2017年の4月に消費税を10パーセントに引き上げるのか、延期するのか、その決断を安倍首相が下す時期が近づいてきているようです。元々、「特別なことがなければ、無条件でひきあげる」としていたので、延期の話が出て来る方がおかしいのですが、事実出てきているということは、政府がその可能性を探っていると考えていいのでしょう。

一時、延期が濃厚という目論見が強くなった時期もありましたが、先日のG7で麻生財務相がアメリカに増税は予定通り行うと伝えたと報じられ、今度は、予定通り増税実施ではないかとも言われています。これを素直に見る限り、安倍首相は実際、相当判断に迷っているのかもしれません。

つい一週間前には、「増税延期が決定」のようなニュースが流れたのですが、これはやはり毎度のマーケットの反応を試すリーク報道だった可能性があるのではないでしょうか。これに対し、マーケットは無反応でした。つまり、増税延期は株価対策にはならないことが確認されたわけです。これを見て、「じゃあ、意味ないから、どうせなら増税するか」となったなんてことはないとは思うのですが・・。

で、正味な話、消費増税って本当に必要なんだろうかというところを今回考えてみたくなったので、当ブログなりに考察してみました。

 

国の借金は気にする必要があるのか?

そもそも消費増税をする理由ってなんでしょうか? それは簡単で税収を上げるためですよね? なんのためでしょうか? それは国家を運営するための資金が足りないからです。では、足りない資金をどうするのかと言うと、借金して運営しているわけです。しかし、その借金が増え続けており、2015年3月末で1206兆円あるそうです。そんな借金、とても返せないため、更に借金をする。これは完全に自転車操業ですね。

国がそんなことをしてしまっているのだから、確かに「けしからん!」状況なわけです。そりゃあ、増税してでも返していかなければというのも、当然にも思えます。しかし、実際、ここにはマジックのような不思議なからくりがあります。そのお金を貸しているのも、日本人だということです。

 

例えるなら家族にお金を借りているようなもの?

これは例えて言うならば、同じ家に住んでいる家族に膨大な借金がある男、みたいな話じゃないでしょうか。その家自体にはまだまだ有り余るお金がある。まあ、他人から見たら、「いい加減、家族から自立して暮らせよ」と言いたい気持ちも分かりますが、本人からしたら、余計なお世話と言ったところではないでしょうか。

こんな状況にIMFとかは、いちいち日本政府に忠告してくるわけです。「国の借金を減らしなさい」と。正に余計なお世話と言ったところじゃないでしょうか。とはいえ、忠告を無視してこのまま無尽蔵に借金を増やしては、いずれは家族のすべてを食い尽くしてしまうかもしれません。それに家族はこれから高齢化するのですし、いつまでもこの援助が続くかは分かりません。増え続ける借金に歯止めをかける必要があるのも事実でしょう。いずれ限界に達すれば、他人へ借金をしなければならなくなります。そうなって、初めて破たんが見えて来ると言うことになります。

 

増税延期で国債暴落?

今回、増税を延期することで日本国債の格下げが行われるそうで、増税派はそれを理由に国債が暴落し、長期金利の上昇が起こってどうしようもなくなる、なんてことを言っているそうです。が、それはないでしょう。ほとんどが国内で消化されている日本国債を外国の機関の格下げ程度で、国内の投資家が売りに走るとは到底思えないです。なんで、外国人が、「日本はだめだぞー」って言って、「そっか、日本はやばいのか!」って日本人が売りに走るなんてことがあると思います? もし、そんなことがあれば、それこそ日本の終わりでしょう。

せいぜい、ヘッジファンドが日本株売りを仕掛けて来るくらいじゃないでしょうか。そうなると、同時にリスク回避の円高になるので、その時点で早くも嘘が露呈するわけです(笑)。

そんなことより、今の異次元金融緩和をやめる、と言った時の方がよほど危険です。それは、消費税を何パーセント上げていようと、関係なく起こる防ぎようのない危機だと私は思います。それは投資家ならば誰でもわかる感覚だと思うのですが。

 

結局、消費増税は必要なのか

で、以上のことから、まとめとして、結局消費増税は必要なのかと言うことですが、必要かもしれないが、今はそのタイミングではない、と言うことでしょう。今は、景気が決して良くなっている局面ではありません。景気の良くない局面で、増税してしまうと、景気の失速により、税収がむしろ減ってしまうことがあるそうです。3~5パーセントへの引き上げ局面では、やはり景気が低迷していたため、税収が減ってしまったそうです。

税収増のための消費増税なのに、景気が悪化し、税収も減ってしまう、こんな馬鹿な話はありません。今は、再びそれが起こる可能性が高い局面と思います。ですから、ごくごく普通に考えて、今、このタイミングで増税する必要性は皆無に等しいと私はおもいますが、安倍首相さまいかがでしょうか?

PS.こんな記事を書いている途中でいつも見ている橘玲さんのサイトでこんな記事を見つけました。消費増税よりも社会保障費の負担の方が遥かに多いそうです。実際の負担以上に消費に対して心理的デメリットの大きい消費増税はやはり、今は百害あって一利なし、やめておくべき、と言うことではなかろうかと思いました。

消費税増税よりもはるかに負担が重い社会保障費の「増税」についても語ろう