みなさん、ベーシックインカムって知っていますか? 私も最近知ったのですが、ちょっと気になって調べてみたんです。と言うのも、この制度、私達庶民の未来の生活に非常に大きな影響を持ちそうなのです。

ちなみに、ウィキペディアには、

国民の最低限度の生活を保障するため、国民一人一人に現金を給付するという政策構想

と記されています。「え?ただでお金がもらえるの? そんな馬鹿な話はないでしょ」いえ、必ずしもそうとは言えません。なぜなら、

「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」

と日本国憲法に定められているからです。

このただでお金をもらえるという夢のような制度、実際に導入が真剣に検討され、欧州などで実験も行われているようです。こんな素晴らしい仕組みは、早く取り入れてほしい、と思うでしょうか? それとも、怪しい話、うまく行くはずがないと?

実は、この夢の制度の「いい?悪い?可能?不可能?」の判断に、難しい議論は、まったく必要なく、いとも簡単に答えを導き出すことが出来ると私は思っているのですが・・。

 

低インフレの理由

本題に行く前にまずはこちらから。7月30日~31日にかけて、日銀の金融政策決定会合が開かれます。これは、日本の当面の金融政策の方向性を決める会議で、景気を左右するかもしれない非常に重大な会議です。

日銀は現在、ある重大な悩みを抱えています。それはインフレが進まないことです。日銀はデフレを脱却するため、物価上昇率2パーセントという目標を掲げ、大規模な金融緩和策を実行していますが、その成果もむなしく、一向にインフレが延びてこないのです。

これは日本だけはない世界的な現象で、アメリカやヨーロッパでも、企業業績は過去最高水準にも関わらず、インフレ指標が相対的に低いままなのです。前FRB議長で、経済学者のジャネット・イエレンさんは、その理由を「謎だ」とおっしゃいました。

でも生意気ながら、私はその理由を見つけてしまったと思っています。それはここに書いてありました。

最大5000倍!社長と従業員の「報酬格差 」が止まらないカラクリ

1978年から2014年までの期間を見ると、この間に勤労者の報酬が11%しか伸びなかったのに、トップの報酬は10倍になっている。勤労報酬の年間成長が0.3%にとどまったのに、経営報酬は毎年3割近くインフレし続けたことになる

~ 現代ビジネス ~

経営者がインフレを独占し、従業員に還元しなかったからですね。勤労者=消費者です。報酬が上がらなければ、私たちは当然、値上げに応じることは出来ませんよね。だから、企業が値上げを無理に抑えて結局物価が上がらない、という悪循環が生まれているのです。

低インフレの理由は「報酬の格差」にある、と言うのが私の説です。つまり、現代の経営者(資本家)たちが、労働者に利益を還元する気がないと言うことが、その最大の原因となっているということです。

さて、気分が悪くなってきたところで(笑)、本題に行きましょう。

 

ベーシックインカムの本質

私が今回、「ベーシックインカム」について、勉強するのに、非常に役に立った本はこちらです。

こちらの内容を少し紹介させていただきながら、話を進めましょう。

A,I.で格差が拡大、その対策としてのB.I.

科学技術の進歩は、それだけで必ずしも明るい未来の到来を約束するわけではない。AIが全ての仕事をやってくれるようになったとしても、それだけで遊んで暮らせるハッピーな社会が自然と到来するわけではない

ロボットが、人を幸せに導いてくれる、そんな明るい未来を語る方もいますが、それは、単なる幻の様です。私もこのブログで人工知能が格差を拡大する未来を予測した記事を多数書いておりまして、全くの同感です。

AIが高度に発達した未来には、放っておくと失業と格差は著しく深刻になるので、再分配政策としてのBIが必要不可欠となる

ここ最近では、人工知能に仕事を奪われると言われることも多くなりましたが、この懸念がけっして大げさな臆病ではないことが、この本を読むとお分かりいただけるでしょう。そして、その対策として、ベーシックインカム制度がある、と著者の井上さんは言います。

労働者が資本家に雇用されないことで搾取されなくなれば、飢えて死ぬしかなくなる。このような大量飢餓をもたらし得る機械があって、それこそがAIでありロボットである

さて、ここまででベーシックインカムの本質が、ある程度わかったのではないでしょうか。ベーシックインカムの導入は、「可能か不可能か」ではなく、AIがこのまま進化した場合、必要不可欠な制度になるのです。

ロボットが発展したそう遠くない未来の私(あなたも?)が、「最低限度の生活」を営むための施しを恵んでもらう、これがベーシックインカムという制度ということです。

いい?悪い?

