トランプ政権が倒れれば、米国の対中姿勢はソフトになると見られていました。しかし、当初予想された以上に、バイデン政権の対中姿勢は強行だと言われています。

果たして、最も中国を倒したいと願っているのは、誰なのでしょうか?

世界の支配者はイスラエル

「巨大財閥のロスチャイルド家が、世界を支配している」

この話は都市伝説として有名ですが、私はこの話は事実としてあっている可能性が非常に高いと書いてきました。しかし、それは半分くらいだと思います。そして、それ以上に「世界を支配している」と堂々と表明できる勢力があります。

ニュートン・キングリッチ元下院議員はAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)を「地球上で最も力を持つ利益団体」と呼んだ。

『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 ⅰ』

スペインの有力日刊紙『エル・パイス』は海外メディアの味方を端的に表している。『エル・パイス』は、ある記事の中で次のように書いた。

「国の力が、出来事や事件に対してどれほどの影響力を持つかという基準で計測されるとするならば、世界の超大国は、米国ではなくイスラエルということになる」と。

『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 Ⅱ』

公には、

「世界を支配してきたのは、イスラエルだ」

と発言することをお勧めします。そうすれば、あなたは陰謀論だと馬鹿にされれることはなく、むしろ「知らないんですか?」とお返しするすことが出来ます。

陰謀論は「特別なことを知っている」という気になれるから、信じられるのだと、その否定者は得意げに語ります。

イスラエルが米国の選挙に介入し、米国議会を好きに操ってきたことは、確かに特別な情報です。

スティーブンソンは州知事選において僅差で惜敗した。スティーブンソンは後に次のように語っている。

「イスラエル・ロビーはあの州知事選で、それまでの多くの選挙と同じように影響力を発揮し、選挙の趨勢を決定したのである」

『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 ⅰ』

第二点のネタニヤフ政権が共和党支持の姿勢を公然と示し、米国政治に介入していることは以前から指摘されていた。

2012年の米大統領選挙でネタニヤフが、イランへの制裁強化を訴える共和党候補ミット・ロムニーに肩入れしたことは公然の秘密で、イスラエル国会では野党議員からネタニヤフに対し「どの政権を交代させたいのか? ワシントンかテヘランか」と言う質問が出たことすらあった。

『ユダヤとアメリカ 揺れ動くイスラエル・ロビー』

私たちは、確かに特別な情報を知ったのです。「特別」の理由は、「知れないから」ではなく、「誰も知ろうとしないから」ですけどね。

メディアもイスラエル支配

他の民主国家に関する報道に比べ、米国の主流メディアのイスラエル報道はかなりイスラエル寄りに偏向している。

このような主張は、古くからある「ユダヤ人はメディアをあやつっている」という反ユダヤ主義的な非難と同じように聞こえるに違いない。だが、そんなことはまったくない。

ユダヤ系米国人の中には、マーティン・ペレツやモーティマー・ザッカーマンのようにメディアにおける自分たちの地位を利用して、イスラエルと中東に関する自分たちの考えを広めようとしている人々がいる。

『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 ⅰ』

世界を支配してきたのは、イスラエルである。

日本のメディアは、米国の焼き直しですからね。だから、私たちは民主主義ではなく、イスラエル主義社会に住んでいると言ったではないですか。

イスラエルは親中

さて、話を戻しまして、米国の対中姿勢が苛烈な強硬さを見せ始めたのは、トランプ政権誕生後であることは誰もが知るところです。トランプ政権は、イスラエルのネタニヤフ政権の言いなりに近い存在でした。

では、トランプ政権に対中強硬を展開させたのは、イスラエル、リクードなのですか?というと、そうであれば非常に理解が楽でいいのですが、そう単純ではありません。

むしろ、イスラエルは親中すぎて、ポンペオに叱られるという謎の事件を起こしています。

中国英字紙が、シオニスト政権イスラエル領内で駐イスラエル中国大使が死亡したのは、ポンペオ米国務長官の拡大主義政策を批判した後のことだったと報じました。

イルナー通信によりますと、香港発行の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは18日月曜、中国外務省の発表として、同国の駐イスラエル大使である杜偉氏が不自然なかたちで亡くなり、その調査と遺体の本国への搬送のために調査チームが派遣されることを伝えました。

イスラエル警察は、同大使の死因について沈黙しています。

中国が、自国の駐イスラエル大使の死に反応 PARSTODAY

ポンペオは中国大使を殺した後(?)、ネタニヤフに会いに行って、「こら、中国と仲良くしちゃだめだぞ」と説教しています。

やったのは「イスラエルのモサドだ」という馬鹿げた推測は止めるとして、最強のイスラエル・ロビーが公然と米国の政治に介入するのは、あくまで中東情勢に関することであって、流石に米国の外交姿勢すべてに、誰の目にも分かる形で介入することはありません。

また、あくまで小国の彼らが、表立って中国と喧嘩するなどと言う愚かなことをするはずがないのです。

すなわち、トランプ政権の対中強硬を主導したのは、イスラエルであるという根拠はありません。

米国の本当の対中戦略

米国の対中強硬姿勢は、超党派で共有されており、議会でもかなり強いと言いますよね。彼らを強硬な姿勢に仕向けているのが、最強のAIPACでないとすれば、いったい誰なのでしょうか?

