アルベール・カミュ作『異邦人』を取り上げましたが、その中で、主人公、非常識人の「ムルソー」を肯定することは危険ではないか、と書きましたが、その理由を今回突っ込んで書いてみたいと思います。前回も書いていますが、そのカギは人間の「合理性」と「非合理性」です。
ムルソーは不合理な人物ではない
この小説のテーマとして「不条理」がよく言われるのですが、「不条理」には二つの意味があるとウィキペディアにも記されています。常識に合わないことと、不合理なこと、です。しかし、「ムルソー」はあながち不合理な人間ではない、ということは、前回記した通りです。