2017年も残り、1カ月を切りました。225先物は、12月のメジャーSQの影響でで売られた分をすっかり取り戻し、22,800円台まで戻っています。私は、年末までに24,000円に向かうのでは? という期待を込めて見ていますが、さて、結果は如何に・・。

さて、今回は、今年の振り返りと、来年に向けての展望を改めて考えてみたいと思います。

2017年の振り返り

「今年はとにかく、暴落ではなく、暴騰リスクが高い年だ」、当ブログでは一貫してそう主張させていただきました。そんな中での、日経平均株価の高値予想は24,000円。「またまたあ」、当時はそんな風に思われた方も、多かったかもしれません。

しかし、実際24,000円までは到達しておりませんが、先日の高値局面では23,300円程度まで行きましたね。

そして、何より、暴落より暴騰の可能性が高いとしてきた部分については、まさにその通りだったを思います。今年の何度かあった急落の場面でも、世界に比べてめっぽう下がる日経平均が、たかだか千円強の下落にとどまりました。これは先日の急騰後の調整場面でもそうでしたね。これは大きな変化として捉えておく必要があるでしょう。

 

更に変態度を増したNYダウ

そして、日経平均など目もくれないくらいに、変態的な強さを増してきたのが、NYダウです。これも当ブログの完全な読み筋。

NYダウは異次元バブル相場へ突入 ~迫る!?株価の暴騰リスク~

世界中の誰もが、「ダウは暴落する!」と叫んでいた2016年から一貫して、ダウはバブル化すると訴えてきました。ちなみに、2016年の夏にダウがさらに高くなるという記事を書いていたのは、私しかいません。グーグルで検索して出てこなかったの間違いありません。これは嘘みたいな本当の話なのです。

そして、今年の更なるNY株の上昇を示唆する重大な出来事は記事に書いてあります通り、2月28日のトランプ大統領による議会演説です。

ここにダウの現在の縮図が表れているように思います。現在、24,300ドル台というところにあり、これだけ暴騰しても、投資家は依然、強気ではないそうです。

NYダウ新高値、ますます弱気になった投資家たち

強気論者数は約3カ月ぶりの最高値に達したことは事実だが、大多数が強気という状態ではない。現に、今回の36.11%という結果が発表されたことで、強気意見が半数以下という状態が135週連続で続いている。これは史上最高だ

最近、ゴールドマンがアメリカ株に対し、弱気のレポートを出すなど、これだけの上昇相場でも投資家は決して過熱していません。となると、早々にダウが下落相場に突入するという需給環境にはないように思います。

需給はある日突然変わります。これがいつ訪れるか、ということは、私には全く分かりません。しかし、それが来年訪れると言う根拠もまったく薄いように思われます。NY株は来年も再び上昇リスクの方が高い、と見ていくべきだと思います。

 

2018年の話

では、2018年に起こりそうなことを考えてみましょう。

インフレが進みそう

先日のアメリカの雇用統計の平均時給の伸びはあまり高くはなかったようです。しかし、それでも来年は、イエレン師匠がおっしゃる通り、インフレが加速すると見ていいと思います。アメリカはともかく、日本に関しては人手不足がひっ迫しており、賃金上昇の加速が目前です。

当然、物価に反映されます。と言うか、もう、されています。値上げに臆病な経営者は品質を下げたり、量を少なくしたりする「ステルス値上げ」を行っているのが実態です。しかし、彼らのやせ我慢も限界です。

例えばこんな記事もあります。

回転寿司の「1皿100円」がいよいよ終わる理由

東氏はそのシグナルとして「鳥貴族の値上げの結果」を挙げる。同社の10月、11月の売上の前年同月比の落ち込みが大きくなければ年明けからの値上げの「青信号」で、落ち込みが大きければ「赤信号」。

もし青信号で値上げに踏み切っても、回転寿司だけでなく外食産業全体が一斉に追随したら、1社だけが目立たない。値上げの青信号、みんなで渡れば怖くない

~ ビジネス+IT ~

これも当ブログが今年大きく伝えてきた内容です。

値上げ? 値下げ? 景気拡大のこれからの時代、正しいのはどっち?

しかし、このインフレが株価にいい、とは限りません。インフレの加速が企業業績を押し下げる可能性があります。しかし、少なくとも2018年に関して、そういった心配は無用ではないか、と思います。

なぜなら、これまで予想されたほどにインフレが進んで来なかったからです。これはグローバル企業側がある程度価格を抑える術を知っていることを表しています。ですから、加速があるとしても、それは決して景気を潰すほどではないだろう、と言うことです。

 

ドル円は?

