イギリスが国民投票でEUの離脱を選択し、世界を驚かせたのは誰もが知るところですが、その通称、ブレグジットが実現しないのではないかという見解があるようです。私もそれはそうかもしれないと思っております。と言うのも、こんな重大な決断を国民に投げておいて、結果が意図通りではないと、そのリーダーたるべきイギリスの政治家達はさっさと逃げ出してしまいました。残留派だったキャメロン首相はもとより、離脱派の中心と見られていたジョンソン氏までが辞任してしまったのです。

これはあまりにも無責任だと思いますが、そもそも彼らは初めからEU離脱と言う一大決断への責任と覚悟を持っていなかったのでしょう。そして、現状を一変させるには、やはり本物のリーダーが必要だと思いますが、その登場の気配は今のところありません。次期首相候補の方も残留派のようですので、この問題はそのうち落ちついてくるのではないでしょうか。

離脱と言う行動への勇気が誰にもない

イギリスの政治家たちには、国民投票の結果、「離脱」の行動を起こす勇気がなかったのだと思いますが、これも仕方のないことなのかもしれません。現状維持以外の先行きのわからないことなど、怖いので普通は誰もやりたくないのです。

人間は神を滅ぼして、我意を信じておりながら、最も完全なる意味において、この我意を主張する勇気のあるものは、わが地球上に、果たして一人もいないのだろうか。

~ ドストエフスキー作 『悪霊』 第三篇第六章 ~

史上最高の作家と呼ばれるドストエフスキーはこう教えてくれます。

今回は「離脱すべき」と言う我意を主張した人は半数くらいいた訳ですが、それを本当に主張する勇気のあるものは、一人もいなかった、ということではないでしょうか。

EUを離脱がした方が「いいか悪いか」なんて、それこそ神様にしか分かりません。ですから、国民は「いいか悪いか」ではなく、その責任をプロである政治家に託していたのだと思います。が、今回、彼らはそれを国民に投げ返してしまいました。これが混乱の最大の要因ではないでしょうか。

 

世界を見渡しても本物のリーダーはそうはいない

私はEUと言う組織は文明的な仕組みで、人間的な気持ちを無視したものだと思うので、いずれは崩壊に向かう、という趣旨のことを過去にも書いたことがあります。しかし、ここから連鎖的にそれが起こるかと言うと、そうは言えないのではないかと思います。なぜなら、世界を見渡してもそれを実現しそうな本当のリーダーは見当たらないからです。

アメリカのトランプ候補にフランスのル・ペン党首など革命的なことを掲げる人物はいますが彼らが本物かと言われるとそうは思えません・・。、あくまで勘ですが、あまり大した人物には見えないのです。実際選挙で勝っても、結局彼らはあまり大したことは出来ないのではないかと思ってしまいます。

ギリシャのチプラスが世界のニュースを席巻していた時、私はとうとう本物の革命家が現れたのかと一瞬思いました。しかし、結果はご存知の通りでした。当時記事を見てくださっていた方がおっしゃっていたのですが、彼は初めからペテン師にしか見えなかったそうです。ですから、私の目もくるっている可能性も大いにあるのですが(笑)。

日本にいた革命家になれたかもしれない人

これも前に書いているのですが、そんな希少な革命家になれたかもしれない人が実は日本にいたのです。それは、橋下徹氏です。いいか悪いかは知りませんが、大阪都構想が選挙で勝ったならば、彼は確実にそれを実行したことでしょう。彼には、その覚悟があったということに疑いを持つ人はあまりいないと思います。ですから、大阪府民はNOを突き付けたのではないかと思います。そんなリスクを取るほどには、大阪府民は困っていなかったと言う訳です。

 

イギリス国民はどこまで困っていた?

実際、イギリス国民が投票前にどこまで困っていたのか、私には分かりようがありません。投票を後悔してる人が多いとも聞きますが、それもどこまで本当か分かりません。しかし、それとは関係なしにリーダ不在では改革は進みそうもなく、もし、進まなかったとしても、イギリス国民は、変化への恐れからそんなにすぐに怒りだすことはないのかもしれません。

 

EUの崩壊はカリスマの登場待ち?

EUの崩壊は、真に我意を主張する勇気を持った本物の革命家の登場を待つことになるのではないでしょうか。そして、そのカリスマが大衆を扇動する形で鮮やかにEU離脱を成し遂げたならば、その時こそ連鎖的なEUの崩壊が訪れるのかもしれません。投資家はそのような人物をみたならば、その時こそ、それに備えるべきなのでしょうね。