突然ですが皆さんは、中央銀行が世界経済、強いては世界の政治、我々の社会を支配していると言う噂話を一度は聞いたことがありますでしょうか? この噂話、申し訳ないですが本当なんですよ。

今回はこの有名ゴシップを、ネット上の陰謀論に留まらないレベルに昇華させたいと思います。

経済は誰でも理解できるもの

この話をさせて頂くにあたって、今回参考にさせてもらった書籍は『ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ』。なんとも刺激的なタイトルですが、筆者のロン・ポール氏は米国共和党の元議員で、1988年のアメリカ大統領選で3位の実績を持つ大物です。

その彼が、世界経済の問題の根源を鋭くえぐった内容なのですが、素晴らしいです。やはり、「本物」はシンプルで非常に分かり安いと言う特徴を持っています。

経済とは本来「衣食住の流れのこと」で、そんなに小難しい話ではないはずなのですが、経済学がやたらに難しい理論をこねくり回しているのは、大衆に本質を理解されないようにするためと考えて間違いないでしょう。

「本物」とは、だれでも直感的に理解できるものなのです。(日常生活から遠い「相対性理論」とかは別にして)、それがもし、あなたが直感的に理解できないものだとしたら、何らかの策略が施されていると考えていいのです。

後から、専門家と称される方が出てきて「これは実はこうなんですよ」、と耳打ちされても、基本的にはあなたの直感の方があっている可能性が高いのです。もちろん、誰しも勘違いということはあり得ますけどね。

さて、少々前置きが長くなりましたが、本題に入っていきましょう。

FRBはロスチャイルドとロックフェラーが作った

FRBをご存知でしょうかと言ったら、少々失礼ですかね。それは、「アメリカ連邦準備制度理事会」と訳されるアメリカの日銀、中央銀行にあたるものです。なぜ、このようなややこしい名前になっているかと言うと、ポール氏曰く、やっぱり「誤魔化すため」なんだそうです。

で、もっとも気になる、「この制度を誰が作ったのか?」と言う話なのですが、それはネットの噂通り、やっぱりあの方々だったのです。

1910年十一月、ジョージア州ジキル島の避暑地にある、JPモルガンが経営するクラブで秘密の会合が持たれた。ここで連邦準備法の草案が下書きされている。秘密裏に計画を進めるために、マスコミには鴨猟の集まりだと説明されていた。今では、歴史家の手によって、誰がこの秘密会合に参加したのかが、明らかになっている。

(中略)

ロックフェラーから二人、ロスチャイルド系のモルガンから二人、クーン・ローブから一人、経済学者が一人と言う顔ぶれだった。

『ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ』

インフレ正義は出鱈目

さて、話は少し変わります。私は以前、とある記事でこう書いたところ、強烈なお叱りを頂いたことがあります。

「インフレより、デフレの方がいいいよね」

この言葉はその方の琴線に触れたらしく、「お前は経済のことが全く分かっていない」との怒りのコメントの後、インフレの大切さについての詳しい解説をもらいました。

私は「経済が分かっていない」ことに関して、特に反論するつもりはないのですが、記事にそう書いたのは、経済学の知識からではなく、実体験に基づくものからだったのです。

だって、そうでしょう。日銀は物価上昇率2%を目標にしていますが、よく考えたらとんでもないことですよ、これ。皆様の貯金が、毎年2%ずつ減っていくってことなんですから。

給料だって、毎年2%以上上がっていかなければ、結局マイナスということになりますが、これはまずあり得ません。定期昇給とか昇格とかは、別にしての話です。

ということで、インフレになっても、私たちに何もいいことはないですよね? だから、私は物が安かったデフレの時の方がいいと書いたのです。

しかしじゃあ、日銀はなぜ、物価上昇率2%なんて目標を立てているのでしょうか。それは「経済の安定を図るため」だそうですが、確かに過去の局面では、経済成長と共に物価の上昇がみられたのです。

でもこれ、原因と結果が逆に感じられる上に、そもそもの因果関係も不明です。インフレになれば経済が良くなるなんて、理屈はないに等しいのです。

現在のワシントンの政治家は迫りくるインフレの危険性にまるで気が付いていない。ドルの将来も連銀の活動も、全く気にかけている様子がない。その代わりに政治家が気にしているのはデフレーションだ。