アジア外交に詳しい米戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン上級副所長は時事通信のインタビューで、11月の米大統領選でトランプ大統領、バイデン前副大統領のどちらが勝利しても、現在の対中強硬姿勢は維持されるとの見方を示した。その上で、同盟関係を重視するバイデン氏は、中国に対して「より強力な外交手段を持っている」と評価した。

バイデン氏、強力な対中外交可能 米識者インタビュー JIJI.COM

どうやら、このシンクタンクと呼ばれる組織ですね。彼らの考え方を知ることで、米国の本当の対中戦略が見えてきます。

政権が中国により強いメッセージを送るのは正しいと思うが、ポンペオ国務長官の対中演説は、国家の崩壊を勝利の定義としているように聞こえる。米国民は特定の分野では中国との協力を望んでいるし、米国の同盟国で中国共産党の崩壊を目指す連合に加わろうとする国はない。イデオロギー的に戦線を張ることは中国との戦略的競合に役立たない。

どうやら、これが米国の本音らしいと私は思いますね。トランプ政権は、中国(中国共産党)を滅ぼそうとしていたが、それは米国の総意ではない、ということです。

2017年~19年このブログでは、世界で一番詳しく?トランプ政権の中国共産党崩壊戦略を解説してきたと思います。彼らが中国を崩壊させるためには、その一点に集中することがなにより必要でした。

バノン氏は「中国との経済戦争がすべてだ」との見方を示し、米国は「脇目も振らずそれに集中する」必要があると主張した。

バノン氏、米中は「経済戦争のただ中」 政権内の対立も認める CNN

しかし、米国は中国の崩壊を求めていないことが、大統領選の結果で証明されました。

中野 そのうえで、ブレジンスキーはアメリカがとるべき大戦略について、このように論じました。

まず、ユーラシア大陸の西側においては、ロシアの覇権を阻止すべく、EUとNATOを東方へ拡大し、この地域の最重要ポイントであるウクライナを西側陣営へと帰属させる。ロシアはこれに反発するだろうが、アメリカは「拡大西洋」とロシアの協調関係を形成し、ロシアを西洋化し、無害化すればよい、と。

次に、ユーラシア大陸の東側においては、日米同盟によって中国の領土的な野心を牽制しつつも、東アジアを安定化させる地域大国である中国とアメリカの協調関係を維持する。つまり、アメリカは、東アジアにおいて米中日の勢力均衡を保つバランサーの役割を演じるべきであると論じたのです。ちなみに、ブレジンスキーは、日本についてアメリカの「保護領」と語っていることも押さえておいたほうがいいでしょう。

――「保護領」ですか……。

中野 ええ。率直な発言だと思いますね。ともあれ、ブレジンスキーは、以上のような戦略をユーラシア大陸の西と東において同時に遂行することで、アメリカはグローバル覇権を維持できると主張したわけです。そして、実際に、アメリカの大戦略は、おおむねブレジンスキーが描いたように進められてきたと言っていいでしょう。

「グローバル化すべき」と言う人が、完全に“時代遅れ”である理由 ダイヤモンドオンライン

中国でなく、ロシアを滅ぼし、中国をあくまでNO.2にしておきながら、グローバル覇権を維持しよう、バイデン政権の現状を見る限り、米国はこの戦略に回帰したようです。

はっきり言って、米国の敗北は決定したと見ていいでしょう。米国が勝つには、トランプ政権の戦略を米国が取る必要がありました。しかし、彼らは総力を挙げて、トランプを排除しました。

トランプを支援していたのは、「最強のイスラエル・ロビー」のはずでした。つまり、最多対最強の対決は、最多に軍配が上がったということです。

さて、今回は長くなりそうなので、次回に続きを書きます。

トランプ政権の目的は、中国を滅ぼすこと

そもそも彼らはなぜ、そんな無謀に挑戦する必要があったのでしょうか? そして、それをトランプにやらせようとするのが、イスラエル・ロビーでないのだとしたら、いったい誰なのでしょうか?

トランプの個人的な恨みだというでないのなら、それを探さなくてはいけませんからね。