えられます。なぜなら、それが、人工知能、科学の本質だからです。

人工知能の存在目的

人工知能は、そもそも何のためにこんなにも、世界各国でせっせと開発がすすめられているのでしょうか? それはお金を効率よく集めるため、ではないでしょうか。企業の最大の目的は利潤の追求なのですから、当然と言えば当然です。人工知能関連の本や記事を読んでいると、「人間に代わって最適な判断を行わせる」という言葉がよく出てきます。

この「最適な」という言葉なのですが、私はここに大きな疑問を感じます。人工知能の開発者たちは一体、何を基準に最適と言っているのでしょうか? 最適は到達する目的を予め一つに定めなければ、判断することが出来ません。目的地がなければ、最適な道は存在しません。どうも、人間の進むべき道は、初めから方向が決まっているのでしょうか? 私はそうは思いませんが、彼らは「最適な」と言う言葉を使う以上、それを初めから決めているようです。

あなたの進むべき道は、人工知能そのもの、もしくはその科学者によって、はじめからその方向を判断されていると言うことです。なんと傲慢な、とは思いませんか。

そして、勝手に定められた目的へ最短で向かう能力ではAIには適わない、だから、AIは人を超える、と。この考えは大いに間違っています。人間の存在目的は、人それぞれです。人間に最適な答えなどあるはずがありません。

「合理性」では人工知能には、もはや適わない

人工知能が追求する最適な答えとは、「合理性」に於いての話です。合理性とは、

目的に対して最大の効果で果たそうとする性質

と当ブログでは何度も主張しています。その合理性では、人間はもはや人工知能には勝てないことが、最近証明されつつあります。囲碁や将棋で名人が敗北を喫したことはその好例なのです。これは「勝つ」と言う目的の最大成就、合理性で人間が敗北を喫したと言うことを表しているです。

 

強いAI、弱いAIってなに?

人工知能に関する考え方で、「強いAI」、「弱いAI」と言うものがあります。強いAIと言うのは、人工知能が人間の意識に相当するものを持ちうると言う考え方です。これに関しては、ウィキペディアにも哲学的な問題として、色々難しげなことが書いてありますが、これは私に言わせれば、人間の持つ、合理性と非合理性という二つの性質に分けて考える方が遥かにシンプルに捉えることが出来ます。

人工知能、ロボットとは、このうちの合理性しか持たない存在なのです。これは、当たり前の話です。そもそも、合理性、利潤の追求を最大の目的として、作られているのですから、それ以外の性質を持つはずがありません。対する人間は、本来、合理性、富の追求が最大の目的の生物ではないのです。私のような者が、こんなことを言うのはなんですが、科学者の方はこの辺りのことが全く分かっていないのではないか? と思わざるを得ません。

人工知能を人間の脳に近づけることを目的に開発するのならば、結果、いつかは(相当遠い未来に)意識を持つかもしれませんが、それが企業の役に立つかは分かりません。だって、そのロボットが人間と同じように意識を持つならば、「そんなことやりたくない」と言って、どっかに行ってしまうかもしれません(笑)。100万円で買った家政婦ロボットが、1か月後に「この家は嫌いなので辞めさせてもらいます」と言ったら、どうするのですか? 無理やり働かすのですか? それとも買い直すのですか? だとしたら、初めから心を持つ必要なんてありませんし、こんな馬鹿げた話はありません。

これは冗談でもなんでもなく、意識を持つ、心を持つって結局そういうことですよね? そんなものを企業が作る意味はないし、技術的にも全く無理な話と想像できますね。強いAI、弱いAIとは、「意識とは何か?」 ということを探す問いでもあるようですが、意識とは合理性にはなく、非合理性の中に存在している可能性が高いでしょう。なぜなら、合理性とは初めから決まっている与えられた価値観だからです。それは生物学的に見れば、遺伝子から与えられた本能です。

「われわれは遺伝子と言う名の利己的な存在を生き残らせるべく盲目的にプログラムされたロボットなのだ」

~ 『利己的な遺伝子』 リチャード・ドーキンス ~

合理的に、利己的に、有利に生きるため、富の独占をひたすらに追求する様は、正にロボットと言っていいでしょう。そこに意識はないと言っていいんじゃないでしょうか。

 

「合理性」を極めるAIによって、富が独占される

以上のことから、合理性を追求するAIが富を独占しようとすることは、間違いがなく、結果、それを持つものと、持たない物の間で格差が拡大することは間違いがない事実と考えられます。人工知能は科学の最先端なわけですが、そもそも科学の目的、本質とは富の追求ではないか、と言うところで考えれば、その行き着く先、という点で非常に理解がしやすいと考えますが、どうでしょうか。