新型ゲーム機、任天堂「スイッチ」が想定以上に、世界的に売り上げを伸ばしており、任天堂の株価は、昨年のポケモンGO相場の高値に迫る、32,000円近辺まで上昇してきています。当ブログでは、任天堂という会社の持つ底知れないパワーに以前から注目しており、2015年夏のDENAとの業務提携、スマホゲーム参入といった一大方針転換の際に、任天堂株価は上場来高値の更新を目指すのではないか、と予想させていただいておりました。投資ブログではない、当ブログが唯一触れている個別株がこの任天堂です。

ちなみに任天堂の上場来高値とは、2007年11月1日の73,200円です。その要因となったのは、皆さんご存知のWiiの大ヒットです。ですから、「スイッチ」がwiiのようなヒットになるのならば、その可能性は十分にあると言えるのです。

 

予想できたスイッチの売れ行き

任天堂の最近の株価の動向を追ってみると、実はスイッチの発売日直前が、安値になっています。また、お披露目の際にも株価が暴落するなどしていました。つまり、投資家はスイッチの今の状態を全く予想できていなかったわけです。

しかし、私はそのことが予想できていました。その証拠に、「スイッチは売れる」とFacebookページに書かせていただきましたし、スイッチのヒットは株価に全く織り込まれていないため、売れれば当然騰がるはず、とも書かせていただきました。こちらがその証拠です。

 

では、なぜ私がそのような予想を立てることが出来たかというと、なにも難しいことはありません。ネット上の反応が前機種の「WiiU」に比べてはるかに良かったからです。

 

任天堂はWiiUの失敗を見事に修正

売れ行きの鈍さから失敗に終わったとされる「WiiU」ですが、これがなぜ失敗に終わったのか、その理由を挙げるとするなら、中途半端だったから、という一言に尽きると思います。いえ、「WiiU」もそれなりにいいゲーム機なのです。当然、面白いゲームもいっぱいあります。でも、その中途半端さから、世間からは嫌われた、というよりもスルーされてしまった。その魅力が一般ユーザーに全く伝わっていなかったのです。

しかし、スイッチの発売前、ネットからは、その反応の大きさが見て取れたのです。

 

岩田社長の思いを具現化するハード

私のもっとも好きな経営者だった岩田聡前社長。Wiiの世界的な大ヒットの功績を作ったのは彼の力です。任天堂のゲーム機には彼の思想が宿っています。2015年の7月に非常に残念ながら、若くして亡くなられました。

「テクノロジーだけのゲーム機はもう限界にきている」

そう語っていた岩田さんは、当時のハイテク全盛のゲーム市場に一石を投じ、世間の目を自分たちの文化的な方向に向けさせることに成功しました。これは並大抵のことではありません。

では、WiiUに乗っていた岩田さんの思想は何かというと、「リビングでつながる」でした。ゲーム機を元に家族がリビングでつながることを目指していました。そのための手段として、まず、ゲーム機がテレビを独占することから脱却しようとしました。

WiiUのコントローラには6インチ程度の液晶画面がついており、テレビがなくてもゲームが出来るようになっています。任天堂、岩田さんはこのゲームパッドで、テレビからゲーム機を自由にしたいと思っていたのです。

この設計思想は非常によかったと思うのですが、肝心な自由さが足りなかった。なぜなら、WiiUのゲームパッドは単体では動かず、本体の周辺しか自由を持たないのです。テレビから離れるには離れたのですが、それはたった2・3メートルのことでした。恐らくそれは、当時の技術的な制約の部分が大きかったと思われます。

この点を後から逆に考えると、実は「スイッチ」の中途半端なものが「WiiU」ということになってしまう。つまり、岩田さんの思想はWiiUでは、ちゃんと表現できていなかったと考えられるのですね。そして、それはスイッチで完成したと。

 

ソフト供給不足

WiiUの失敗の原因で一般的に大きく言われることが、有力ソフトの供給不足です。WiiUは本家の任天堂からもソフトが発売されない期間が長く続き、世間の興味は全然沸きませんでした。なぜ、そんなことになってしまったのかというと、色々な機能を盛り込みすぎたからです。カラオケ、インターネットブラウザ、SNS、動画再生、またまた出前など、スマホに対抗する意図があったのか、WiiUは任天堂にしては珍しい非常に多機能なゲーム機でした。

これはいいことだとは思いますが、彼ら社員に耳を傾ければ、きっと、こう言う声が聞こえてきたでしょう。

「ゲーム作っている暇ないよ」

そう、WiiUが失敗した理由のもう一つは多機能すぎて、任天堂自身がゲームソフトを作る余力を持てなかった、ということになります。

以上、挙げた前機種の失敗を、スイッチでは見事に解消してきています。スイッチには今現在、ゲームをする、以上の機能は搭載されていないですが、有力ソフトが計画的に投入されてくることが決まっています。

 

スイッチは最高のゲーム機になった

任天堂「スイッチ」は故岩田社長の意志を受け継ぎ、またWiiUの失敗を取り込み進化した結果、最強のゲーム機となった、ということが言えるのではないでしょうか。ですから、このゲーム機が負けるはずはなく、爆売れとなるのは、当然と言えるのではないでしょうか。