ここまでくれば、だいぶ気分が悪くなっていると思いますが(笑)、このベーシックインカムが、すんばらしい制度になる可能性もゼロではありません。積極的に肯定している人の中には、それを論理的に語る人もいます。

でも、そんなもん、論じても無駄です。

その答えは非常に簡単です。なぜなら、それは、資本家のさじ加減一つだからです。難しい理屈など、ありません。下世話な話、還元される金額の程度の話です。人はお金で幸せになれるんですよ、知ってましたか?

その額が大きければ、私たちは幸せになれるはずです。

さて、では、私たちの幸せの鍵を握る資本家、富豪さんたちの顔を思い浮かべてみましょう。このパソコンの基本ソフト会社のB.G.さんとか、日本では、携帯電話メーカーの社長のM.S.さんとか、衣料メーカーのT.Y. さんとか。後、私の嫌いなこいつ・・失礼、この方、

彼は、ベーシックインカムの熱心な推進者なようですが、まあ、どの人も偉そうで、幸せを運んでくれそうな顔してませんよね。あ、すみません、偏見です。

ベーシックインカムの具体的な金額は、月7万円と言う風に想定されることが多いようです。果たして、月7万円で私たちは、健康で文化的で幸せな最低限度の生活が送れるでしょうか。

はたまた、現在現実として、利益を独占することしか頭にない彼らが、未来において方針を転換するなんてことが期待できると思いますか?

 

共産主義なのか?

そして、もう一つこう思った方がいるかもしれません。

「この制度は共産主義? ということは危険な思想では?」

しかし、共産主義自体が、危険思想という訳では、ありません。危険と言うよりは、メルヘン思想、みたいな感じですかね。それがなぜ、忌み嫌われ、恐れられているかと言うと、

実際には資本家に代わって、政治家と官僚が人民を搾取していた

『AI時代の新・ベーシックインカム論』の中にこうあります。

時の独裁者が、この夢の理念を利用したというのが、歴史の本質です。いつの時代も人は「夢の~」というのに、非常に弱いのですね。

共産主義が危険と言われる所以は、独裁者が人々支配するための嘘に利用された歴史があるからです。そして、BIの発想は共産主義に似た部分を持つ、と言うことは言えるでしょう。

 

終わりに

「作者さんは、お金持ちへの嫉妬からこんな変な記事を書いたんだ」とか思わないでくださいね。半分以上当たっているかもしれませんが、しかし本当は、ある強い危機感から、私はこの記事を書いたんです。その危機感とは、資本主義は終焉に向かっているというものです。ベーシックインカムなんて、へんてこな制度の導入が真剣に検討されるなんてことは、その不気味な先触れだと思えばいいでしょう。

詳しく知りたい方には、『資本主義の終焉と歴史の危機』、水野和夫先生のこちらをお勧めします。

私は憤っているんです! 現代の経営者、資本家の利他精神のまったくない、せっこい姿勢に。

本当の最後にこんな古典をご紹介します。H.G.ウェルズの傑作『タイム・マシン』です。この小説は、資本家と労働者の格差の拡大を不気味に予言しています。

エロイのユートピアは偽りの楽園であった。時間旅行者は、現代(彼自身の時代)の階級制度が持続した結果、人類の種族が2種に分岐した事を知る。裕福な有閑階級は無能で知性に欠けたエロイへと進化した。抑圧された労働階級は地下に追いやられ、最初はエロイに支配されて彼らの生活を支えるために機械を操作して生産労働に従事していたが、しだいに地下の暗黒世界に適応し、夜の闇に乗じて地上に出ては、知的にも肉体的にも衰えたエロイを捕らえて食肉とする、アルビノの類人猿を思わせる獰猛な食人種族モーロック(Morlock)へと進化したのである。

-ウィキペディア-

私は、食人種族モーロックとなって、資本家をばりばり食わなくてはならない未来に遭遇するかもしれません(笑)。この記事はすでにそういう内容なのかな? と自ら疑いつつ・・