今年の当ブログのドル円予想はなんと135円! これは完全に外れましたと言わなくてはなりません。その根拠にしていた、日米、および世界との金融政策のコントラストは鮮明になり、円安が実際進みました。

しかし、ドルが一向に高くならないのです。これに関しては、謎と言わざるを得ません。利上げとバランスシートの縮小、更には税制改革とそろい踏みなのに・・。来年に向けて120円への回帰があるだろうとは思いますが、それ以上のことは分かりません。ただ、日本経済に今以上の円安はもはや不要で、むしろ弊害の方が大きく、株価の上昇にも必須の条件ではなくなっています。

為替に関しては、来年も円安傾向だろうと言うざっくりで臨もうかなと思っています。ただ、大きく円安に動いてしまう素地があると思っておりますので、思わぬ円安にご注意を! と言う感じでしょうか。

 

リスクは?

では、リスクを上げてみましょう。

みんなが強気の意見を言うようになってきた

まず、これですね。来年の予測のレポートなども出てくる時期だと思のですが、弱気を掲げるところはだいぶ少ないでしょう。中には日経平均3万円という大手証券もあるようです。私の経験上、そのような場面で本当にそうなったことは一度もありません・・。ですから、これはかなりの不安要因です。

しかし、前述した通り、実際の行動としては投資家は慎重姿勢であり、日本の個人投資家も大規模な売り越しを続けています。口だけでも、下落相場突入の条件、加熱からはほど遠い、と言う状況には間違いありません。みんなが弱気の中、株価はずるずる上がっていく。これがグレート・ローテーションの正体ではないか、そんな風に捉えています。

 

地政学リスク

今年も大きく世間を賑わした地政学リスク。来年も一番の要因だろうと思います。その中でも、当ブログが深刻化してくるだろうと見ているのが、米中対立です。トランプ政権は北朝鮮を口実に確実に中国への圧力を強めています。

米国、中国の「市場経済国」認定に反対 WTOに正式通知

~ ロイター ~

思い出すのは、2015年。中国のAIIB設立に危機感を強めたアメリカは、中国と親中のドイツへの圧力を強め、中国経済危機とウォルクスワーゲン問題の暴露による世界的な株価暴落で、日経平均は21,000円から17,000円まで下落しました。

コラム:中国発の金融危機、本当に幻か

~ ロイター ~

奇しくも、現在中国株は急落を見せることが増えているのです。もし、仮にこのリスクが世界的なリスクオフとなったとして、現在の株式市場がどの程度の下落になるのか、ということを見ておくことが重要だと思います。

その時、現在の相場の強さがわかります。

 

FRB議長が交代してしまう

当ブログにとって最大の経済予測の助言者だった、ジャネット・イエレンさんが退任されてしまいます。これは非常に残念としか言いようがありません。後任のパウエルさんは得体が知れません。イエレン路線を引き継ぐと言っていますが、これは口で言うほど簡単ではありません。

また、FRB議長で株価大幅下落の洗礼を受けていないのは、唯一イエレンさんくらいであり、パウエルさんそれに見舞われる可能性はあるでしょう。現在の変態ダウは、そんなことにもまったく動じることはないのか、見物ではあります。

そして、正体不明のパウエルさんに関してこんな気になる記事が・・。

コラム:ユーロ高でドル円上昇か、中国がつなぐ線=高島修氏

2016年末の「トランプラリー」によるドル高とそれに伴う資本流出圧力に直面し、2017年初頭には中国は金融引き締めによる通貨防衛と外準防衛に追い込まれた

くしくも、パウエル氏は10月に中国企業の過剰債務問題を重視する講演を行ったばかりだ

~ ロイター ~

まさか、とは思うのですが、アメリカはFRBすら巻き込んで、中国に経済制裁とも言える圧力をかけていく可能性はどうでしょう・・。なぜ、トランプさんは大好きなイエレンさんを交代させてまで、このような無名の新人をこの重大なポジションに据えたのでしょうか?

パウエルはドル安だし、中国企業の債務を心配しているからリスクは避けられる、筆者の方はそう言います。しかし、トランプ政権の性質としてはその真逆を心配しなければならない可能性を私は感じるのですが、心配しすぎかな・・。

 

まとめ

少々長くなりましたが、纏めますと、2018年は2017年程順風満帆ではないかもしれないが、株は確実に高くなるだろうと言うことです。大きな下落があったとしても、それはやはり一時的な物に留まるはずです。

日経平均の高値予想は27,000円とすることにしました。上に外れる期待を込めての数値ということになります。そして、もう一つ我々の社会に現れる重大な変化はやはり、インフレの高進です。

時代のトレンドは、デフレからインフレへと確実に変化したのです。その瞬間は、2016年の秋、ECBが金融緩和の限界を認めた時点にある、と言うのは繰り返しお伝えしてきた通りです。

私たちはそのことを、肌身で実感することになる! 2018年はそういう一年になるかもしれません。