豪準備銀行が先程、予想外の利下げを発表し、その影響でドル円は、106円を割り込み、とうとう、105円台突入となりました。その前には、IMFから「日本は金融政策に依存しすぎている」との警告を受けたとのニュースがありましたね。

やはり世界中から日本とそして、ECBの金融緩和への非難の声が高まっているようで、やはり、日銀は追加緩和したくてもさせてもらえなかった、と考えた方が自然ではないでしょうか。そして、先日の日銀ショックの場面では、ヘッジファンド勢はどちらかと言うと、「やるぞ!」と言う情報を掴んで買い戻しに動いていたとも考えられるかもしれません。

金融政策はいけないこと?

世界各国から、非難されると言うことは、金融政策はいけないことなのでしょうか? そんな高まる非難にECBのドラギ総裁はこう答えて、そのいらだちを表しています。

「ECBは政治家ではなく、法に従う」

さすが兄貴、彼がおっしゃる通り、金融政策に対して、批判が高まるのは、通貨安を欲するお国々の都合というそれだけことであるようです。

 

円高の理由

105円という急激な円高に進んだ理由はいろいろとあると思いますが、今回は実にシンプルで、「アメリカがドル安政策に転換したから」だと思います。当ブログが読みを外したのは、このことに気が付くのが実に遅かったからです(笑)。FRBの動向ばかりを見て、アメリカはドル安を志向していないと言う思い込みがあったのです。しかし、政治的に今は、ドル安政策であることは、間違いがなく、そうである限り、円安にはなりようがありません。

結局は力関係であるので、アメリカには適いません。「国策に売りなし」と言いますので、日本だけを見ていれば、ドル円は買いでよかったのですが、相手の顔色を見れば、態度がいつの間にかすっかり変わっていたのです。「買い」は知らずのうちに、アメリカと戦う形になってしまっていたんですね。

ただ、FRB、イエレン先生が本当にドル安を志向しているかには疑問があるかな、と個人的には思っています。FRB高官が早期利上げを匂わしたのを、イエレンが3月の会合で真っ向から打ち消したことがありましたが、あれは不自然でした。FRBは政治的圧力で、本意の利上げをさせてもらえない可能性もあるのではないでしょうか。

麻生財務相は、「金融政策は制約を受けない」とおっしゃっていますが、果たして日銀が追加緩和を放てるでしょうか。財政出動とセットなら、許されるのでしょうか。日本以外の国だって、好き勝手に政策を講じているのですし、そんな非難は無視していいとも思うのですが、なかなかそうもいかないところでしょう。

 

通貨安競争が加速?

今回、豪準備銀行が、驚きの利下げを行った背景は、やはり、自国の通貨を安くしたいという部分が大きいのでしょう。アメリカのドル安政策により、円と同様、豪ドルは高値に進んでいました。こうなってくると、やはり懸念されるのは、「通貨安競争」です。もう、既にそれに突入していると言ってもいいと思います。

では、通貨安競争が、盛んになると、どうなるのでしょうか? イメージとしては、あまりよくないのですが、意外にも景気回復につながるという学者の方の意見もあるようです。通貨安競争がインフレを誘発するため、それが経済の回復をもたらすと言うのです。そして、インフレは、無制限に甘受できないため、競争は終わりを告げると。

 

現在、インフレにならないことによって、世界各国が困っていますが、私はそれは今だけのことで、やはり将来的には相当のインフレが訪れるではないか、と思っています。その誘因となる、通貨安競争が、アメリカの参戦により、静かにスタートしている模様です。これが、経済の回復につながるかは分かりませんが、インフレにつながることは間違いがないと思っていもいいと思います。これは世界の潮流と言うことでしょう。

 

将来のインフレ阻止に有利なのもアメリカ、日本は・・

では、もし、通貨安競争の結果として、止まらないインフレが世界中にやってきたとします。今度は、中央銀行はその阻止に動くはずなのですが、そうなった際も、先進国の中で一番有利なポジションにいるのはアメリカです。すでに、金融緩和の出口に立っているのですから、相当有利です。アメリカは、緩和、引き締め、早々にどちらにも動けるニュートラルなポジションを取ろうとし、そうなりつつあります。

そして、ヤバいと言うとか、不利なのは、やはり日本です。日本はインフレが暴発したとき、それを止める準備も、手段もまったくない、という状況に陥ることの想像はそう難くないのではないでしょうか。

ですから、今、どんなにドル円が下落しようとも、将来的なインフレの到来は間違いなく、その後塵を極めそうな日本には、その代償として、相当な通貨安が訪れる可能性があるのではないでしょうか。それはドル円200円超の世界ではないかと思っていますが、妄想でしょうか?

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