日本株が想像以上の下げになっていますね。ドル円もこんな展開になると予想していたものの、やはり想像以上のスピードです。このまま直近ではやはり、年初来安値の105.5円割れを目指すものと思われますが、そんな円高はどこまで、そしていつまで続くと言うのでしょうか? そんな誰もが知りたい疑問にお答えすることは到底出来ませんが、占うことくらいは出来るかもしれないと思い、記事にしてみました。

 

6月の三大リスクシナリオ

まず、手始めに直近でやって来る、6月の三大イベントの起こりうるシナリオを予想してみましょう。三大イベントとは皆さんご存知、アメリカの「FOMC」、日本の「金融政策決定会合」、イギリスの「国民投票」です。

 

FOMC

この内、一番最初にやってきて、一番リスクが少ないと考えられるのが、FOMCです。半月前までは、ここでの利上げの可能性が取りざたされていましたが、先月の雇用統計の極端な悪化により、その可能性の予想はほとんど皆無となりました。私もここでの利上げの可能性は、ほぼゼロだろうと思っています。

これまで何度も書いてきておりますが、イエレン議長率いるFRBはとにかくマーケットに対して、懇切丁寧な対話を続けており、それが突然サプライズの利上げに動くというのは、西から日が出るほどに想定しづらいです。イエレン先生が『赤と黒』のマチルドの様に、マーケットへの態度を豹変させない限り、それは起こりえないと言えるでしょう。

意外とあり得る? いえいえ、彼女はあんな小娘ではなく、マーケットの母のような偉大な人ですから、それは100に1つもないでしょう。

FOMCは6月14日~15日です。

 

金融政策決定会合

さて、次にやって来るのは、我らが日銀の金融政策決定会合です。リスクも中間です。ここで追加緩和があるかどうかですが、私はないと思うのですが、これはFOMCほど確度の高い予想は出来ないでしょう。黒田総裁はなにをするか、しでかすか、全然わかりません。ですが、一つだけはっきりしていそうなのは、ここで追加緩和を行っても、その規模の大きさによらず、無駄打ちに終わるだろうと言うことです。

この確実性は高いように思われます。今年の一月に史上初のマイナス金利を導入した際に、一時的に円安に動いたものの、あっという間に円高になってしまったことから、かなり評判を落としてしまったマイナス金利政策ですが、これはこの政策に対する小難しい理論ではなく、単に日銀の政策だけでは、既に始まっていた円高トレンドに抵抗できなかった、と言う要因が大きいのではないでしょうか。

事実、発表直後には3円ほど円安に動いています。マーケットはいったんは、こう評価したわけです。しかし、大きな円高圧力の前には、すぐに屈する結果となったと言うことでしょう。この壮大な世界中からの円高圧力は、依然続いたままであり、そんな中で政策を打っても、この時と同じようになってしまうことは容易に想像がつきます。世界の圧力に日銀の力だけで勝てるはずがないのです。政策の良しあしなどははっきり言って関係ないです。

日銀はここで追加緩和を打つべきではないと思います。金融政策の決定会合の結果発表は、6月16日です。

 

イギリス国民投票

そして、最後ににやって来て、もっともリスクが高いのが、EU離脱の是非をかけたイギリスの国民投票です。今は世論調査により、離脱派が優勢となっていますね、私はそれでも離脱はしないのではないか、と思い続けていますが、これは予想が全くつかないですね。もし、離脱となれば、マーケットに激震が走ると言われていて、どうなってしまうかは、窺い知れるところではないでしょう。本日は、日経平均も600円近い下げとなっていました。

恐ろしいほど、堅調なアメリカ株も、離脱があれば、大きな下げに見舞われるのは必至でしょう。ジョージ・ソロスがダウを売ったとかいう話が出てきたり、どうも金融不安を煽る風があるような気がします。それは、もしかすると、国民投票の前までを狙った物かもしれません。もし、そんな空気を流している筋があったとしても、結果まではコントロール出来ないでしょう。

イギリスの国民投票は6月23日です。

 

ドル円が年初来安値の105.5円を割れるのは?

ドル円は本日すでに、105.80円を付けてましたので、年初来安値まで30銭くらいしかありません。「利上げなし、緩和なし」となった場合は、ここを割れていくのではないでしょうか。リスクオフのバイアスもありますし、100円台前半、102円~103円くらいでしょうか。何度も紹介している奇想天外な101円ライン(画像参照)は、それだけなら、割ることはない気がしますが、もしイギリスの離脱があれば、簡単に割れて、突き抜けるのでしょうね、どこまで行くかは、想像が出来ません。80円台まではないと思うのですが、分かりません・・。

名称未設定

円安に戻るのはいつ?

今年に入ってから怒涛の円高が続いており、もう円安には戻らないのではないか、と思っている方も多いと思います。しかし、私は今は長期円安時代だと思っており、いつかは円安に戻る時が来る! と確信? しています。

もし、それが外れており、今が円高時代のまま、だったとしても、

「今年のドル円の年間値幅はすでに平均に達しており、このままどんどん円高になってしまうことはないだろう」

と、今年の予想が当たりまくっている江守キャピタルの江守さんも言っていました。どちらにしろ、今年の円高はすでに限界が近い、と言うことですね。

 

では、今の円高が止まって再び円安に振れる日はいつなのでしょうか。その予想はとても難しいですが、以前、驚異的な的中となっているマネースクエア・ジャパンの吉田恒さんの解説をご紹介しましたが、その中で、

「過去の円安の後の円高局面は、1年~2年は続くのが普通だった」

と言うお話をお伝えしました。そこから考えれば、円高はドル円が高値を売った昨年の8月から1年後、今年の8月までは最低でも続くという見通しになります。長いと、そこから更にもう1年続くことになります。

 

相場の転換点を見つけるための手がかりとは

相場の転換点を読むことは非常に難しいことだと思います。そんなことは不可能とも言えるでしょう。しかし、もし、そのちょっとした手掛かりになることがあるとすれば、ドル円以外の通貨の円高ではないでしょうか。米ドル円は2015年の8月に高値を付けているわけですが、円に対してすべての通貨が昨年8月に高値を付けているわけではありません。むしろ、それは少数、他にはポンドくらいで、ユーロや豪ドル、NZドルなどは、2014年末くらいに高値を付けているのです。

つまり、これらの通貨は円高になってから、すでに一年半以上経過していると言うことになります。そして、ここ半年の値動きで比べてみると、円高が遅れていた米ドル、ポンドの下落率が大きく、先行して下げていたユーロ、豪ドル、NZドルの下落率は比較的小さいことが分かります。これらの通貨の2014年末からの下落率で見ると、米ドルの下落率より、まだ高いことが分かります。ここからも、米ドルはまだ下がる余地があることを示唆しているのかもしれません。

そして、先行して下げた通貨のここ半年の下落率が低下していると言うことは、既にその下落エネルギーが収まり始めている可能性も考えられるのではないでしょうか。もし、ドル円が下落を続ける中で、これらの通貨が円に対して、反発を見せ始めるようなことがあれば、それは円高の終わりの予兆の手がかりになるとも考えられます。相場の世界では、先行して下げたところから、反発し始めると言うことはよくあります。

ごくごく、簡単に考えると、豪ドル円が反転を開始してから半年以内に、ドル円、ポンド円も上がり始め、円高は終わりを告げる、と言うことになるのですが・・そんなにうまくはいかないでしょうか?

ドル円ー豪ドル円

※画像は、米ドル円と豪ドル円の直近2年の動きを重ねたチャート