皆さま、明けましておめでとうございます! 本年もぜひよろしくお願いいたします。2020年の一発目の記事なのですが、おおみそかに大きな話題となったこちらのニュースになりました。

本当はもっと明るいニュースにしたいと毎年思っているのですけどね・・。

さて、今回のゴーンさんの逃亡劇で一番得を掴んだのは誰だと思いますか? これを考えるとこの事件の全貌が見えてくる気がするのです。ミステリー小説でも読む気分で今回の事件を紐解いてみましょう。

ゴーン逃亡で最も打撃を受けた人

昨年31日、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告保釈条件に反してレバノンに出国した今回の出来事ですが、もっとも打撃を受けたのは誰なのでしょうか。

弘中氏は「朝のニュースで知った。報道以上のことは知らず大変困っている。事実とすれば保釈条件に違反していると考えざるを得ない」と話した。ゴーン被告とは次回、1月7日の弁護団会議で会う約束だったという。

産経新聞

テレビなどでも取り上げられ、敏腕と謳われる弘中 惇一郎 弁護士、彼が今回の一番の被害者だと言えるでしょう。なぜなら彼は今回の事件での無罪の獲得に強い自信を示していたからです。

でっち上げか?

私は元々この事件は「でっち上げに近い」性質のものではないか?とFacebookページなどで書いてきました。実際、日産には怒っている人がたくさんいるみたいなので、彼はきっと何か「道義的に悪いこと」をしたのでしょう。

しかし、だからと言ってそれが直ちに有罪になるかと言うと話は全く別問題です。と言うか、もしそうなっちゃうとかなり怖い話になります。極端な話、嫌われたら逮捕されるという話になりますから。これは法治国家がやることですか? と言うのは正当な疑問だと私は思います。

そもそもこの件、ゴーンさんがどんな悪いことをしたのか、ほとんどの人は理解していないでしょう。私には分かりません。 「何が悪いのか理解できない罪」 そんなのってこの世にあるんですかね?

「絶対に許せない!」と誰もが思う。それが犯罪の根幹であるべきだとは思わないでしょうか。

私はこの事件は体制側と一緒になってゴーンの悪いところを探すよりも、法治国家にあるまじき危機的な事態が起きたと捉えるべきと思っています。

弘中弁護士は、当別背任容疑で

<1>15年12月から18年7月にかけて、UAEの会社「中東日産」からオマーンの代理店SBAに対し計1500万ドル(約16億9800万円)を支出させ、うち500万ドル(約5億6300万円)を実質所有するレバノンの投資会社「GFI」名義の預金口座に送金させ、日産に損害を与えた疑い

<2>信用保証に協力したサウジアラビア人の知人の会社に、子会社から1470万ドル(現在のレートで約16億円)を入金させた疑惑

が持たれている件について「検察の手元にある証拠で、こちらの犯行を立証するものは1つもない」と東京地検特捜部を痛烈に批判した。

日経新聞

は? 何の罪ですかこれ? 「いったい何がそんなに悪かったのか」私や小学生にも分かるように、ちゃんと説明できる人いますかね? ネット上には、弘中弁護士は「本当は悪い人」を助ける悪い人だというようなことを言う人もいました。それこそかなり危険な考えであることは言うまでもないでしょう。

弘中弁護士は「検察は逮捕した後に、重要な人物の証言を取ろうとしている。つまり、証拠に基づいて逮捕、起訴したのではなく、逮捕の後、何か証拠がないかと、やっきになってきた」と主張。

日経新聞

更には、つまり事件はでっち上げだと弘中氏は言うわけです。

弘中弁護士は、前会長から事前に出国の連絡は一切なく、パスポートも弁護団で保管していたといい、「背景に大きな組織が動いたとしか思えないが、心当たりはない」と述べた。

毎日新聞

ですから、私には心当たりがありすぎるほどにあります(笑)。前回の記事でも書いたのですが、信長も真っ青の「鳴かぬなら鳴いたことにしてしまえホトトギス」・・。 まあ、完全に彼らのやり方ですよね。

全面無罪を訴えてきた弁護団は「寝耳に水」と困惑し、有罪に自信をみせていた検察は「真相解明が遠のいた」と憤った。

今回の件で、ゴーン氏は 無罪を勝ち得たはずが、 保釈条件に違反したことで有罪が確定してしまいましたよね。でも、彼は「保釈条件に違反する罪」と引き換えに自由と言う大きな物を得ることが出来ました。対して弘中氏は逃亡の責任さえ問われる立場になってしまったのです。

ゴーンさん、弁護団、検察、この三者で誰と誰が得をし、誰が大損害を被ったでしょうか? ミステリ小説の犯人はもう見えたようなものだと私は思いますが、皆様の推理はいかがでしょうか。

真相が遠のいた? 憤った? へえ~そうですか。でも、今回の件で検察は全く損失を追っていないどころか、むしろ大きな利益を得ていないですか? 彼らは裁判ではまったく勝ち目がないことを初めから知っていたんじゃないですかね? 相手はあの弘中氏ですし。無罪になってしまえば、それこそ彼らの権威は危機的に失墜したはずです。

「こういう戦い方もあるんだよ」

検察という大きな組織相手にこれまで数々の勝利を手にしてきた敏腕、弘中氏は今頃、呆然自失となっているかもしれません。もしかしたら、完敗したことにすら気が付けていないかもしれませんね。それは彼が全く予期していない手だったことは間違いないでしょう。

さすがに今回は相手が悪すぎました。だから、いつも言ってるんです。彼らと戦っちゃダメだってね。

事件の正体

さて、では最後にこの「奇怪な事件」の正体に触れて終わりにしたいと思います。

ゴーン容疑者逮捕で見えた、ルノー・仏政府の危うい「対中傾斜」

ルノーや日産などは10月に、中国の自動運転開発企業「ウィーライド エーアイ」への出資を発表。昨年12月には、ルノーが中国の華晨中国汽車(ブリリアンスチャイナ)との間で合弁会社を設立し、EV(電気自動車)を生産するなど、対中傾斜を鮮明にさせていた。

ルノーの中国への投資の拡大は、フランス政府も軌を一にする動きでもある。

アメリカから貿易戦争を仕掛けられている中国は、トランプ米政権と距離を置くフランスやドイツに楔を打ち込み、「対中包囲網」をかいくぐろうとしている。そうした大国の思惑が渦巻くなかで、日産がルノーの子会社になることが、果たして日本の国益にかなうのか疑問であるとの指摘もある。

そうした見方に立てば、日産会長だったカルロス・ゴーン容疑者の逮捕劇も違った形に見えるだろう。

the liberty web

ま、そういうことでしょう。前回の記事に私はこう書きました。今の世界の大きな出来事のすべては米中覇権争いとそこからくる派生に過ぎない、と。今回の事件は、その典型的な例であったということが言えるのではないでしょうか。