4月7日緊急事態宣言が日本にも発動しましたね。令和初の厄災となっている「新型」コロナウィルス、それと米中覇権戦争の関係についての北野幸伯さんの分析記事が、ダイヤモンド・オンラインに出ていました。

米中「コロナ情報戦」は米国の圧勝か、中国共産党が今後迎える危機

ダイヤモンド・オンライン

北野先生は一流の国際情勢アナリストでいつも素晴らしい記事を私たちに提供してくれています。しかし、すみません。ズバリ言って、どうも今回はイマイチです。米中「コロナ情報戦」は米国の圧勝、なるほど。でも、先生、本当に心からそう思っておられますか?

中国政府の主張に怯える米国

【AFP=時事】中国外務省の報道官が12日夜、新型コロナウイルスは米軍が中国に持ち込んだ可能性があるとツイッター(Twitter)に投稿した。主張を裏付ける証拠は提示していない。>(太字筆者、以下同)

これは市井のトンデモ陰謀論者の発言ではない。中国外務省の趙立堅報道官の言葉であることが重要だ。

これはまさにその通りでしょう。このブログでは発生当初から、「新型」ウィルスは米英イスラエルの仕業と言う説を提唱して来ましたが、それを中国と言う、もはや世界第二の権威と言っていい存在が主張したことの意味はとても大きいでしょう。

このまま中国の「米軍起源説」を見過ごせば、「気づいたら、米軍起源説が世界の定説になっていた」となりかねない

そして、更に注目すべきはこの部分でしょう。中国はそうできる力を十分持っていると言うことですね。

やはり、米国政府は、中国の「トンデモ米軍起源説」を「深刻な脅威」と認識しているのだ。

そして、アメリカはそれを「深刻な脅威」と恐れているのだというのです。これはちょっとヤバくないですかね? 更にヤバイ事実は続きます。

しかし、米国以外の国は、この恐怖を共有していない。それに、中国差別を助長しかねない「武漢ウイルス」という用語は、「ポリティカルコレクトネス」違反だろう。結果、他の国々は、ポンペオ提案に同意しなかった。

世界は米軍起源説をおかしいとも思っていないし、ポンペオの言っていることなど聞く気はないと言ことです。米国に追随しない各国は、平和ボケしている? いや、どうやらそれは違いますね。

アミールアブドッラーヒヤーン特別顧問は5日日曜、ツイッター上で「ポンペオ君!いまやCIAのテロリストらがアメリカの国務長官や外交官のポストを占めていることは、万人に知られている」と語りました。

イラン外務省のムーサヴィー報道官は4日土曜、「アメリカ人外交官がもうかなり前から、クーデターやテロリストの武装化、分裂・分離主義派の暴力の助長、麻薬カルテルへの加担、各国の政府や企業への過剰な要求の押し付け、ひいてはアメリカの同盟国に対する諜報活動、独裁者やテロリストとの交流に従事していることは、もはや否定しがたい事実である」と述べました。

Parstoday

恐らくこんな風な現実に追いそれと気が付いてしまったということではないでしょうか。ポンペオ氏の発言は、実際にほとんど、ハナッから出まかせばかりで、聞くに堪えなく、全く信用に値しないことは一目瞭然です。

なにせ彼は、「秘密作戦をこれからやる」と大手メディアで豪語した男なのです。ですから私は真面目に、彼を芸人だと思っているくらいです。

それでも米国の勝ち?

しかし、それでも北野先生は、今回の情報戦では米国が勝つだろうという予測を立てています。

「中国は、米軍起源説を、自国民に信じさせることができる」ということを踏まえても、米国の勝ちだろう。なんといっても、「新型コロナウイルスは、中国武漢で発生した」のだから。

(中略)

こうして彼は、見事に責任を中国に転嫁することに成功する(「転嫁する」というか、事実であるが)。ポリティカルコレクトネスが浸透している日本や欧州は、おそらくトランプに追随しないだろう。しかし、「自分の責任にされたくない」多くの国の指導者たちは、トランプに続くのではないだろうか?

「は?」

先生、本当にこの結論を自分で信じてますか? アメリカに勝ってほしいって願望を書いているだけじゃないですか? それともアメリカが負けるなんて原稿、絶対にボツだから仕方なく書いている?

これは、中国と外交的に渡り合い、中国の軍事的拡張と対抗していくといった日本の基本姿勢とは別次元の、感情的で幼稚とさえ言えるものです。

これまで私は、自衛隊の将官OBたちで反中国的な言辞を吐いている人々に、なぜ中国を挑発するようなことを口にするのか質問してきました。中国とは毅然と向き合えばよいだけの話なのに、どうして「支那」とか「武漢ウイルス」と言うのか。

論理的な説明をしてくれた人は皆無でした。

軍事アナリストが呆れる。自衛隊将官OBの「武漢ウイルス」発言 まぐまぐニュース

むしろ、この方が普通で、世界の人々の感覚ではないかと私は思いますが、いかがでしょうか? そして、その幼稚な戦略?の出発点は、世界最強の米国だというのだから、開いた口がふさがりません。

厄災を利用なんかしないで、正々堂々と戦ってよ、あんたら世界最強なんでしょ? これ正論です。

米国は世界最大のテロリスト国家

そして、北野先生の記事の最大の欠陥は、米国は世界最大のテロリスト国家であると言う視点がすっぽり抜け落ちている点です。

たとえば、ポンペオ長官は2019年7月18日、「信教の自由に関する閣僚級会合」で演説し、「中国では、現代における最悪の人権危機の1つが起きている。これはまさしく今世紀の汚点である」と述べている。これは、事実であるが故に、強力だ。

