「最後の株バブル相場」がやって来る、そんな記事を書いたのは、つい2日前です。しかし、同時に私はこうも書きました。「合意なき離脱」を相場が織り込む時、私は再び弱気に転換します

もしかすると、なんと、たった2日で前回の記事の大ハズレが決定し、その時が来てしまったのかもしれません。今日の動きを見て、投資家の中には、こう思った人もいたことでしょう。

「異常な下落、とうとうバブルの崩壊ではないか?」

「合意なき離脱」がその直接の要因になる、私はずっとそう考えてきました。答え合わせの時が、とうとう迫ってきたように思います。株式とポンドの下落がリンクしてきたことに要注目です。

「コロナ危機」にあらず?

昨今の「新型」コロナウィルスによる経済の減速が、株式相場下落の最大の理由とされることは、一見最もに思えます。しかし、こうなることは、少し前から分かっていたことであり、テレビ報道を見て株が下がるなんてあり得ないというのは、多くの投資家にとっては、普通の考えとなるでしょう。

そもそもとして、経済が減速するから株が下がるわけではありません。彼らは経済動向などには、まったく興味がないのです。これも投資家ならば、みんな知っているはずで、実際に彼らは、つい3週間前までこれらをまったく無視していたのです。

「合意なき離脱」が無くなった、は出鱈目

私が昨今の暴落の理由と考えるのは、冒頭に書いた通り、イギリスの「合意なき離脱」です。え? 「合意なき離脱」は無くなったんじゃないの? 私の記事を始めて読んだ方は、そう思っているかもしれません。実際、コンセンサスはそうです。しかし私は、それは全くのデタラメであり、むしろ事態は決定的だと主張してきました。

英政府は27日、欧州連合(EU)離脱後のEUとの自由貿易協定(FTA)など将来関係の交渉に関する方針を正式に公表した。6月末までに一定の進展が得られない場合はFTA交渉を事実上決裂させて、関税の急上昇など無秩序な離脱への準備に専念するかどうかを判断する。交渉が順調に進めば、9月までに結論を得る目標も示した。

(中略)

これに加えて27日公表の文書では、交渉が進展しない場合に6月末の時点で「英国の関心を(EUとの)交渉から遠ざけ、秩序ある状態で移行期間を終了するための国内準備にのみ焦点を当てるべきか決定する」と明記した。

英、6月末に交渉決裂か判断 EUとの交渉方針公表 日本経済新聞

イギリスは先日、EUとの交渉方針を発表しましたが、それは決裂が前提になってしまっています。もはや、「合意」は見る影もありませんが、常識的な人はきっとこう反論するでしょう。

「FTAなし」の状態は避けたいのが本音のEUを揺さぶり、有利な条件で早期妥結を図る狙いがあるとみられる。

しかし、この見方は明らかに間違いです。彼らは、瀬戸際戦術など初めから用いていないのです。その理由はとっても簡単です。それでEUが折れるはずがないからです。この交渉において、EU側が譲歩したことは、嘗て一度もありません。彼らにとっては、譲歩は敗北を意味するからです。この見方は、もう死に体です。

「合意」の嘘

しかし、実際にジョンソンとEUは合意したじゃないか、と言う人もいるでしょう。私も当時は、この矛盾に混乱しました。しかし、真実が暴露するのに、そんなに時間はかからなかったのです。その答えは「合意は嘘だった」という到底信じられないようなものでした。

矛盾ですから、どちらかが嘘なのです。みんなは当然ながら、ジョンソンの「合意なき離脱を辞さない」はポーズであり、嘘だと思った。しかし、実際は逆だったのです。

さかのぼりますが、ジョンソン首相が昨年10月にEUと合意した離脱協定に基づけば、英領北アイルランドをEUの関税同盟と単一市場にとどめ、英本土との間で通関検査を行うとしています。

英国がこの約束を守ることが交渉の前提となりますが、昨年12月の総選挙に向けた演説で「英本土と北アイルランドの間では一切、検査は行わない」と発言したことから、EU側は英国が離脱協定の約束を反故にするとの警戒感を強め、EUとの規制には応じない構えと見られています。

英EUの貿易交渉が決裂すればポンド売りへ警戒を マネクリ

ジョンソンは結んだ合意を守らない・・「合意」が結ばれた直後、ブレグジット党、党首ナイジェル・ファラージは、「その合意案は破棄されるべき」と訴えました。私は、論理的に考えるならば、彼の言葉通り、協定案は破棄されるとしか考えられない、と書きました。

例え信じ難くても、やはり、1+1の答えは2以外はあり得なかったのです。

「総選挙劇場」のからくり

このジョンソンの合意~総選挙の劇場には、大きなからくりが隠されています。「世にも奇妙なブレグジット物語」と言う記事で詳しく解説いたしましたので、割愛して話しますが、ジョンソン首相は、この劇場で世界中を詐欺に引っ掛けたのです。

そもそも、ジョンソンとEUが結んできた「合意案」は、前メイ首相の物とほとんど変わらない、EU恭順的な内容でした。だからこそ、EUは歓迎したのです。それがなぜ、今更素晴らしいアイデアだとして祭り上げられたのでしょうか。

それは、メイの時は強硬に反対していた離脱派が、「ほとんど一緒の協定案」には、”なぜか”賛成に回ったからです。その「素晴らしいアイデア」は、ジョンソンの部下である強硬離脱派の”裏切り”により、議会通過が可能になり、彼の評判が作り上げられました。

