トランプ政権の動きが露骨になってきましたね。連日報じれられる対中国強硬姿勢、突然のメキシコへの関税の表明、そして、こちら。

トランプ米大統領は2日付の英紙サンデー・タイムズのインタビューで、英国に欧州連合(EU)から何の取り決めもないまま離脱する「合意なき離脱」を推奨した。

時事ドットコム

当ブログは昨年夏から、「合意なき離脱」はトランプ政権の戦略だ、と分析して来ましたが、とうとう彼自身がそれを肯定しました。果たしてこの意味とはいったい何でしょうか。

隠れているからこそ戦略である

2016年のアメリカ大統領選挙で、トランプ氏が大統領に選出されたことを知らない、と言う人はいないでしょう。しかし、そのトランプさんが、これほどの対中強硬、対EU強硬姿勢の人だったことを知っていた人はどれほどいたのでしょう。

無知で愚かで気分屋、酷いものでは精神病、なんて評判もあった彼。でも、これが明確な戦略だった、と言ったら、驚きでしょうか。

実際には非合理的(あるいは狂気)ではなく、駆け引きや競争の戦略の一部として意識的にそのような型破りな行動をとっているのだとすれば、このいわゆる非合理な行動はゲームの「利得」に関しては事実上合理的な行動なのである。

『米中もし戦わば』 ピーター・ナバロ

そう、実際にそれは巧みに隠されていたからこそ、誰も気が付かなかったし、だからこそ、戦略として機能していたのです。

しかし、流石にもうそろそろ、気が付いてもいいのではないでしょうか、馬鹿にしていたはずのトランプに実は騙されていたのだと言う事実に。

トランプは世界の支配層が選んだ

大統領選挙ではヒラリー・クリントンのほうがあきらかに得票数が多かった。彼女が当選できなかったのは”選挙人制度”という米国の風変わりな制度のせいだ。

『誰が世界を支配しているのか』 ノーム・チョムスキー

私は2016年の米大統領選挙は、初めから結論の決まった出来レースであった可能性が極めて高いと思います。以下は私の想像に過ぎませんが、ヒラリーは初めからトランプに勝つ気などなかったのではないでしょうか。

彼女の役割は、トランプの本当のライバルになりそうな候補者を予備選で落とすことにあったのではないか、つまり、支配層の息のかかっていない本物の民主党候補者を潰すことにあったのではないか、と言うことです。

なぜかと言うと、クリントン財団は世界有数の財団で、ちょっと調べただけでも、非常に悪名高いですよね。トランプを支援したとみられる勢力と繋がりをもたない、と考えることはかなり難しいと思うからです。

ただ、勘違いしないでほしいのですが、私はこの選挙が不正だった、と言っているのではありません。選挙人制度は風変りですが、もちろん列記としたアメリカ国家の制度です。その中でこのような結果になっただけなのですから、不正だなんて当然言えないでしょう。

ばれたらまずい不正などは、所詮は2流、3流以下のやることです。彼らは根本のルール、システムを支配していることが、はっきりとここに示されています。しかも、かれらはご丁寧に、「マスコミが読み間違えた!」と言う明らかなフェイクニュースまで世界中に宣伝しましたね・・。

マサチューセッツ工科大学名誉教授、ノーム・チョムスキーさんは、別の著作でそんな彼らのことをこう呼んでいました。「保守的なグループ」。

トランプの当選と英国のEU脱退の国民投票、そしてヨーロッパ全域での極右の台頭には間違いなく共通点がある。 ナイジェル・ファラージ、マリーヌ・ルペン、オルバーン・ヴィクトルといった、極右のリーダーたちは、すぐにトランプの勝利を祝福し、彼を”仲間”と認識した。この展開には恐ろしいものがある。

『誰が世界を支配しているのか』

彼らは一体何を企み、世界で何を起こそうとしているのでしょう。その答えはもう簡単です。彼らの世界支配に挑戦できる力をつけた中国を叩き潰す、目的はただその一点のみ。そして、今世界で起きていることはすべて、その派生に過ぎない、と言って過言ではないのです。

ペンスは、米国の歴代政権がこれらの事実を無視してきたことが、中国を有利にしてきたと指摘。そして、「そうした日々は終わりだ!」と力強く宣言した。

この演説の後、明らかに米国政府の動きは変わった。一言でいえば、米国の支配者層が「中国打倒を決意した」ということだろう。

ダイヤモンド・オンライン

日本を待つ苦しい未来

アジア安保会議 主要議題は「南シナ海領有権」 米中が火花か

会議の主要議題は、中国と東南アジア周辺国などが領有権を争う南シナ海問題となる見通し。南シナ海では中国が軍事力を背景に実効支配を拡大。米国は批判を強め、アジア太平洋地域における米中対立の「主戦場」となってきた。

毎日新聞

トランプ大統領が、対中国強対決姿勢を露骨に示したことに対し、好意的な見解を持つ人も多くいるでしょう。もちろん、中国共産党は日本にとって、非常に危険な存在と言え、放置していれば、私たちは将来的に彼らの弾圧を受けることになることは、ほぼ間違いないでしょう。

しかし、かといって、アメリカ、トランプ大統領が示す姿勢は、私たちにとって、そう甘いものでは決してないのです。

南シナ海での軍事衝突、それが私たちにとっての最悪の未来のうちの一つであることに異論の余地はないと思いますが、今の時点で私はそれを予想していませんし、そんなことは考えたくもありません。

しかし、もし万が一、そのような事態が発生した場合、最前線で戦うことになるのは、アメリカではなく、私たちになるであろうことは、容易に想像がついてしまうのです。

ビジネスの世界のタフな交渉に長けたトランプ氏にとって、「米軍撤退」や「核保有容認」を持ち出すことは、駐留経費負担釣り上げのための日韓に対するブラフ なのかもしれない。
 ただ……このように差し引いて考えること自体、希望的観測に過ぎるのかもしれないし、そこにトランプ氏の、真意の読めない、先の読めない不気味さと危うさがある。

IRONNA

さて、ここまで来て、今更、トランプのこの発言を「ブラフだ」と断言できるほど、あなたは信心深いでしょうか?

そしてこうは思えませんか? 北朝鮮は、トランプのその思いに、いったいどれだけ貢献しているのだろう。少なくとも、彼らはその準備だけは着々と進めているのです。

隠れているからこそ戦略だ、さきほどこう書きましたね。世界の支配層の戦略を決して侮ってはいけません。彼らの計画は、常に私たちの想像をはるかに上回っていると考えるべきです。

陰謀論? テレビに出ているジャーナリストや大学教授がいったい何を教えてくれましたか? 他に関しては知りませんが、この件に関して、彼らは素人以下です。(チョムスキーさんは別にしてね・・。)

なぜなら、彼らは元締めの作り出したシステムの一部だからです。

心の準備ができるだけ

さて、では、そんなとんでもない計画に気が付いたからと言っていったい何が出来るのかと言うと、何も出来ることはありません。間違えても彼らと戦おうなどと考えてはいけません。

彼らの力はあまりにも巨大で、到底勝ち目などないのです。安倍首相が対米従属だって? そんなの当たり前じゃないすか。それ以外に日本の首相でいられる方法ってあるんですか?

支配層の計画に則って、これから東アジア、日本ではとんでもないことが次々と起こるでしょう。しかし、それらが全て戦略だと知っていれば、無駄に驚き、狼狽から来るみっともない被害者意識をまき散らすことも、少しは少なくなるのかもしれません。