デフレと言う単語は何を意味するのだろうか。デフレがただ通貨量が減ることだけを意味するのであれば、デフレには経済を浄化する作用がある。デフレは銀行の貸出基準を引き締め、企業に手堅い商売をするように促す。デフレになると国債の発行が大きな負担となり、政府は財政支出の緊少を求められる。どれも悪いことではない。

もう一つのデフレの定義は、物価の下落を意味する。これは言い方を換えれば、あなたの財布に入っているお金が時間とともに価値を増す、ということだ。これは少しも悪いことではない。

商売はこのような状態でも問題なく経営できるし成功することもできる。

ポール氏によれば、私の「実体験の感想」は、けっして経済的に間違ってはいなかったのです。ある意味当たり前ですが、奇妙なことに、それは主流の経済学では間違いだったのです。コメントをくれた方は、それを私に教えてくれました。

消費者物価指数は過小評価か?

ある意味、何もないところから新たなお金を刷って通貨を減価させるということは、偽金づくりなのである。働いて得たお金やこつこつと預金していたお金から、価値を盗むことである。これは国民からの強奪であり、国民を貧しくさせるものだ。これほどの勤労者の敵はない。インフレ(通貨膨張)ほど悪質で、経済を押しつぶす税金はないのである。これは中流階級から政府に近い金持ちたちへの富の再配分である。

こうなってくると、ある疑惑が私の頭を捕えて放しません。「日銀はCPIを楽観的に捉えており、本当はインフレはもっと低く、実際はデフレに向かっているのではないか?」と悲観的によく言われますが、これはもしかするとまったく逆で、消費者物価指数は過小に申告されており、インフレは統計以上に進んでいるのではないか、と考えても私の日常生活の感覚からはなんら違和感はございません。

だって、ステルス値上げも含めて物の値段って実際、数年前に比べて結構上がっていると思いませんか? コンビニのおにぎりは、だいぶ小さくなっていますし、電気代も超高い!

日本銀行が注視する消費者物価指数(CPI)のうち、生鮮食品を除くコアCPI指標を構成する財・サービスのバスケットには、物価に影響を及ぼす可能性が極めて低い品目が詰め込まれている。日銀の2%物価目標を巡る議論が熱を帯びる中、これにより金融政策の効果が損なわれている。

  日本はエネルギー需要の多くを輸入に頼っており、原油価格の変動の影響を受けやすい。その原油はコアCPIの主要な変動要因だ。

日銀の物価目標達成の妨げに-動き鈍いコアCPIの構成品目 ブルームバーグ

ほら! 私が何を言いたいのかもう分かると思いますけど、これってわざとだよね? もう一つ見逃せないのは、CPIは携帯料金の比重が高いってことです。菅さんがよく言っているじゃないですか。携帯料金下げろって。あれやると、消費者物価指数が下がるんです。

スマホ料金なんて、元々高すぎるから下がって当たり前。

それでも日銀は目標に届かないと言って、馬鹿みたいな金融緩和を継続、更に拡大していますが、そのために調整していませんか? 私たちの富を盗むために、ですよ。

日銀の目標未達を非難する人は百あれど、目標設定自体がおかしい、間違っているとは誰一人言わないのです。じゃあ、私が言っちゃいましょうか! 

「なぜインフレにならないのか?」は愚問だったのです。ちょっと気が付くの遅かった!

インフレを正当化するために目標がいくつも掲げられるが、真の動機はもっと邪悪である。お金を操作する人間だけが利益を得るのであり、一般の国民の利益には少しもならない。

『ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ』

紙切れをばら撒いて私たちの生活が良くなるはずがない、問題の本質はそれに尽きると思います。

MMTで破たんが最終段階へ

更に昨今、彗星のように現れた「MMT(現代貨幣理論)」で、富の強奪は最終段階に至ります。胡散臭いのには、理由がちゃんとあるのです。冒頭で「直感で理解できない物」は、偽物の可能性が高いと書きましたが、MMTはその典型のような存在です。

誰もが最初は狐につままれたような話と思ったはずです。しかしその後、専門家と称する人たちの甘い言葉に惑わされた結果、信じてしまった人も多いのでしょう。しかしやはり、それは最初に感じた感覚の方があっていたのです。

