日本は「米国と共に中国と戦うべき」、現在この考え方は国防意識の高い日本人にとって、圧倒的な支持を受ける考え方だと言えるでしょう。

私も2019年までは、その考えの正しさを信じてきました。しかし、結論から言うと、それはすでに時代遅れになったと言えるでしょう。

牙をむいた安倍晋三

来るべき新時代を先取りしたと考えられるのは、安倍前内閣総理大臣です。安倍首相は、それまで一貫してトランプの子分としての役割を存分に果たしてきました。たまに駄々をこねて、叱られる場面が見受けられたものの、親の言うことをよく聞く子であったことは、その政権が歴代最長だったことにしっかりと表れています。

しかし実際のところ、彼は子供ではありませんでした。2020年になると安倍晋三は、ついにその本性を表したと言えます。

彼は、欧米の支配層に大胆な反抗を見せるようになります。その一つが、中国への接近です。

中国国営新華社通信は28日、安倍晋三首相の辞意表明を速報で伝えた。ネット上には、歴代最長の首相在任記録を更新し、険悪だった中国との関係修復に取り組んだ安倍首相に対して「尊敬する政治家」「勤勉な指導者」とたたえる反応が広がった。

安倍首相をネットで称賛 「尊敬する政治家」―中国 jiji.com

そして、もう一つが「効果的なコロナ対策」です。

8月28日、安倍晋三首相(当時)が辞任を発表した記者会見で、新型コロナ対策に関する重要な発表が行われたことを覚えているだろうか。それは、現在「指定感染症2類以上」の取り扱いとなっている感染症法における新型コロナの運用を見直すというものだった。

コロナ第3波に無策の菅政権、 今こそ実現すべき安倍前首相の「遺言」 ダイヤモンド・オンライン

指定感染症2類を見直す、つまり、彼は「コロナ」を根底から解決しようとした先進国で唯一の首相だったのです。このような、重大な二つの「ルール違反」を欧米の支配層たちが、許すはずがありません。

 むしろ、日本のマスメディアや「知識人」からは批判されることが多いように感じる(※筆者注:ちなみに、安倍首相の「負の面」とされる、いわゆる「森友・加計問題」や「官僚らの忖度(そんたく)の問題」「桜を見る会問題」などは、中国ではほとんど問題視されておらず、話題にもなっていない。正直、中国人からすれば『その程度のこと』がなんで問題なのか、理解できないと思われる)。

中国のSNSで「安倍首相の辞任」が驚くほど盛り上がり、好意的な理由 ダイヤモンド・オンライン

私たちは、このような首相を持ったことを誇りに思うべきですが、日本人はいったい、どこに目をつけてるんですかね? ちなみに、「森友・加計問題」や「官僚らの忖度(そんたく)の問題」「桜を見る会問題」などの取るに足らない問題ですが、すべてCIAによる作戦であることが、支持率の変遷の分析などにより、当ブログに「証明された」と言ってもいいくらいでしょう。

こうして、安倍晋三は辞めさせられた、のです。

昭一さんは常にリーダーだった。自虐的な歴史観を正し、子供たちが日本に生まれたことに誇りを持てる教育に変えたい一心で教科書問題にも取り組んだ。困難な問題に立ち向かい、世の中を変えていく戦う政治家の姿を学んだ。

中川昭一氏の告別式の弔辞より 安倍晋三

私の安倍氏に対する評価は、2020年で一変しました。

米国についていくべきか? 答えはもちろんNO

戦略的にNG

さて、安倍政権の中国に近づくという戦略は失敗だったのでしょうか。私には、そうは思えません。なぜでしょうか。それは米国が、中国に勝てる可能性が、どんどん低くなって来ているからです。というか、ほぼゼロですね。

それは単純に、弱い奴についていってもしょうがなくね? と言う話なのです。

対中国に最も優れた戦略を持っていたのは、トランプ政権でした。しかし、米国の支配層(イスラエル)は、その戦略を拒否しました。

中国が進める非米化策の一つは、ロシアとの結束の強化だ。以前はロシアの方が米国から強く敵視され、ロシアが中国にすり寄って非米的な結束をやりたがっており、中国の方が非米的な中露結束に消極的だった。しかし今や中国もロシア並みに(ときにロシア以上に)米国から敵視されて世界の非米化に積極的になっており、プーチンは念願の露中結束による非米化を進められるので大喜びしている。

