経済成長、経済成長ってみんな言うけどさ、もう、成長なんて必要ないんじゃないの? そんなことを最近思っていましたが、それを書くと過激派だと思われるのかな?と気になって、サーチしてみました。

すると、大分前に少し取り上げさせていただいた水野和夫先生が、こんなことをおっしゃっていました。

今回ご登場いただくのは「もはや成長しなくてよい」と真逆の主張を展開する著名エコノミストの水野和夫・法政大学教授だ。

亡国への分岐点(下)経済学者・水野和夫氏「日本こそ理想社会だ」 日経ビジネス

さっすが、水野先生! 私も堂々とこの記事を欠く勇気をもらいました。それは経済成長不要論です!

素晴らしい経済学者

経済学には、本当に失望させられてばかりでしたからね。そう言えば、過去に読んだ水野先生の著作は素晴らしいものでした。すみませんが、すっかり忘れていました。

それに比べて・・

前回は「成長を諦めれば日本は消滅する」と訴える伝説の投資家ジム・ロジャーズ氏の話に耳を傾けた。

伝説の・・まるでインチキが服を着ているようなこの人とか、テレビに出てくるような有名論者の主張のまあ、つまらないこと。

逆だ、逆。このまま成長を突き詰めれば、消滅しますよ!

ええ、むしろ第2次世界大戦後の急成長の方が異常でした。経済成長を支えた人口の増加も、エネルギー消費量の増大も異常なペースでした。こんな異常が続けばそのうち日本列島が人で埋まることになりますし、化石燃料だって有限ですから、持続可能ではありません。

もう、本当にその通り!

日本人は「失われた30年」などと称していますが、私は正常化に向けたプロセスだと捉えています。

「失われた30年は、正常化に向けたプロセス」

どうです、この発想力。しびれますわ。

正しい債務論

そして、先生は最近話題の債務問題についても、ドンピシャの回答を私たちに届けてくれます。

財政破綻を回避するためには約1000兆円に上る国の借金、つまり国債の発行残高をこれ以上増やさないことが重要となります。

もう本当にまさにこれ。積極財政論に対して財政再建論ってありますけど、これも違うんですよね。だって、別に今、大きな混乱がある訳じゃないのだから、慌てて解決に向かう必要ってないんですよ。

解決って言うと聞こえはいいですが、それは実質破壊に近いことですからね。これ以上、財政負担を増やすと、破壊的な解決にならざるを得なくなるだろう、というのが真っ当な予測だと思います。

だから、「これ以上増やさない」ことが一番大事

言ってくれました、本当のこと。尊敬できる経済学者、いました。忘れてた、なんてほんと私が、阿保でした。

正しき日本政府

そして、先生のこのインタビューを読めば、日本政府がなぜこのタイミングで突如「分配」を強調し出したのか、その意図がはっきりと分かるでしょう。

そして、M谷さんとかT橋教授とか、視野せま~てこともですね。

政府だけではありません。民間もこれからは新規の投資をあまりしなくてもよいでしょう。すでに日本企業の新規投資は減っています。全体でみた年間の設備投資額は約90兆円ですが、そのうち新規投資は10兆円程度しかありません。残りの80兆円は既存設備の維持費に充てられています。

 今後、政府や企業がどうしても新規投資しなければならない分野は正直あまり思いつきません。再生可能エネルギーぐらいでしょうか。

政府は、成長投資がこれ以上必要ないことを悟っているのです。さすが我らの日本政府!

