私が大統領選の読みを外した理由が、見えてきました。トランプ政権の最大の後ろ盾は、世界最強のイスラエルで、彼らがなぜあっさりとやられたのか、そのことは私に大混乱をもたらしましたが、答えが見つかった気がします。

結局、トランプを倒したのも、イスラエルなのです。

イスラエルに触れずに国際政治は知れない

2020年の米大統領選挙は、AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)を後ろ盾とする「ロンドン派」と欧州を支持母体に持つ「パリ派」の一騎打ちとなると私は書いてきました。

「ロンドン」と「パリ」では、ロンドンの方が力が上のため、トランプが勝つと私は予想してきました。しかし、結果は真逆でした。しかも、トランプは、ほとんど何も出来ないままに負けており、こんなことは全く信じられないことだったのです。

しかし、私は勝敗の大きなキーポイントを、全くもって見過ごしていたことに気が付きました。この勝敗の命運を決定づけた「第三の男」、その名は「ネオコン」。

アメリカ大統領選挙の候補者選びは、最大の山場であるスーパーチューズデーで、共和党指導部から嫌われ泡沫候補と見られてきた不動産王ドナルド・トランプ氏が圧勝した。これはアメリカ政治の今後に大きな影響を与えるとフーテンは分析する。

 「トランプ旋風」が今後も続く事になれば、レーガン政権以来アメリカ政治を動かしてきた「ネオコン」路線が後退を迫られ、共和党が「ぶっ壊される」事にもなりかねないからだ。

「トランプ旋風」は「ネオコン」を吹き飛ばせるか YAhoo ニュース

その古ぼけたネーミングを、私は完全に忘れていました。彼らはとっくのとうにトランプに駆逐されたと思っていたのです。2016年時点で、AIPACの力は凄まじく、その申し子であるトランプは、ネオコンと「パリ」の両方を相手にしても、勝ちをさらいました。

そして、トランプは就任後も、ネオコンを叩き続け、共和党はほぼトランプ党となり、つまり、トランプは圧勝の状態にあったはずなのです。

「トランプ旋風」を強く警戒しているのはブッシュ大統領の「アフガン・イラク戦争」を支えた「ネオコン」の面々である。トランプがこのまま大衆の支持を集めるなら、共和党を分裂させてでも阻止すると「ネオコン」は考えている。トランプの最大の敵は「ネオコン」なのだ。

しかし、2020年、彼は「最大の敵」に足元を救われた形になりました。恐らく「ネオコン」は、やられたフリをしながらトランプを油断させ、その時を待っていたのでしょう。トランプを倒したのは、「民主党」ではないのです。

「ネオコン」とはなにか

ところで「ネオコン」とはいったい何でしょうか。その理解は非常に難しいですね。

国家安全保障問題ユダヤ研究所(Jewish Institute for National Security Affairs、JINSA)は、アメリカとイスラエルの間での戦略的・軍事的な協力関係を促進することを目的に1976年に設立され、シンクタンクを核として、ロビー活動や多数の米イの軍関係者の間の交流会、広報誌の発行を行なうなど、現在も積極的に活動している。2004年には2万人以上のメンバーがいると見積もられている。

アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)が、イスラエルにとって有利な政策をとるようにアメリカ政府や議会に働きかけることを中心に活動しているのに対して、JINSAは米イの軍事関係者と軍需産業関係者の間での関係強化を目的として活動している。

JINSAはアメリカ軍の退役軍人がイスラエルを訪問しやすいように毎年研究渡航の費用を提供したり、アメリカ国防総省の官僚と在米イスラエル指導者層との交流会を企画したりしている。地中海・中東地域でのイスラエルの存在がアメリカにとっての民主主義的な価値観に沿ったものとなっている事を、アメリカ国民にアピールしており、イスラエルの中東地域でのプレゼンスが米国の国防上も有益であると宣伝している。こういった長年の努力の結果、米国は全対外援助の6分の1をイスラエルの軍需産業に経済援助している。

JINSAはアメリカ国内でイラク戦争を最も強く推進した団体である。JINSAの顧問でネオコンのリチャード・パールは開戦時の国防政策委員会のメンバーであったし、ディック・チェイニー副大統領やジョン・ボルトン国連大使、ダグラス・ファイス国防次官もJINSAの顧問である。

「軍産複合体」(イスラエル・ロビー) ウィキペディア

まあ、ごく簡単に言えば「戦争で儲けちゃえ!」って勢力ですかね。なので彼らは、寄生虫みたいなものです。政治勢力と言っても、当然ながら民衆の支持は皆無です。

AIPACが最強のイスラエル・ロビーなら、「ネオコン」、JINSAも次に強いくらいのイスラエル・ロビーです。彼らは大統領選に関しては、民主党に寄生して、ブーストをかけてバイデンを勝たせたのでしょう。結局トランプは、イスラエルに敗れたのです。