「中国に世界を非米化させる」 田中宇の国際ニュース解説

トランプ政権が中露を分断し、プーチンを味方につけようとしていたのは記憶に新しいところです。ですから、新アメリカは、今度はある程度中国と仲良くするのかと思ったら、そうではなかったようですね。つまり、彼らは非戦略的思考に陥っています。簡単に言うと、駄々っ子です。

「どっちもいやだ~ ๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐」

こんな奴らに付いていけるわけないでしょう。

道徳的にNG

そして、ほとんどの日本人が最も誤解している部分なのですが、米国の方が道徳的に正しいという考えは、単なる誤りです。

プーチン氏はまた、アメリカについて、先住アメリカ人を集団虐殺し、第2次世界大戦で広島と長崎に原爆を投下して一般市民を滅ぼしたと非難した。

プーチン氏、バイデン氏の「人殺し」発言に反論 「そっちこそ」 BBC JAPAN

それは本当は、日本人が一番分かっていなければならないことです。

だが、すでに述べたように、そもそも人権侵害を理由に他の国を攻撃する人権外交の多くは、米欧とその傘下のマスコミ権威筋による世界支配のための悪だくみである(人権重視を叫ぶ人々は軽信的な悪の傀儡だ)。 (16 Countries Are Pushing United Nations To Condemn US Unilateral Sanctions) (民主や人権の模範でなくなる米国の失墜)

これまで一方的に情報を歪曲され濡れ衣で悪者にされてきた16か国が初めて中国主導で結束し、悪しき人権外交を使った米欧の世界支配をやめさせようとしている。米欧では、マスコミ権威筋の信頼性が、コロナの愚策のプロパガンダなどによって失われつつある。今はまだ「米欧=正義。16か国=悪」の構図が先進諸国で軽信されているが、それがこれからだんだん転換していく。

「中国に世界を非米化させる」 田中宇の国際ニュース解説

自分の行動の道徳の正しさを語る奴にろくなのはいないと、皆さん知っていますよね? それがまさに欧米の支配層。最近はミャンマーを使って、お馴染みの「自由と民主主義キャンペーン」を始めたように見えますね。また、随分と古ぼけたしょっぺえ作戦で来たもんだとため息が出てしまいます。

中国はそんなに危険なのか?

しかし、中国の軍事的脅威は実態をもつものなのだろうか。中国の人民解放軍は、主に対外的な目的で活動している軍隊ではない。日本の自衛隊のように災害の救援活動、さらに新疆ウイグルやチベットなどの縁辺の分離独立運動は中国の国家的枠組みを変更するかもしれず、神経過敏にならざるをえない。中国はベトナムに侵攻したことがあるものの、その占領を継続させることはなかった。歴史的に見れば、中国は他国を侵略する野心をもってこなかった。

『軍産複合体のアメリカ』

では、中国は危険ではないのか?と聞かれたならば、「危険でないとは言えない」が答えとなるでしょう。

しかし、何度も書いているように、欧米の偏執狂的支配層の方が遥かに危険であることは明白です。しかも、日本人のほとんどは、欧米支配の危険性に全く気が付いておらず、ただただ信じるのみであることが、最も恐ろしいことなのです。

「中国」と一言に言っても決して一枚で語れるものではなく、やはり欧米の勢力が、かなり入り込んでいる様が見て取れます。私たちが「中国」と言って恐れているものは、「ただの欧米の偏執狂連中だった」というオチも十分考えられるのです。

やはり、大手メディアから伝わってくる情報をそのまま信じてはいけません。

習近平には、プーチンと同じようにそれらと戦っている様が見て取れます。つまり、安倍晋三の選択は、正しかった可能性が十分考えられるのです。

この見解は、国際政治に長けている当ブログ読者の方に於いても、強い嫌悪感を生じさせる可能性があるでしょう。

(いつも読んで頂いているカラスさんから、「そんなことはないのではないか」とコメント頂いたので、嬉しく思うとともに、私の勝手な忖度だった(笑)ということで、訂正させていただきます)

しかし最近は、現実はその感情とは、別の方向にある気がし始めています。

まあどちらにしろ、もはや、米国はどう考えても中国に勝てませんから、根本的に考え方の転換をしなければならない時がやって来たと言えると思います。

「米国についていく」は「長い物には巻かれろ」が、大得意な日本人において、すでに時代遅れの間違いとなったと断言してもいいでしょう。

自分が長い間、当然だと思い込んできた物事や出来事を、時に疑ってみることはすべての人間の行動において健全なことなのである。

バートランド・ラッセル