「ロシア疑惑」の捜査が終了した、とのニュースが先日世界を駆け巡りましたね。そして、結果は「証拠は何もない」とのこと。当ブログでは、この疑惑に関して、既に単なるでっち上げだと断定してきましたので、驚きはありませんし、話の中身に全く興味はありません。

そもそもこの話が本当であれば、「国家をロシアに乗っ取られた」ということであり、メディアが大騒ぎして済む話ではありません。なので都市伝説にも劣る小学校低学年レベルの嘘なのですが、しかし、この疑惑が終了した、と言う事実は、かなり重大な世界史上のターニングポイントになる可能性が高いのです。

今回は、そんなお話を毎度おなじみの私の名推理(笑)を交えながら、書いてみたいと思います。

最大の抵抗勢力

「ロシア疑惑」の本質

ではまず「ロシア疑惑」とはいったい何なのか、に関してですが、これはトランプ政権の政策へ抵抗する米国の巨大権利機構、「軍産複合体」に野党の民主党が乗じることで作られたフェイクニュースであるという結論で問題ないかと思います。

彼らがいったいトランプの何を邪魔したいのかと言うと、「在シリア米軍撤退」や「在韓米軍の撤退」などの大きな軍事費の削減です。

21世紀初頭でのアメリカの軍需産業にとって、中東地域に関しては大きく2つの点で、基本的に反イスラムの立場をとることが自己の経済的利益に結びつく構図となっている。1つは、冷戦崩壊後の国際社会の平和安定化が進展することを防ぎ、軍需産業にとっては適度に不安定化することで「イスラムへの脅威論」が現実味を持つことである。

ウィキペディア 『軍産複合体』より

まあ、簡単な話ですよね。彼らの利益が大きく削がれますから。中東ではロシアと軽い喧嘩をしていた方がいいので、そのための「ロシア疑惑」という訳です。在韓米軍の撤退も同じ理由で、彼らは必死に抵抗しています。

トランプ政権の本質

では次にトランプは、アメリカ国家に頑然と横たわる巨大な既得権益と戦ってまで、米軍の撤退を強行しようとしているのでしょうか。そんなことはせずに、彼らと仲良くした方が、ずっと楽に大統領ライフを謳歌できそうなものなのに。

しかし、彼はある大きな使命を背負って、アメリカ大統領に就任しています。その使命とは

中国共産党を倒すこと、ですね。

軍産複合体の経済的利益は、もちろんアメリカの税金からもたらされたものですが、アメリカの巨大な軍事費による財政赤字は国力の衰退に直結しています。トランプは、世界に駐留する無駄な米軍を撤収し、対中国戦略としてアメリカ本国の力を高めようとしています。

これが彼の言う、「アメリカ・ファースト」の意味です。

疑惑はなぜ急に終了したのか

しかし、それにしてもなぜ、「ロシア疑惑」の捜査は、突然に終了する運びとなったのでしょうか。軍産は、アメリカ大統領選挙の時から、メディアを通してトランプを攻撃していましたし、就任してからも彼の行動をずっと邪魔して来ました。

しかも、彼らのアメリカ政界における力は絶大なものであるはずなのですが・・。この点に関して、私はこの事故が軍産敗北の決定打になったと見ています。

トランプ氏、ボーイング事故同型機の運航停止 大統領令

トランプ氏は13日午後、記者団に「墜落事故の解決策を見つけられるまで『737MAX』の運航を止める。運輸長官とFAA局長代行、ボーイングのCEO(最高経営責任者)とも会談して支持を得た」と述べた。

日本経済新聞

え? なんで? と思われた方は先程のウィキペディアの『軍産複合体』の項目を読み進めてみてください。

ロッキード社、ボーイング社、レイセオン社といった巨大兵器メーカーはアメリカ国内にて多数の工場を持ち、また、陸海空軍及び海兵隊の四軍の基地はそれぞれの基地所在地域にとって他に代わりのない有力な就職先となるなど、地元の雇用とアメリカ議会議員選挙時の支持票とが密接に結びついているため工場や基地の閉鎖・移設は、たとえそれが合理的な理由によって本当に必要と考えられても議員にとっては最大限に避けるべき要素となり得る。