ですから、私に言わせれば、こんなの全く何の説得力もありません。中国の人権危機は本当なのでしょう。しかし、米国にそれを批判する資格など、さらさら存在しません。

クリントンがアル=シーファ医薬品工場爆撃の命令を出したとき、人道的大惨事になることはあきらかだった。国際的な人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、すぐさまクリントンに人道的大惨事になるという詳細情報を提供した。だが、クリントンも側近たちも意に介さなかった。なぜなら、彼らは人を殺そうとしたわけではないからだ。

(中略)

むしろ、彼らとその擁護者たちは、アフリカ人たちを蟻のようにみなしている。

『誰が世界を支配しているのか』 ノーム・チョムスキー

「アメリカでは、現代における最悪の人権危機の1つが起きている。これはまさしく今世紀の汚点である」これは、事実であるが故に、強力だ。

そっくり主語を入れ替えても、通用してしまいますからね。そして更に、私たちのリーダーは、自由と民主主義の価値を重んじる鏡のような国家のはずでした。

たとえば二〇一四年に一二月にラテンアメリカでジャーナリスト三人が暗殺された事件だ。これも含めて、この年に暗殺されたジャーナリストは三十一人に達した。ホンジュラスだけでも、米国が承認した二〇〇九年の軍事クーデター以来、殺害されたジャーナリストは数十人に上る。

しかし、どうやら彼らの言論統制は、”中国共産党並み”だったようです。

一瞬でもよいから、『世界』ではなく世界の視点から見てほしい。誰が「世界中で指名手配」されるべき犯罪者なのかを考えてみてほしい。

私たちは、今こそチョムスキーの言葉に真剣に耳を傾けるべきではないでしょうか。

力こそ正義と言う考えもあり、と私は思います。しかし、もはや彼らが強いということすら否定され始めています。

私は以前、米国の支配者はドラゴンボールで例えると戦闘力53万のフリーザだと書きました。しかし、それは間違いであって、実際はウーロンだったのです。

では、私たちは彼らのいったい何についていったらいいのでしょうか? 私はさすがに、「何もない人」についていくのは嫌ですね。あ、そうか、お金だけはあるのか・・。

トンデモ話

そう、事実にきちんと目を向ければ、米軍が撒いた説、全然トンでも話でもなんでもないことに気が付くでしょう。テロリストがテロをやった、こう言っては何ですが、全く普通の話です。

しかも、結果として人と物の移動が制限され、トランプ政権の対中国戦略の根幹である「保護主義」が究極の形で達成されています。

つまりこれは、「武漢ウィルス」の前に「トランプウィルス」であり、「男爵ウィルス」であるということです。

証拠? それは見たままです。「目の前に広がっとるがな、どこ見とんねん!」って話です。それは「新型コロナウイルスは、中国武漢で発生した」以上の事実であって、逆にそうではないと考える方がトンでも話ですよね? だって、目の前の事実を否定するんだから。

ヘンリー・キッシンジャー前米国国務長官は、新型コロナウイルス感染症が世界秩序を永遠に変えてしまう可能性があると語り、米政府に新たな時代に備えた計画に即刻着手するよう、もとめた。

キッシンジャー前長官は4日、米国の経済新聞への寄稿文を通じて、新型コロナの発生以降、世の中は今と決して同じではないだろうと伝えた。したがって米国は現在ウイルスがもたらす災難を防ぐために孤軍奮闘しているが、“ポストコロナ”時代の秩序への転換に備えることを先延ばししてはならないと主張した。

「新型コロナが世界秩序を永久に変えてしまうかも」=キッシンジャー前米国務長官

しかも彼らは、昔からある有名陰謀論「NWO計画」を実行に移そうとしていることが、その言動から明らかになって来ています。これは、ジョン・レノンやマイケル・ジャクソン、アーロン・ルッソらが自らの命を懸けて、私たちに伝えてくれたことであり、当然ながら真剣に受け止めるべきです。

これは信じるか信じないかではなく、見るのかそれとも目を逸らすのかの話なのです。

新時代に備えるべき時

1986年に原発事故を起こしたソ連は、わずか5年後の1991年に崩壊した。新型コロナウイルス問題は、チェルノブイリ問題をはるかに凌駕する大問題だ。この問題が、中国共産党政権にとっての「チェルノブイリ」になる可能性は、高いのではないだろうか。

米中「コロナ情報戦」は米国の圧勝か、中国共産党が今後迎える危機

先生、私には全くそうは思えません。私は先生の記事を読んで、その題名とは逆に今回の戦争に米国の勝利がないことの確信を深めることになりました。「チェルノブイリ」になるのは、米国の方ではないでしょうか。

だって漏らしたのは、米国なのだから。

長期的投資判断としては、アメリカ、イギリス、イスラエルは売りです。日本は買いではないですかね。

え? 米国が負けて中国に支配されるなんて真っ平だって? そうですねえ、ただ、私はそれもあまり心配していません。だって、同じようなやり方してたら、彼らだって当然やられますよ。あの米国が倒れたんだったら、同じように彼らだって倒れるはずです。

改心して私たちに優しくなるなら別ですが・・。

つまり、私たちを待っている30年後の未来は、それらとは全く別の世界ではないかと予測出来るということです。それは今までとは、全く違う価値観の支配する世界、その心構えくらいは持っておいてもいい、と私は今思っています。