ドル円が108.3円台まで上がってきましたね。105.50円でいったん、底を打ったのではないかと書きましたので、このままずんずんとお願いしたいところです。

さて、色々とネットを見ていると、「NYダウが暴落するのではないか?」と言う記事が目立ちますね。「半値になる!」くらいなことをおっしゃる海外の著名な投資家の方もいらっしゃるようです。確かに一本調子で上がってきて、ダウは史上最高値圏ですし、そろそろ調整がありそうではありますが、しかし、暴落となるとどうなのでしょう。そのように書いている記事でもその理由が書いていないので、イマイチわからないのです。

そんな中、当ブログではあえて、ダウがむしろ今後バブル化するのではないか、と言う記事を書いてみたいと思いました。当たるかは時の運ですので、参考にする方はいないでしょうが、しないでください(笑)。ネットで検索してもそんな記事は出てこないので、希少価値は高そうです。

 

6月の利上げはある?

FRBは、2016年は年2回の利上げを公言しています。当ブログでは、「利上げの開始は速やかだが、進行は相当緩慢になる」と予想してきました。これは概ね当たっているとさせていただいていいかと思いますが、問題は、6月の利上げはあるかどうかです。これの予想は非常に微妙なところかと思います。

私は、どっちかと言うと、6月もないのかな? と言う方に傾いています。なぜかと言いますと、昨今の金融情勢には政治の介入の影響が感じられるからです。

 

FRBは株価で利上げを決めている

年初からのマーケットの大荒れ状態を理由に、当初、年4回と言っていた利上げを見送る決断をしたわけですが、その際に言われていたことは、「FRBは株価を見て利上げを判断している」と言うことです。これは私は、実際、真実ではなかろうか、と思っています。

2015年の株価の暴落の際も、それを理由に利上げを先延ばし、しました。では、FRBは株価の暴落を恐れて、利上げを先延ばししているのでしょうか? いえ、そうではなく、逆に株価がこれ以上高くならないように利上げを行っているのではないか? というように思われるのです。

年初から世界のマーケットが暴落しましたが、

「正直ほっとしている」

FRBのメンバーがそう漏らしていたと言う記事をみたことがあります。また、イエレン先生が、

「株は高すぎる」

と言った水準を、NYダウは優に超えてきています。つまり、FRBは何より資産がバブル化するのを食い止めたいのです。大規模な金融緩和を行ってきたため、油断すればそれはアッという間にバブル化することを彼らは一番懸念しているのではないでしょうか。これは中央銀行としては当然のことでしょう。

 

そもそも利上げは何のため?

しかし、そもそも、利上げは何のために行うものなのでしょうか。色々調べてみると、「加熱した景気を冷ますため」だそうです。アメリカの景気は冷まさなければならないほど、勢いづいているのでしょうか? とてもそうは思えませんよね。最近の経済指標は悪いものが目立ちますし、先日の雇用統計は悪化していました。普通に考えたら、利上げしなければならない理由は経済情勢からは微塵も感じられません。

しかし、そんな停滞気味のアメリカ経済に於いても、株価は依然、「高すぎる」水準にあります。実体経済に対して高すぎる株価を抑えるために利上げに動かざるを得ない、これは正に例を見ない大規模な金融緩和の副作用で、FRBはずっとのそのジレンマの中にいたのではないでしょうか。暴落の場面では、マーケットが下がっているので利上げ出来ないのではなく、下がってくれたので、利上げの必要がなくなったと考えた方が正しいのではないでしょうか。

そんなことを裏付ける記事がブルームバーグにありました。

【FRBウオッチ】利上げどころではない、1月の雇用者数300万人減

現在のインフレ率は1%未満であり、1月の賃金は前月比こそ市場予想を上回る0.5%上昇となったものの、前年比では2.5%上昇と前月の2.7%上昇か ら伸びが鈍化してきた。こうした弱い経済状況を背景に金融当局が利上げシナリオに転じたのは、低金利政策が金融の不均衡を拡大することを恐れているから だ。

実体経済の回復には、資産バブルを容認せざるを得ない

一番の問題は、実体経済と資産高のかい離が進んでしまっていることにあります。資産バブルを止めようと思えば、実体経済が失速し、実体経済をよくしようと思えば、資産がバブル化する。こんな矛盾した難しいかじ取りにFRBは頭を悩ませている感があります。

しかし、最近、アメリカが急激にドル安政策に傾くなど、政治の影響を色濃く感じる部分があります。素人である政治家は自国経済をかわいがる余り、プロであるFRBの意向を無視して、資産バブルを助長してしまう可能性もあるのではないでしょうか。

その大一歩がドル安政策への転換というのは、考えすぎでしょうか?

イエレン先生は果たして6月の利上げへ動かしてもらえるのでしょうか。

追記 2016年5月19日

米国の利上げ時期は遠いのか、近いのか

東洋経済オンラインにこのような記事が出ていました。

利上げ判断のヒントは、実は雇用や賃金の伸びではなく、むしろ不動産ローンの動向にある可能性がみえてくる。

米国の商業用不動産価格は金融危機前のピークを超えており、不動産ローン債務の一部も10年時点から急激に増大しているという。これ以上、低金利状 態を放置すれば、ローン債務が膨張し、再びバブル崩壊となるリスクもある。FRBとしては、それだけは避けなければならない。そのため、あらかじめ金利を 引き上げることで、これ以上の膨張を避ける必要がある。

エモリキャピタルマネジメント代表取締役の江守哲さんは、このようにおっしゃっています。私は株価と書きましたが、やはりFRBは資産バブルを一番に恐れ、それを動機に利上げに動いているということではないでしょうか。世界を混乱させてでも、彼らはバブルを防ぎたいのが本音ではないでしょうか。FRBは正しいと私は思いますが、しかし、政治が果たしてそれをさせてくれるのか?

「ECBは政治家の言うことは聞かない」

ドラギ兄貴はこんな頼もしい言葉を聞かせてくれましたが、これは現実的には非常に難しいことではないか、と言う気がしますが、どうでしょうか。

 

追記2 2016年5月20日

NY連銀総裁:6月か7月の利上げは妥当-経済が腰折れしない限り

FRBのスポークスマンと言われるダドリーNY連銀総裁が、

「利上げによる金融環境のある程度の引き締まりは全く適切だ」

「いわばそれが金融政策引き締めの目的のようなものだ」

こう発言したそうです。朝倉先生がこれには驚いたと言ってましたが、先生には悪いですが(笑)、私に驚きは全くありません。やはり、FRBは資産のバブル化を防ぐために利上げを行っているとみていいでしょう。当然です。それはFRBの使命だからです。しかし、本当に利上げをさせてもらえるのか?

私がどうしても引っかかるのは、3月にイエレンが、FRBメンバーの事前の発言をちゃぶ台返しで、超ハト派宣言したことです。そこから株価は、”高すぎる水準”から、さらに高騰したのです。これはFRBの意向とは違います。

「私たちはバブルを防ぐのが仕事なの。景気を回復させるのは、政治家さんのお仕事よ」

イエレン先生は、6月にこの当たり前のことを果たして、政治家達に言い放てるでしょうか。