イギリスで、対EU強硬派のジョンソン氏が新首相に就任しましたね。それは随分前から予想されていましたが、その後に非常に奇怪とも感じられることが起こったのです。

英保守党支持率が急上昇、ジョンソン新首相を好感=世論調査

英サンデー・タイムズ紙の委託でユーガブが行った世論調査によると、保守党の野党労働党に対するリード幅が10%ポイントに拡大した。

ロイター

当ブログは、昨年の秋以降、こう明言してきました。

「合意なき離脱の確率は100パーセント」だ、と。

私はこの記事を見た瞬間、その「最終シナリオ」が、はっきりと見えた気がしたのです。

合意なき離脱の責任

とは言え、私はそこに至るプロセスを全て読み切れていたわけではありません。3月のEU会合で何事もなかったかのように、それが延期された瞬間は、全く何が起きたのか理解できませんでした。

しかし、どうしても、「合意なき離脱」が無くなったとは、思えなかったのです。そして、時が経つにつれ、それはやはりという形になり、今回とうとうその終着点を目にした、と思うのです。

同紙は、支持率上昇を受けて、ジョンソン首相が早期の解散総選挙に打って出るとの観測が高まる可能性があるとしている。

それは、ここの部分に明確に描かれているように思います。私は、昨年秋以来、確実に「合意なき離脱」に至るという考えを疑ったことはなかったのですが、自分でも消化仕切れない一つの大きな疑問を抱えていたことも事実です。

それは、その責任はだれが取るんだ? と言う大問題です。

「合意なき離脱」が実際に起これば、それは間違いなく教科書に載る歴史上の一大事件となります。それを英議会が引き起こす? どうもこの部分はしっくりきませんでした。

例え一時的であれ、愚行として世界中から非難を浴びるであろう、合意なき離脱が、国民の意思を無視し、政治主導で行われた、と言うことになると、イギリス政治は、修復不能なほどの致命的なダメージを被ることは、想像に難くありません。

再び国民に選ばせるのか? 実際にそんな考えがよぎったこともありましたが、今、再び国民投票を行えば、残留派が勝つ、そのような観測が多くあったため、私の中でそれは早々に否定されたのです。

ですが、人気者であるとされるジョンソン氏の登場で、その風が変わったことを私はこの記事から読み取ったのです。実際のところ、この支持率の上昇など、信用に足るものではない、と言うのが個人的な見解です。

少し奇妙な話に思われるかもしれませんが、実際に支持が増える必要などないのです。日本での2年前の日本のある事件で私は学んだのです。それは、「小池百合子旋風」です。

私は、小池百合子人気は嘘ですよ、と当時、facebookページなどで書いていましたが、あの人気ぶりの奇妙さも今となっては、多少とも理解されるでしょうか?

私はあれは間違いなく、メディアによるでっち上げだったと思っています。

目的達成のために必要なことそれは、

「俺は小池百合子が嫌いだが、巷では人気があるんだな」

と皆に思わせること。たったそれだけで、旋風は起こせるのです。なぜなら、「人気者だと言う話自体嘘だ」、などと考える奇特な人間は、私くらいしかいないからです。

ですから、ジョンソン氏が実際に人気者である必要はなく、「人気者らしい」と国民に思わせられれば、事は十分なのです。その役割を果たすのは、当然メディアです。それこそが、メディアの真骨頂です。

その人気にあやかって、「合意なき離脱」が選択されれば、国民は疑問を抱くことはなく、結果、自分たちが選んだ、と思い込む。これは実に巧妙なトリックだと思います。

私は、このマジックによって、「合意なき離脱」の責任が英国民に押し付けられる、それが究極の筋道である、と思うに至りました。

10年後の教科書には、きっとこう記されるのではないでしょうか。

2019年10月、英国民は、自らの意志で合意なき離脱を選択した。世界的なポピュリズムの波がイギリスをも巻き込み、世界的な一大事件を巻き起こした。

合意なき離脱後の世界は決まっている

英首相官邸は26日、ジョンソン首相とトランプ米大統領が電話会談し、英国の欧州連合(EU)離脱後速やかに通商協議を開始することで合意したと発表した。

ロイター

合意なき離脱後の世界は、既に計画されています。もちろん、陰謀論やフィクションではありません。

イギリス、東南アジアに軍事基地を検討 「再び世界的な影響力を」と国防相

イギリスが東南アジアに海軍基地を置く計画を進めている。ギャビン・ウィリアムソン国防大臣が英紙テレグラフのインタビューで、ブレグジット後の新たな英国の軍事プレゼンスを構築するためだと語った。

(中略)

3月29日のEU離脱を控え、ウィリアムソン国防大臣は年末のテレグラフ紙のインタビューで、「今は、我が国にとって第2次世界大戦後最大の転換点だ」とし、「今こそ再び真のグローバル・プレイヤーになるときだ。私は、軍がその重要な役割を果たすと考えている」と語った。

(中略)

その際は、主に北朝鮮の脅威を念頭に置いた発言だったが、その1週間後の米朝首脳会談以降の緊張緩和を経て、今後のアジアの緊張の焦点は中国の海洋進出にあると言っていいだろう。基地建設の目的も、南シナ海に近い最前線でアメリカや日本と歩調を合わせることにあると見られる。

NEWSPHERE

この記事を読めば、なぜ「合意なき離脱」の確率が100パーセントと言えるのか、その理由の神髄が分かってしまうでしょう? 結論は決まっているのです。

「英国民に全責任を擦り付けた上での、合意なき離脱」、これこれが、米英、強いては世界の支配層の、この件に関する究極のシナリオだ、と見ていいのではないでしょうか。

全ては、資本主義陣営の支配層と中国共産党の戦争に端を発しているのです。そして、その先にはEUの崩壊すら待っている可能性が高まるでしょう。

(イギリスが)今こそ再び真のグローバル・プレイヤーになるときだ。

ですから、この件に関する正しいトレードは、「ユーロ売りのポンド買い」になるはずです。私はその時、ポンドは歴史的な買い場になると思います。なぜか、イギリスの復活は約束されているからです。