ソフトバンクG株が安くなっています。自社株買いで上昇した分をすべて吐き出した格好です。その理由になったのが、ウィーワークを運営するウィーカンパニーへの出資の失敗です。

私が懸念しているのは、それではありません。元々投資は誰がやっても100パーセントの成功はあり得ないもので、大成功も大失敗もあって当然なのです。

では何が?と言うと、メディアの伝え方です。率直に言うとこれは、既に「潰しに来ている」やり方です。私はこれでやられてしまった有名人を何人も知っているのですが、彼らは皆、その評判をたった1年余りで天から地へと失墜させられていたのです。中には犯罪者になってしまった人すらもいます。

当然、株価も暴落です。

無能なギャンブラー?

コラム:ソフトバンク、ウィーワーク追加出資で損失泥沼化も

無能なギャンブラーは損が出るとそれを取り返そうと賭け金を増やし、最後には茫然自失してしまう。ソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義社長は、共用オフィス「ウィーワーク」を運営するウィーカンパニーへの追加出資によって、同じ間違いを犯す危険がある。

ロイター

孫正義氏を知ってますか? もちろんですよね。ソフトバンクグループの社長でありその経営手腕は天才的、カリスマ経営者と言う言葉がぴったり似合う人物と言えばまさにですね。

でも、そんな彼の評判が少しづつ落ちてきているのをご存知でしょうか。私は気にして見ているのですが、まあ最近は悪いイメージの記事が多いです。ここでも「無能なギャンブラー」って書いてあるでしょ。

冒頭でも書きましたが、投資なんて全部がうまく行くわけないので、当たり前の様に失敗があるわけですが、「無能」とは実に辛らつ・・。

責任ある立場なので、ある程度は叩かれるのも当然なんですが、その程度が異常な領域に入って来ているように思われるのです。つまり、彼はメディアに睨まれているということです。

私は1年前からそのことをこのブログに書き記して来ましたが、こうして複数の面からその流れを肯定する動きが出てきているとなると、この感覚が全くの勘違いだった!という可能性は経験上ほとんどないです。

同じ運命をたどった人達

イーロン・マスク氏の場合

しかも、これには先例があります。最も近い話となるのが、テスラの同じくカリスマ経営者と「言われていた」イーロン・マスク氏の凋落です。

米電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA.O)は、豪通信大手テルストラ(TLS.AX)のロビン・デンホルム最高財務責任者(CFO)が会長に就き、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はついに「大人の監視役」が付く身となる。

会長の交代は米証券取引委員会(SEC)から押し付けられたものだが、独立性を持つ会長を戴くことはテスラにとってプラスだ。

ロイター

マスク氏もつい何年か前まで「天才」の呼び声が高ったことをご記憶の方も多いでしょう。しかし、彼はいつの間にか、「お目付け役」が必要な問題児になってしまった。SECから押し付けられたって・・これは乗っ取られたも同然ですね。

イーロン・マスクを追い詰めたのは、いったい誰なのか

相次ぐ問題発言によって注目されているマスクは、いったいなぜここまで追い詰められてしまったのか。

WIRED

この記事を読みながら、彼を「天才」から「キ〇ガイ」に変貌させた根源を探ってみましょう。

好意的な評価が一転

(中略)

確かに彼は相当に強いエゴをもっていて、彼のことを疑ったり嫌悪したりする人々を見下す悪い癖がある。しかし、一般の人々は寛容にも、規模が大きく大胆なアイデアを提案して実現する優れた手腕ゆえに、そんな小さな“罪”を許した。
しかしこの1年で、こうした好意的な流れが変わり始めた。

彼を追い詰めたのはメディアですね。メディアが一斉に手のひらを返したのです。彼を「天才」にしたのも、メディア。「キ〇ガイ」にしたのもメディアという訳です。

「この1年は、わたしのキャリアのなかで最も困難で苦痛な年でした」と、マスクはインタヴューで語っている。

マスク氏に最も困難な1年を授けたメディア。ところで、そもそもなぜ彼は、こんなにもメディアからの迫害を受けるようになってしまったのでしょうか。

トランプ大統領が「目をそむけたい」テスラ中国工場

ニューヨーク・タイムズ紙(7月10日)は、「テスラの中国工場はトランプ政権が最も見たくない眺めだろう」と皮肉った。テスラにとっては米中貿易戦争の影響を避け、中国の巨大サプライチェーン(部品供給網)に近づくチャンスだと指摘。同社の決断は、部品輸入にかかる25%の関税を「鉛の靴を履いてオリンピック競技をするようなもの」(テスラのイーロン・マスクCEO)とするたとえによく表れているとした。