相変わらず残念な欧米政府

対して、相変わらず残念なのが、欧米政府の皆さんです。

欧州委員会は10月12日、新型コロナで打撃を受けた経済を立て直すための「欧州復興基金」の原資(の一部)に充てるため、グリーンボンド(環境債)を発行して120億ユーロ(約1兆6000億円)を調達したと発表した。

(中略)

しかし、欧州の行政府と位置づけられる欧州委員会がそのように扇動することで、グリーンボンドは「みなが買うから上がる。上がるから買う」自己実現的なプロセスをたどることになる。

欧州委員会のやっていることは、いわば「自分の尾を追う犬」と同じではないだろうか。

欧州委「自画自賛」グリーンボンド発行を素直に喜べない理由。脱炭素はどこまで市民生活を犠牲にしていいのか BUSINESS INSIDER

これだけ、インフレが大きくなる兆候、いや、実際にそうなっているのに、また債務拡大ですって、馬鹿じゃないの。

(グリーンボンドへの高い投資需要による)「グリーニアム」を背景に低い利回りで資金調達できたとしても、(グリーンボンドによって促される)脱炭素に向けた取り組みの結果、企業活動にとって資本コストになる政策金利が引き上げられるのであれば「元の木阿弥」ではないだろうか。

例えば、ユーロ圏の域内金利はいまインフレ懸念に対応して確実に上昇している。

賃金に変化はないのに身の回りの商品価格だけが上がっていく「悪いインフレ」を鎮圧するために、中央銀行が金融引き締めに動く展開で、それは一般市民にとってちっとも良い話ではない。

まあ、もちろん、彼らはわざとやっているわけですが・・。

未来の地球環境を懸念し、理想を追求していく姿勢はもちろん重要だが、いまを生きる人々の生活以上に優先順位が高い取り組みなのかどうか、落ち着いて吟味してから動く必要があると筆者は考えている。

おっしゃる通りです。こちらの筆者の唐鎌さんも、結構いい記事書くよね。

この点において、唯一まともな政策論を展開するのが、やはり、米国の民主社会主義ですね。彼らは、財源を富裕層に求めるって言ってますからね。実現性は期待出来ないのですが、とりあえず主張したってことは大きいですよね。政治は口だけではだめですが、主張しないことには話にもなりません。

幻の「グリーン・ニューディール」

ただしかし、彼らの主張する「グリーン・ニューディール」は、絵に描いた餅でしょう。グリーン・ニューディールは平たく言えば、環境を守りながら、経済成長をしましょうって言う政策だと思いますが、これは絶対嘘、無理

だって、環境破壊の原因が、経済成長なのですから。もう一度、水野先生の言葉を思い出してみましょう。

ええ、むしろ第2次世界大戦後の急成長の方が異常でした。経済成長を支えた人口の増加も、エネルギー消費量の増大も異常なペースでした。こんな異常が続けばそのうち日本列島が人で埋まることになりますし、化石燃料だって有限ですから、持続可能ではありません。

いずれ異常な膨張を是正する時期を迎えます。日本はすでにその段階に突入しています。1990年代初頭にバブル経済が崩壊してからの景気低迷を日本人は「失われた30年」などと称していますが、私は正常化に向けたプロセスだと捉えています。

亡国への分岐点(下)経済学者・水野和夫氏「日本こそ理想社会だ」 日経ビジネス

環境を守るならば、成長は止め、後退、もしくは現状維持に発想を切り替えなければなりません。もちろん、日本政府も、そうはっきりは言いませんよ。政治的にはそれは、許されないでしょう。

ただ、すでに行動に出ているんですよ。だから、外資から強烈な売りを食らってるわけです。

新しい中国

そして、日本以上にもっと過激に、後退をやり始めた大国がありますよね。

中国経済の先行きについて明治安田生命保険の永島英器社長は「習近平(シー・ジンピン)国家主席にとって中国恒大集団の問題は共同富裕路線の象徴的なものとして国民周知となっている。成長より分配にかじを切っており、中長期的には成長力を押し下げる可能性は高い」との見通しを述べた。

永島氏、中国経済「共同富裕は分配重視、成長力押し下げ」 景気討論会 日本経済新聞

彼らも、成長は不要と判断、後退に舵を切ったようです。水野先生が本物であるのならば、やはり、日中は世界の先陣を切っていると捉えるのが、正しいでしょう。

国民の皆様、もう、欧米を追いかけるの止めませんか? 彼らは間違っているから?

いえ、彼らのトレンドが終わったからですよ。

マジでダサいすっよ、あいつら。私が言うのは、欧米の国民たちのことじゃなくて、政府とか財界の方々です。