8月に入ってからと言うもの、株式市場が軟調な動きを続けています。NYダウや日経平均株価に目を向ければ、依然高値圏での推移を続けていますが、個別株は酷い状態で、個人投資家の方は身をもってその痛みを体感しているものと思います。
それに追い打ちをかけるようで、申し訳なく思いますが、現実は直視しなくてはなりません。そして多くのアナリストが現在これを言えないようですので、私がはっきりと書き記したいと思います。
上昇相場は既に完全に崩壊しています、と。
現実逃避のアナリスト達
8月13日にマザーズ指数は節目の1,000ポイントを割れ急落、年初来安値を大きく更新する事態となっています。これは多くのアナリストが所謂「サマーラリー」を口にする中で起こった出来事であり、個人投資家のダメージは計り知れないものと想像されます。
個人に人気の、マザーズの象徴的な銘柄と言える「CYBERDYNE」は、1月24日の年初来高値、2,099円から、8月17日終値時点で877円、半値以下という凄まじい暴落状態となっています。
また、私の大好きな会社である「任天堂」ですが、ご存知の通り、スイッチが大ヒット、業績は素晴らしく、株価は鰻のぼりで、昨年からの全体相場の上昇をけん引してきました。しかし、こちらも5月以降、特に理由もなく、3割も暴落。まるで粉飾決算でも発覚したかのような売られ方になっています。もちろん、そんなことは全くなく、本業のもうけは俄然好調です。
この象徴的な二銘柄だけを見ても、今の相場はとても強いと言えるようなものではないはずなのですが、非常に不思議なことにアナリスト達から、下への警戒を気にするような声が一向に聞こえてこないのです。
私のような素人が普通に見ても、そもそも「サマーラリー」などを期待できるような状態にはとても思えなかったのです。
何と言っても、今年の最大のリスクは、国際政治です。「米中対立」は苛烈を極め、世界経済の深刻な脅威となっていると言っていいでしょう。しかし、これに対しても、彼らは不可解な認識を示しています。
「選挙へのキャンペーンだ」「プロレスだ」「経済への影響は大したことない」
彼らは20年後、30年後の世界の覇権をかけ、大喧嘩をしているのです。いや、それはまだ序章に過ぎません。なぜ、この単純明快な事実を多くのアナリスト達は認めないのでしょうか? 私は不思議でなりません。貿易関税に対しても、
「経済合理性を欠いており、愚かだ」
などと説教を垂れる始末です。
第二次世界大戦で勝利、世界の覇権を何十年と維持してきたアメリカに、そんなことがわからないはずないでしょう?
商売は仲良く協力して最大値を目指すものですから、喧嘩するなら、経済は減速すると考えるのが普通です。
25%の関税をかけあっても、経済には大して影響はない、株価にも影響がない
一部のアナリストは、こんな珍説を唱えています。株価の予測には時に珍しい考えが必要な時があると思いますが、それがコンセンサスに近い状況だというのは、どうかしていると私は思います。彼らは現実逃避をしているように私には見えるのです・・。
企業業績は確かに好調です。でも、それがなんだと言うのでしょう。だって、それはもう過去の話ですよね? 彼らは今の状態が今後も続くよと言っているに過ぎないのです。
バブルだったのか?
株式市場のバブルはいったん崩壊した、全般相場を見る限り、私はそう思っています。いや、株式市場はバブルではなかった、そういう方もいるでしょう。私もずっとそう思っていました。
今年の初めに日経平均株価は24,000円まで上昇しましたが、企業業績から測ればそれはまだまだ割安と言える水準でした。過去と比較すればそれは明らかです。また社会現象としてみても、その差は鮮明です。
1980年代の平成バブルでは、最終的に一般の初心者までが相場に参加、みんなが株投資をやっていて、日常会話で銘柄の話をしているような状態だったと言います。
今年の1月に、そんな状況はまったく見られませんでしたよね? 個人投資家は過去最大規模の売り越しでしたし、私の周りに株の話をしている人なんて、人っ子一人いませんでした。
では、やはり、バブルではなかったのでは? バブルでなければ、弾けるも何もないのでは?
しかし、私は、昨年末くらいに、やはり所謂バブル的な現象を目にしていたことに最近気が付いたのです。それは株ではない市場にありました。仮想通貨です。
昨年、仮想通貨のビットコインが信じられないくらい暴騰したことは、ご存知のことと思いますが、あの時の状況はどうでしたでしょうか。
芸能人が騒ぎ、テレビで取り上げられ、私の会社の同僚も仮想通貨の話をしていました。また入ったファミレスの隣の席の二人組が仮想通貨の話をしていました。これは、まさにバブル的現象ですよね?
そして、今年に入り仮想通貨バブルは明らかな崩壊。このことを念頭に考えた場合、やはり、リスク資産はバブルだったのです。
従来であれば、株式市場に最後に参入してくる初心者投資家は、なぜか、超ハイリスクの仮想通貨の方に行ってしまいました。彼れらが株に来てくれれば、私も儲かったのに・・いや、何でもありません。
そのために、多くのアナリストはバブルに気が付けなかった可能性があるのではないでしょうか。
どの程度の調整になるのか
ただ、私は株式市場が終わった、とか、ここからまた失われた何十年がやってくるとか言っているわけではありません。しかし、2016年の日経平均株価15,000円程度から上昇した相場は、今年の1月の24,000円で終了した可能性が高いと思っているのです。そして、長い大きな相場が壊れた以上、修復にはそれなりの大きな調整を必要とするだろうと。
今のアナリスト達の言質は、私には理解しがたい内容になっています。そうそう、2016年の秋、EU離脱選挙直後でアナリストが総弱気の中、このブログである評論家のこんな奇妙な予測をご紹介しました。
「チャート上はもみ合いから上放れるように見えるが、雰囲気から下に行くだろう」
これを見て、私は上だと確信に近い感覚を持ちましたが、今は、この逆に近い状態になっています。私はチャートのことは詳しくないので、達人の方の解説を載せておきます。
日経平均株価、TOPIXの日足チャートを見比べれば一目瞭然ですが全体相場は完全に壊れています。
~ 株式投資勝利の法則 2018/08/16 ~
これが今、私達投資家が目を逸らしてはいけない現実ではないでしょうか。NYダウや日経平均はこれ以上下がらないのでしょうか。私にはそうは思えません。最後の砦となっているNYダウがドル安とともに崩れると、日経平均株価も相当の下落を伴うでしょう。
バブルが崩壊した後の調整としては、やはり、まだまだ値幅も期間も足りない、と私は感じています。