上海でのテスラの製造発表もこの流れに沿うものであり、ドナルド・トランプ米大統領を不愉快にするだろうと同記事は指摘。トランプ大統領が貿易戦争をしかけるのは、北京の手から技術を守るためでもあるからと類推したうえで、「しかし、今やハイテク自動車産業はトランプ大統領の手元を離れ、中国めがけて動いているようだ」とコメントした。

M&Aonline

ははは、こんなに分かり安くていいの?って言うくらい簡単に答えが見つかってしまいましたね。彼は知ってか知らずか、アメリカ人でありながら、米中戦争で中国に味方してしまった。ですから、これは当然の成り行きだったのです。

メルケル氏の場合

さて、同じような目に会った彼以上の大物の紹介をしましょう。

同記事は独メーカー(フォルクスワーゲン=VW、BMW、コンチネンタル、ダイムラー)が市場開放を受けて、立て続けに具体的な計画を示していることに触れ、「そろって世界最大のマーケットである中国を狙っている」と説明した。

特にBMWとダイムラーは、米国から中国への生産切り替えを狙う。

先程の記事にもう一つの「親中勢力」が示唆されています。それはドイツです。ドイツのCEOが誰かって言えば、メルケル氏ですよね。だから、彼女もマスク氏と同じ運命を辿っていたのです。

ギリシャ危機が転機

メルケル氏への風向きが変わったのはいつ? それははっきりと2015年の7月以降だと断言することが出来ます。それまで彼女は、世界の模範的指導者の評価を手にしていました。

しかし、2015年の「ギリシャ危機」でその評判が一変したのです。

強硬ドイツに批判噴出 「厭独論」広がる国際金融市場

ギリシャ金融支援協議で、ぎりぎりまで強硬姿勢を崩さなかったドイツに対する批判が国際金融市場で噴出し始めた。

産経新聞

このギリシャ債務危機なんですが、借金を踏み倒そうとしたギリシャをドイツが許さなかったと言う話なのですが、なぜか批判されたのはドイツ、メルケル首相の方だったのです。

前FRB議長のバーナンキ氏は、自身のブログで「ドイツはユーロ安の恩恵を独り占めしている」と言及しました。

ギリシャ可哀そう~というおかしな話になるとともに、メルケル氏はこの一件以来、「強欲な金の亡者」というイメージをメディアに植え付けられ、急速に支持を失っていったのです。

マスク氏とメルケル氏の運命、とても似ているでしょう? ともにメディアによって、1年余りの間に評判を失墜させられています。

米中貿易協議の行方が世界的に大きな関心を集めるなかで、トランプ政権と欧州との関係に緊張が走っている。昨年来、ドナルド・トランプ米大統領がNATO(北大西洋条約機構)諸国への防衛コミットメントを渋り、NATO諸国、とりわけドイツに対し、防衛費の増大と対米貿易赤字の縮減を求めてきており、米欧同盟関係に亀裂が入り始めた。

(中略)

メルケル首相はこの対米批判のスピーチのなかで、ドイツ車についての関税問題についても熱を込めて反論している。いわく「ドイツ車が米国の安全保障上のリスクだ、などということは、まったく理解できないことだ。ドイツ車の多くは米国で生産されている。米国の安全保障上のリスクとされるなら、とてもショックなことだ」

日経ビジネス

で、またしても、その理由がこんなに分かり安く見つかってしまいました。

そう言えば、2015年にウォルクスワーゲン排ガス不正問題ってのもありましたよね。あれもドイツの評判の失墜に一役買っているわけですが、暴露したのはアメリカです。米国はずっと前から知っていて、あえてこのタイミングで暴露したのだと当時言われていました。