イスラエルに触れずに国際政治を知ることは出来ません。しかし、イスラエルを知るということは、実に困難で、ほとんど不可能であるとすら言えます。

裏切ったマコーネル

ネオコンが「裏切り」戦略で、トランプを倒した象徴的な出来事は、マコーネルらの態度に集約されるでしょう。

2020年の大統領選を「延期」すべきとのトランプ大統領の提言を、ミッチ・マコーネル上院議員ら共和党の大物議員らは強く非難し、否定した。

WNKYのアンカー、マックス・ウィニッツ氏は、マコーネル議員が選挙の日取りは「変更不能」だと考えており、これまでも危機の最中にアメリカは選挙を実施してきたと語ったとツイートした。

11月の大統領選は延期すべき? トランプ大統領のツイートに共和党陣営から相次ぐ非難の声 BUSINESSINSIDER

私はトランプの勢力は、選挙を中止にすることさえ出来るはずだと考えました。にも拘らず、彼らは何もしなかった、そのことは強烈に私を悩ませました。

しかし、それは私の勘違いでした。彼らは確かにそれが可能ですが、条件が一つあり、それはイスラエルが一枚岩であることだったのです。

排除されたネオコンは、トランプの勝利に貢献しないのは当然で、むしろ共和党を分裂させてでも、トランプ再選の邪魔をしたのです。

寄生されることを選んだトランプ

そして、敗れたトランプは、再びネオコンに寄生されることを選んだようです。

米メディアによると、トランプ氏は会談で「共和党の下院多数派奪還へ協力する」と約束した。マッカーシー氏はトランプ氏支持者による6日の連邦議会襲撃を「トランプ氏に責任がある」と批判していたが、フロリダまで出向き和解した形だ。

トランプ氏、共和に協力約束 「新党」で脅し、一転和解 JIJI.com

これは短期的には、プラスかもしれませんが、長期的はマイナスになるでしょう。だって、そもそもトランプ派は、中国に勝つために、つまり自分たちが生き残るために、ネオコンの寄生から逃れようとしていたはずです。

米紙ニューヨーク・タイムズは2019年12月24日、米国防省が西アフリカに駐留する米軍の大幅な削減・撤退を検討していると報じた。

 この記事は、ヘレン・クーパー、トーマス・ギボンズ=ネフ、チャーリー・サベージ、エリック・シュミットの4記者による精力的な取材をもとに書かれたものだ。

 それによると、米軍は、アフリカでの駐留見直しに続き、中南米、その後、中東のイラクやアフガニスタンでの駐留軍の削減が進むとの見通しを伝えた。

 その狙いは、トランプ政権が大国間競争の相手と位置付ける中国とロシアに対抗するための措置で、世界規模での米軍再編・態勢見直しの第1段階となる可能性があるとしている。

大規模軍事再編に着手した米国
対中露へ軍事シフト、同盟国への国防費増額要求は必至 JBPRESS

しかし、この度彼らは結局逆戻りしてしまったのです。

寄生虫には、宿主を殺すものもいます。これでは、彼らは決して生き永らえません。中国を倒すなんて、とんだ戯言。なにせ彼らは不治の病ですから、自分がいつ死ぬかと怯えながら、生きている状態なのです。

「911」の犯人は?

ところで、現代の911だと書いた「議事堂乱入事件」ですが、今にして思えば、これもネオコンの犯行だったのではないでしょうかね。彼らがトランプと和解した今、あの事件がどう転ぶのかも、分からなくなってきました。

少し前なら、トランプの支持者を追い詰めるために利用されそうでしたが、あらぬ方向に展開する可能性もあるかもしれません。もちろん、このまま蓋をされるだけかもしれません。

崩れ行くアメリカ

今回の大統領選に勝者はおらず、アメリカは加速度的に崩壊に向かっているように私には見えます。しかし、そんな中でも唯一の明るい話題を提供したのは、彼でした。

大統領就任式というフォーマルな場で、笑いさえ誘ってしまうほどカジュアルで実用性を優先したサンダース議員は、世界中の人をくぎ付けにし、「頑固オヤジ風シック」という同議員独特の美意識の一例だと一部で評された。インターネット上では、同議員の座った姿の画像を切り取って、ニューヨークの地下鉄内やウォルマートの店外といった全く別の場所に座っているように加工された画像が一気に増殖し、拡散した。

大統領就任式でひときわ目立ったサンダース議員、ジャケット売り切れ ブルームバーグ

彼は、大統領就任式で、一言もしゃべらずに、世界中の人々の気持ちを代弁すると言う神業を披露しました。史上まれに見る醜悪さをさらけ出した米大統領選に、もし勝者がいたとすれば、彼ではないのでしょうか。

民主主義とは、人気投票です。

世界一の民主主主義大国、アメリカの本物の第46代大統領は、他の誰より健康なバーニー・サンダースだったのではないでしょうか?