ボーイング社は軍産複合体の中核企業なのですね。つまり、737MAXの事故によって、ボーイングはトランプさんに首ねっこを掴まれたも同然の状態になってしまったのです。こう言っては不謹慎ですが、この事故はトランプ政権にとって、神風となったことは間違いないと思います。まるで、松本清張の小説「十万分の一の偶然」・・。

ちなみにトランプ政権の敵としてよく「グローバリスト」が言われますが、言葉の意味そのものは違いますが、実体としては軍産とニアイコールと考えても問題ないでしょう。

軍産複合体とはメディアも同胞、世界的な企業の連合体だからです。

トランプがとっても強い理由

それにしても、トランプさんと言うのは、実に強いですね。大統領選に出馬した当初は単なるネタキャラだと思われていたのに、実際に大統領になっちゃうし、就任してからも弾劾されるのではないか、と言われながら、選挙公約を次々と達成。政権内の軍産系幹部をほとんど排除し、対中強硬派で固めて、今回とうとうロシア疑惑まで終了させて、ほとんど無敵の状態になっています。

こんなことは彼がスーパーサイヤ人でもない限りあり得ないことでしょう。ではなぜ、彼はこんな偉業を成し遂げ続けているのかと言うと、彼の支援勢力が彼の巨大な政敵をも上回る力を持っている、という非常にシンプルな理由がそこに存在しているからなのです。

マサチューセッツ工科大学の名誉教授、ノーム・チョムスキーさんは、トランプが大統領選挙に勝てた理由について、「保守的なグループ」が想像以上の権限を有しているからだ、と言及しています(人類の未来―AI、経済、民主主義 (NHK出版新書 513)。

そう、「保守的なグループ」こそが、トランプ政権の力の源泉なのです。これは、現在のトランプ政権、アメリカ政治は民意ではなく、「保守的なグループ」の意向に支配されていると言うことを表しています。

コラム:米国は本当の民主主義国家と呼べるか

2018年の米中間選挙は、気がかりなほど、民主的な度合いが低い国の選挙に似た様相を呈している。

(中略)

2016年の大統領選で、2000年のジョージ・W・ブッシュ氏に続き、トランプ氏が一般投票で過半数を得ずに当選した今世紀2人目の共和党大統領となった

ロイター

アメリカ政治に気がかりなほどの影響力を持つ、「保守的なグループ」とはいったい何なんでしょう。

16年前、同じようなグループに支配されていた可能性の高い共和党のジョージ・W・ブッシュ政権。その時の彼らはネオコンと呼ばれていました。世界的な投資家のジョージ・ソロス氏は、その勢力をこう呼んでいたそうです。

「過激派」

実のところ、世界的に有名なイスラム過激派なるグループは、皆さんが思っているほどには存在していません。本当の過激派は、全く別のところにいるのかもしれませんね。

では、現在の「保守的なグループ」の具体名を一つ提示しましょう。それはイスラエルのネタニヤフ政権です。

これから起こるかもしれないこと

最後にこの記事でお伝えしたかった、「これから起こる可能性が高くなったこと」、を書いて終わりにしたいと思います。

ボーイングの失態により、軍産複合体は、トランプに対し致命的な敗北を喫したと言えるでしょう。その結果、「ロシア疑惑」が終了しました。となると、今まで邪魔されて進まなかったトランプの政策が大きく進む可能性が出てきたと推察できます。

その大きな二つが「親ロシア政策」と「在韓米軍の撤退」です。親ロシア政策については、過去に散々書いたので詳述しません。

米情報筋「韓米合同軍事演習の縮小、シャナハン国防長官代行が主導」

トランプ大統領はシャナハンを長官代行に任命しながらツイッターで「非常に才能があるパトリック・シャナハン」という表現を使った。情報筋は「成果志向的でありトランプ大統領に対する忠誠心が強いシャナハン長官代行が、トランプ大統領の意中を読んで先制的に韓米合同軍事演習の縮小を進めているようだ」と伝えた。

中央日報

繰り返しとなりますが、この二つの政策は、対中国戦略だと言うことです。まあ、この二つに限らずトランプの政策はすべてが、対EU戦略、その先の対中国戦略となっていることは従来お伝えしてきた通りで変わりありません。