少々、記事のタイミングを逸した感がありますが、とうとうplayStasionVRが発売となり、これから活況となることが期待されるVR市場。株式市場にもこれに期待した買いが入っているようです。対して、先日発表になった「NX」こと任天堂の新ハード「Switch」ですが、それに対する株式市場の反応は暴落でした。

投資家の視点を侮ってはいけません。ここから考えるにソニーの勝利、任天堂の敗北はもはや決したようなもの、そう考えるのは自然なことなるでしょう。しかし、ちょっとだけお時間をください。投資家がどれだけ任天堂に失望をくらわせようとも、それでも当ブログでは任天堂を応援するに足りる重要な理由があると思っています。

それに成功間違いなしかのようなVRですが、しかし果たして、これとて本当に流行るのでしょうか? 私から言わせると、それは極めて自然な理由から流行らないのでは? と思えるのですが・・。

VRが流行らない理由その①

まずは私がVRは流行らないと考える理由を順に記してみたいと思います。その①です。それは酔いが酷いからです。私も最近、VRはどんなものなのかと興味を持て体験してみたいなと思っていたのですが、しかし、何万も出せないなという気持ちでいました。しかし、ちょっと調べたら、スマホと数千円の出費で体験できることを知りました。スマホでVRを体験できるゴーグルが各社から安いもので千円強で買えるんですね。私はさっそく購入し、実際試してみました。

で、実際どうだったかというと、確かに映像そのものはとても楽しい体験だったのですが、前述したとおり、酔いがかなり出ます。ほんの数分使用しただけで、ひどい目眩と吐き気に襲われ、その後はそのゴーグルを見ただけで気持ち悪くなる事態になりました。トラウマ状態です。もはや二度とVRを楽しめない体になってしまいました(笑)。これは私個人だけのこととはとても思えません。実際ネットを見てみると、気持ち悪くなったので、2度とVRのゴーグルをかけたくないという人はいるようです。

 

理由その②

そして、もう一つの理由がプレイ中の見た目がやばいってことです。今注目を浴び始めているVRですが、その20年も前にいち早くゲーム機として売り出したメーカーがありました。それがかの任天堂です。その名も「バーチャルボーイ」です。これは、任天堂の歴史の中でも商業的に大失敗となっているのですが、その失敗した理由をスーパーマリオの生みの親の宮本茂代表自らこう語っています。

それと、もうひとつの大きな問題はやっぱり「遊んでる姿」ですよね。自分で、つくりましょうよ、とは言ったものの、こう、バーチャルボーイをずっとのぞき込んでいる姿というのは・・・。

https://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/hardware/vol1/index2.html

この理由が大きく、バーチャルボーイは普及できなかったと。確かにVRで遊んでいるところに誰かが入ってきたら慌てますよね。彼女が入ってきたら、もう最悪です。元来ゲーム嫌いと決まっている(笑)お母さんは、これを子供に絶対にやらせたがらないでしょう・・。

 

理由を覆すもの・・?

さて、私が挙げたこの二つの理由は単純で誰もが思いつくようなものですが、非常に大きな理由だと思っています。この理由によって、普及はしないと考える方が普通ではないでしょうか。しかし、株式市場や世界のマーケティングのお偉いさんたちはVRが普及すると考えているようです。任天堂が撃沈した20年前のVRと今は何が違うというのでしょうか。この答えも簡単ですよね。それはテクノロジーです。

当たり前ですが、20年前の「バーチャルボーイ」と最新の「playStasionVR」で最も違うのは、テクノロジーです。テクノロジーの進化、それが市場関係者がVRが流行ると考えている理由なのです。逆に言うと、「バーチャルボーイ」と「playStasionVR」の違いはそれだけです。見た目のヤバさは変わらず、酔いの酷さはもっとかもしれません。

私が挙げたVRが普及しないと考える二つは、生理的な極めて自然な理由だと思います。しかし、テクノロジーの進化という物が、果たしてその自然な理由を覆すということがあるのか、というところは非常に注目すべき点ではないでしょうか。

 

ゲームにおけるテクノロジーの役割

テクノロジーだけのゲーム機は限界にきている

これは私の好きな経営者だった故岩田聡任天堂前社長の言葉です。彼の仕事には常にこの言葉通りの信念が感じられました。そして、その思想の元に爆発的なヒットとなったwiiによる成功を成し遂げたのです。wiiはテクノロジーの進化に背き、成功を収めた稀有なゲーム機なのです。しかし、ここ最近は再びハイテクノロジーのゲーム機が注目を集めているようです。ハイテクのplaystasion4は大きな成功を収めています。

 

SIEのハードであるPSシリーズが、スペックを高めるという直線的な進化を続けているのに対し、任天堂のハードは、常に『新しい遊び方や新コンセプトの提案』を重視してきました

~ ハーバービジネスオンライン ~

記事の中でゲームコラムニストの宇月さんはこうおっしゃっています。ソニーも日本を代表するメーカーであって、悪く言いたくはないのですが、当ブログはテクノジーに厳しいので(笑)書きますが、宇月さんがおっしゃる通りで、PS4の設計思想はハイテクノロジーの搭載、ただ、それだけです。

 

新しい”遊び”の創造は相当困難な挑戦

宇月さんの言うとおり、任天堂は「遊び」を追及、SIEは「技術」の高みへ。この世界に誇るべき日本の2大ゲームメーカーの選ぶ道は大きく異なります。ところで、「遊び」と「技術」の違いとは何でしょうか? これを明確に説明するキーワードがあります。それは”無駄”です。技術とは無駄を排除する術のことを言うのです。対して遊びとは、無駄のことを言うのです。ですから、任天堂とソニーの目指している方向というのは、ゲームという同じ土壌でありながら、全く逆の方向を向いているということがここからも言えるでしょう。

任天堂の目指している新しい遊びの創造という方向は相当困難な挑戦だと考えます。失敗するリスクは当然高いでしょう。事実、最近は世の中と同じく、進化するテクノロジーによって敗北しつつあるようにも見えます。しかし、当ブログの趣旨としては、遊びという極めて人間的な崇高な方向性によってテクロジーへの困難な挑戦を続ける任天堂という会社を応援するべき理由があるのです。