そして、ここでさらに奇妙なことが起こりました。ジョンソンは、通過寸前の協定案の採決を止め、総選挙に話を刷り替えてしまったのです。可決出来るはずの採決をせず、総選挙? 全く意味不明ですが、結果、ナイジェル・ファラージという刺客の力を借りて抵抗勢力を蹴散らしたジョンソンは、選挙の勝利で独裁政権を作り上げて、おまけに「早期の離脱(結果の合意なき離脱)は民意」という、究極の後ろ盾まで手にしたのです。

しかし、実際には、英国民はこのドラマに扇動されていなかったことが、その投票行動からも明らかになっています。

小選挙区制の奇妙な点は、過半数の票すら獲得しなくても「地滑り的」勝利が起こり得るということだ。ボリス・ジョンソン首相が今回安定過半数を得たのはまさにそんな一例だが、興味深いのは、テリーザ・メイ前首相の下で保守党が「惨敗」し、不安定な連立を組む羽目になった2017年の得票率(42.4%)と比較して、ジョンソンがそれを多少上回る程度の得票率しか得ていないことだ。実際、彼はメイよりほんの33万票上回る票を獲得しただけだが、労働党の票が崩壊したために、保守党圧勝につながった。

数字から見る英総選挙の結果とイギリスの未来 Newsweek 日本版

これは小噺か何かですか? いえ、民主主義の大先輩、イギリスの実際のお話です。なるほど、「民主主義とはこういうものだ」ということを赤裸々に教えてくれる、まさに鏡ですね。

このカラクリの手口にものの見事に騙されたのが、自称専門家たちで、彼らは、ジョンソンは稀代の政治家だとその手腕を絶賛しました。

「嘘の合意案」をEUと結んで来て、それを部下に賞賛させた上、採決を取らずに、解散総選挙を決行。結果、惨敗時と変わらない得票を得て、早期離脱の責任を国民に押し付けた。

とんだ、敏腕政治家もいたものです。

「合意なき離脱」はインサイダー

「合意なき離脱」は、世界的なインサイダー。私は2018年から始まった株価の乱高下は、それが原因とする疑惑を提示してきました。

ハモンド氏はタイムズ紙に掲載された論説で、「ハードブレグジットの可能性に数十億投資する投機家にジョンソン氏は支持されており、彼らに都合のよい唯一の選択肢は、通貨を下落させ、インフレを押し下げる合意なき離脱だ」と主張した。

  一方、ジョンソン首相の妹で、熱心なEU残留支持者であるレイチェル・ジョンソン氏もBBCラジオで、「ポンドを空売りし、国を空売りする」人々と首相との関係を示唆した。

「合意なき離脱」期待か-ジョンソン氏にファンド業界の多額献金
ブルームバーグ

ほらね、ちゃんとした証言もあります。証言者の一人は、ご身内ですからねえ。

投資家最大の脅威

私はこの問題が、投資家最大の脅威になることを確信しています。なぜなら、私たちは史上初めて、このような出来事を経験することになるからです。まさに前代未聞です。もちろんですが、何が起こるか全く分かりません。 こんな政治状況を人為的に引き起こそうなどと言うのは、狂気の沙汰としか言えませんが、彼らは本気です。

しかも、その先には最悪のシナリオとして、ドイツ銀行の破たんが控えていることを踏まえると、投資家の心が耐えられるはずないでしょう? これはマーケットにとって、コロナなどとは比べ物にならない本物の脅威です。

英国の欧州連合(EU)離脱を巡り、英・EU間のデリバティブ(金融派生商品)や保険など金融取引の継続性に不安が強まっている。英中央銀行のイングランド銀行は条件合意なしの「無秩序離脱」の場合、最大で41兆ポンド(約6000兆円)のデリバティブが不安定な状態に置かれると警告。関係機関に対応を促した。

英国のEU離脱まで残り半年を切るなか、金融システム上の懸案になっているのが、様々な価格変動リスク軽減などに使われているデリバティブの扱いだ。

EU離脱、派生商品6000兆円不安定に 英中銀など警告 日本経済新聞

どうでしょう、投資家のみなさん。どっちが怖いですか?

株価が暴落する本当の理由は、投資家の心が折れるから、なのです。

私は、2017年にこのことを確信し、色々な情報をあさりましたが、結局、「それがいつ起こるのか?」だけは掴むことが出来ませんでした。しかし、今度こそ延期はないでしょう。

その時、225は1万5千円、それは一昨年、私が提示した下値予測です。 「その時」はとうとうやってきたのではないでしょうか。

まあ、私の空売りの信用期日は1年前に切れましたけど(笑)。

余談

さて、これは本記事内容とは関係のない余談となりますが、「新型」コロナウィルスの発生源に関して、当ブログではある仮説を提示させて頂いておりましたが、昨日このようなニュースを拝見しました。

https://www.youtube.com/watch?v=wPY59QMxAYo&fbclid=IwAR35GNFyPlm020_CvcXT1Ji6-YKTRvSdT0ITVutis4ecfLBiLudgmPwsW7M

これで犯人はほぼ確定した、と考えても差し支えないのではないでしょうか。答えは次のうちのどれかです。

  1. イスーラエル
  2. イースラエル
  3. イスラエール
  4. 選択肢に正解がない