政治家たちにとっては政府の巨額な財政支出は誘惑的だが、長期的に見れば必ず酷い結末を迎える。そのツケの支払いは決して安くない。初めのころは政治的に受け入れやすいし、債務の返済をしっかり行っているように見せかけることもできる。だが国民はそのツケを、バブル経済とその崩壊に伴う経済停滞で支払わされるのである。経済恐慌が現実になったとき、そのツケの総額は国民が考えているよりもはるかに大きなものとなる。

MMTはインフレにならなければ、政府はいくらでも財政支出していいともっともらしく説きます。しかし、いつインフレになるかは誰にも分からないのですから、この前提は余りにも馬鹿げています。

前NY連銀総裁だった、ダドリー氏は「中央銀行はパーティーの盛り上がりの最中に料理を片付けなければならない」と言っていましたが、これこそ相場の真実です。

つまり、みんながインフレになったと気づいた後では、遅すぎるということです。この先読みは非常に難しく、MMT論者の学者や評論家などには、到底不可能です。その特殊能力を持つのは私が知る限り、前FRB議長のジャネット・イエレン氏、世界でただ一人でしょう。

当ブログは、イエレンさんを割と好意的に評価してきましたが、それもそのはず、彼女は経済を正しい方向に導く仕事を、見事な手腕で遂行していたのです。しかし、そのイエレンはトランプに解任され、その後のアメリカの金融政策は、彼女が戻した以上に拡張されてしまっています。

そうすれば人々の批判を、問題の本質の根源であるお金の製造機の中央銀行からそらすことが出来る。

MMTは、まさにそのために出てきたのです。

問題の根源は、紙切れ通貨と部分準備制度なのだ。これはお金が返せなければ、お金を刷って返せばいいという、とんでもないねずみ講である。

それは単なる、ねずみ講の虚偽広告です。

コロナ後の世界

経済の中央計画を支持する人々は、干渉主義的な欠陥が危機の原因だということを少しも理解しようとしない。同じことを続ければさらに問題は拡大し、深刻かすると認めたくないのだ。なかにはこの経済の混沌こそが長年信じてきた理想の権威主義的な政府を作るチャンスであると考える連中がいる。

『ロン・ポールの連邦準備銀行を廃止せよ』は、2012年の本なんですが、ここに書いてあるこれは、今まさに私たちの目の前に現れた「コロナ後の世界」と言うやつですね。

だが危機が大きければ大きいほど、圧政的な政府が、経済や国民の生活の全てを統制しようとする危険が大きくなるのである。

ここまで読んだ人は、もうすべてわかっていると思いますが、その世界の首謀者は、FRBの創設者と同じ袂の方々です。

現在の制度の応急処置として、古典派ケインズ主義の夢であった世界通貨がまた、語られ始めている。

それは、彼らの長年の夢なのです。そんな話はとても信じられない? 私はそうは思いませんよ。彼らは、私たちとは全く違う環境に生まれ育ち、自分たちは「選ばれた人間」だと子供の頃から教育され、それを固く信じているのだと思います。

例えば、ニコラス・ロックフェラーは友人だった映画監督のアーロン・ルッソにその夢を語った際、「なぜそんな酷いことをするのか?」というルッソの問いに対して「自分たちの幸せを一番に考えるべきだ」と反撥したと言います。

また、世界的富豪のジョージ・ソロスは、自分のことを神のような存在だと言及しています。

つまり彼らは、悪魔やましてや選ばし者などではなく、ごく普通の人間なのです。ただ、彼らは堕落しただけなのです。普通の人間は、誘惑には簡単に堕落してしまうのです。

彼らの思考が到底理解出来ないからなのか、ディープな陰謀論者は、「爬虫類型宇宙人が彼らを支配している」などと言いますが、彼らを説明するのに超常現象は必要ありません。普通の人間なら、同じようになる可能性は十分にあるのですから。

オカルトを信じるのは個人の勝手ですが、それは政治経済の話とは全く関係がないので、一緒にするのは止めましょうと私はお願いしています。

私たちは自然(神)から与えられた権利を持っている。自分の生命、個人の自由、労働から得た報酬を手にする権利である。この権利を守ることが、自由な社会においての政府の唯一の役割である。政府の権限が拡大するのを抑止するためには、個人の責任を負う気概のある人々が必要になる。

彼らの夢と私たちの未来を賭けた戦いは、とうとう最終局面に突入したようです。その先行きは、ポールの教えを私たちがどれだけ受け止められるかにかかっているかもしれません。