それは習近平がドイツを訪れているという絶妙な間だったようです。メディアを使ったイメージ戦略、これは米英が最も得意とする戦術です。

まず先に株価(イメージ)を下げることで、実態を悪くしてしまおうという、原因と結果を逆にするやり方です。

かつてドイツの女王、欧州の女帝とまで言われた人だが、ドイツのテレビを見ていると、その権勢の衰退は痛々しいほど明らかだった。もうあなたは政治家としておしまいなのかとテレビで何度も尋ねられては、(強張った笑顔で)辛抱強く答えるその様子から、彼女の頭から王冠が滑り落ちつつあるのが見て取れた。

しかし、メルケル氏個人の支持率はいまだに、多くの欧州指導者たちがうらやましがるほど高い。

BBC JAPAN

2017年11月のこの記事もなんだかおかしい。支持率は羨まれるほど高いって~全然ピンチでもなんでもないじゃん。BBCはご存知英国の公共放送です。この記事からはっきりとわかることは、英国メディアの支配者はメルケルを陥れたくてしょうがないってことです。それだけ彼女は邪魔な存在なのです。

ソフトバンクは同じかそれ以上

ファーウェイの「命運」握る孫正義氏 ソフトバンク傘下、英半導体設計会社が取引停止方針

米トランプ政権の輸出禁止措置で、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)をめぐる状況が厳しさを増している。スマートフォン開発の「致命傷」となりかねないのが、中核となる半導体設計のライセンスを持つ英アーム・ホールディングスの取引停止方針だ。実は同社はソフトバンクグループの傘下で、孫正義会長兼社長(61)が生殺与奪の権を握った形だ。

ZAKZAK

以前より指摘してきましたが、ソフトバンクGは米中覇権戦争の中核領域にことごとく進出しており、アメリカが目の敵にするファーウェイとの関係も深い。ですから、彼が睨まれるのも当然の話と言えます。

アメリカからすれば、孫氏はマスク氏以上の危険人物に見えていてもまったく不思議ではないのです。ただ、マスク氏に比べると彼はだいぶ立ち回りがうまいように思えます。

睨まれていることを察知しているようにすら映ります。

全てが一本の線に

菅官房長官は昨年8月、携帯料金は4割下げられると発言して皆を驚かせたわけですが、私はそれよりもDocomoがそれにすぐに答えたことを不可解に思いました。まるで独裁国家じゃない? なんで民間企業が法令違反でもなんでもないのに、経営に重大な影響を及ぼすレベルの要請をすんなりと受け入れたのだろう?って。これはちょっと変な話ですよね?

これをされちゃうと、残りのキャリアも従わなければならなくなります。

さらに携帯市場には第4のキャリアとして楽天が参入しています。その参入が発表されたころ、「なんで今頃?」と言う声がとても大きかったのです。「今から参入して勝てるわけがない」その意見はとても常識的で、楽天の参入の合理性は全く理解できませんでした。

そして毎度ですが、分からないことがあるとこの結論に落ち着いてしまうのです。

「三木谷さんはきっと馬鹿なんだろう」

でも、そんなはずはないのです。彼にはすぎるほどの勝算があったはずです。むしろ彼には神風が吹いたのです。

楽天はソフトバンクの後釜、とまでは言いませんが、対抗馬として用意された可能性は十分考えられるでしょう。

そんな奇妙な流れを察知していた私は、 上場の目前、連日facebookページにこう書き記していました。 「ソフトバンクの上場はうまく行かない」。こちらは↓その証拠で、あの事件の発生1日前に書いたものです。

あの事件とは、例の通信障害事故です。そのかいあって、初値は公開価格を15パーセントも下回る水準となってしまいました。これには驚かれた方も多かったと思いますが、こんなことすら事前に分かってしまうのです。

まあ、あんな事故を起こせるのは、あの諜報機関しか思い浮かばないですけどね・・。

そうです、もし読者の方にソフトバンクGにお勤めの方がいれば申し訳ないですが、ただ事実として彼は、既に睨まれた状態にあることは間違いないと思います。

ここまで複数の線で繋がってしまうと所謂「裏が取れた」状態であり、全然外れていた!っていう可能性はほとんどありません。私が言うんだから間違いない(笑)。

だからと言って、もちろん「潰される」と決まった訳ではないです。しかし、 大きな鉄球が彼の片足に繋がれた、と言えるでしょう。 「無能なギャンブラー」それが新たな彼のニックネームになる日はそう遠くないのかもしれません。