安倍政権は、4月17日、緊急事態宣言の全国への拡大とともに10万円の現金給付を発表しました。しかし、我々には今、「お駄賃」に喜んでいる余裕はありません。

このままの経済停止状態を続けると、ウィルス感染以上の恐ろしい事態が社会に引き起こされるでしょう。

現金給付の負

安倍政権は、メディアとそれに煽られた世間の「現金給付」の圧力に屈した形です。ただ、私は「この緊急事態に紙配ってどうすんの?」と言う感覚でこれを眺めています。これなら、まだマスクの方がいいのではないでしょうか?

紙幣は富の引換券です。経済活動を止めているため、現在私たちの富は恐ろしい勢いで消失していっています。その中で引換券だけ増やしたら、どうなるか、答えは簡単ですよね? 一枚の引換券の価値が下がるだけです。

つまり、インフレです。いや、インフレになってくれればまだましで、今だと道徳で値上げが禁止されかねず、そうなると、生活必需品が今のマスクのようになってしまうリスクが出てきます。

通貨の価値が下がっているのに値段がそのままだったら、当然その「貴重さ」に人々は殺到するでしょう。

私たちにとって最も貴重な物とは当然、食べるものです。

「無期限」では、すべての経済対策は無意味

現金給付のいい面を一応書くと、明日食うお金がない人は助かります。ただ、これは問題のほんの少しの先送りに過ぎません。結局これは2カ月もたないですし、乱発すれば先程書いた通り、生活必需品が容易に手に入らないリスクが高まります。

現金給付は、余りに近視眼的、感情論的施策に過ぎないと言えるでしょう。

現在考えるべき経済対策とは、経済的に弱い人を守るためのものであるべきなのは当然です。

14日、福岡市の高島宗一郎市長は、「出来ることはなんでもやる」といい、100億円以上の独自の支援策を発表しました。しかし、彼は同時にこう言ったのです。この支援は、5月6日以降は延長できないと。彼は実に誠実だったと思います。

「無期限支援は出来ない」これは日本政府だろうと一緒のはずです。ですから、感染の状況如何によらず、経済停止策は期限を切り、それ以上は延長すべきではないのです。

それが私の主張する唯一のことです。

このままだと経済破綻まっしぐら

無期限経済活動休止は、単なる自殺行為です。ですから、このままだと確実に経済破綻に陥ります。当たり前じゃないですか、自分たちでそうしているんですから。

ボルソナロ氏は、首都ブラジリアにある大統領府の前で報道陣に対し、「企業は何も生産していない。従業員に賃金を支払うこともできない。そして経済が破綻すれば、公務員に給与を支払うこともできなくなる。われわれは無秩序に直面する」と語った。

 さらに、「スーパーマーケットの略奪といった事態に陥る恐れがある。そこにはウイルスも残っているだろう。ウイルスに加えて無秩序にも直面することになる」「われわれは何をすべきか? 人々を職場に戻し、高齢者や健康上の問題がある人々を守る。それだけだ」と述べた。

コロナ対策で経済破綻すれば「無秩序」に、ブラジル大統領が警鐘 AFP

これを「ブラジルだから」などと考えるべきではないでしょう。私たちは、確かに彼らよりは富を持っているでしょう。しかし、何も生産しなければ、貯蓄が底をつくのは、誰にでも分かる現実です。ブラジルよりは、少しは貯金がある分、それまでの期間は少し猶予があるでしょう。

しかし、それは破たんまでの期間が少し長くなると言うだけの話です。このことを甘く見るべきではないです。経済破綻、それは今の新型コロナウィルス感染より遥かに怖い事態を引き起こすと私は考えます。

色々な経済専門家の意見も見てみましたが、どんな政策をもってしても、今の「無期限自粛」を救う方法はないという、私と同じ意見の人はいませんでした。

しかし、私はブラジルのボルソナロ氏の言葉が一番分かり安いが上、そのままの事実だろうと思います。

経済専門家が、政策で救えると主張しているのは、あくまで短期間で経済活動が再開された場合、強制ではない可能な範囲の自粛の場合に限られるでしょう。

これは極めてシンプルな、逃げられない現実と思います。

世界的プロパガンダ

そして、やられていくのは、貯蓄の無い社会的な弱者からです。

だが国連のリポートは、「世界的な経済の下降により家庭に生じている経済負担から、今年は過去2、3年の年間減り続けてきた小児死亡率の傾向が逆転し、数十万人の子どもが新たに死亡する可能性がある」とした。

また、今年は4200万から6600万人の子どもが新たに極貧状態に陥る可能性があるとしている。

国連「新型コロナウイルスによる経済危機、数十万人の子どもを死に追いやる恐れ」 ニューズウィーク 日本版

何度も書きましたが、経済休止策が「命優先」というのは全くのデタラメです。なぜ、こんな嘘、暴論がまかり通っているのでしょうか?

ドイツでは「都市閉鎖の政策は、感染拡大阻止の効果が疑問で、憲法違反でもある」と主張して都市閉鎖に反対する政治運動を始めようとした医療に詳しい弁護士(Beate Bahner)が、逮捕され、監獄の精神病棟に入れられてひどい目にあっている。

日本では、テレビに出続けたいタレントや著名人たちが外出自粛の政策の提灯持ちの言動を大政翼賛的にやっている。国民は「自粛=自由意志」で強制されている。戦前よりはるかに巧妙だ。もしくは、今の人々が戦前より騙されやすい間抜けになっている。

田中宇の国際ニュース解説

それは、単に私たちの社会の破壊を目的としたプロパガンダだからです。あなたが富裕層でない限り、これと戦うべき時が来たのです。

早く気が付かないと手遅れになります。常識的には信じがたい話かもしれませんが、この馬鹿げた自粛プロパガンダの裏には世界的な権力が控えていることも、同時に知っておかなければならない事実です。

しかし、奇しくもトランプ大統領がこう発言しています。私たちを「解放するべき」だと。

新型コロナウイルス感染拡大によって休止状態にある米経済活動の再開を巡る大統領と州政府の対立が続く中、トランプ大統領は17日、新型コロナ感染症への対応を巡り野党民主党の州知事を批判した。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で、ミシガン、ミネソタ、バージニア各州の民主党知事に対し、州を「解放するよう」要求した。これら3州では新型コロナ感染防止に向けた厳格な自宅待機措置などに対する批判が高まっており、抗議デモも発生している。

トランプ氏、コロナ対応で民主党州知事を批判 経済再開巡り対立 ロイター

トランプ側につくべき、それが私の考える私たちが生き残るための戦略です。