イギリスのEU離脱の国民投票が迫ってきましたね。事前調査では離脱派が優勢、なんて言われております。イギリスが離脱すれば、世界経済を揺るがすことは間違いなく、これを織り込む形で世界のマーケットが大暴落! のはずが・・、どうも様子がおかしいと感じるのは私だけでしょうか。と言うのも、世界で突出して下げているのは、毎度の日本株で、震源地のはずの欧州は、それなりに下げていますが、あくまで”それなり”です。

そして、NYダウに関しては、普通の調整と言った様相で、ほんのちょびっと下がった、という具合です。これは、世界を揺るがす悪材料が一週間後に迫っているという状況にしては、いささか異様ではないでしょうか? 今回は、その点からイギリスの国民投票後の株価の先行きを占ってみたいと思います。予想じゃないですよ、あくまで占いです(笑)。

 

恐怖感があまりない理由

日本株だけを見ると、正に暴落と言った様相なのですが、どうも今回、そんな大悪材料が控えている割に、恐怖感と言うものがありません。マーケット関連記事を見ていますと、悲観的な内容が並んでいて、EUの崩壊に繋がるという不吉な予想もあります。私もそれはあり得るなと思ったりするのですが、しかし、そんな割にしつこいですが、恐怖感がないのです。

それはなぜかと言いますと、恐らく、「NYダウがほとんど下がっていないから」ではないでしょうか。直近高値の18,000ドル程度から、500ドルくらいしか下げておりません。これは、上昇局面の調整くらいのものです。そもそも、ダウは史上最高値付近であり、いつ暴落してもおかしくない、という専門家の方が多かったのですが、一向に下がる気配がありません。そんな中、こんな材料を抱えてもというのは、異様な強さと言わざるを得ません。

年初の安値が15,500ドルくらいだったことから見ても、イエレン議長のおっしゃる「高すぎる水準」で、いったい彼はどうしちゃったのでしょうか? 半年のチャートで見てみると、その異様さがよくわかります。

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ダウが下がらない理由を考察

では、なぜ、ダウが下がらないのか、その理由を考えてみたいと思います。

1.これから下がる

まあ、これが一番考えやすそうですね。本日、FOMCがありますが、ここでFRBが利上げを見送る公算が高く、これは株高材料なので、これが終わるのを待っている可能性は考えられるかもしれません。しかし、もし、そうだったとしても、昨日の終値で、年初の安値からは2,000ドル以上高い位置にあり、明日から投票日までに急激に下がり始める、と言うのも違和感がありますよね。そんな大きな悪材料を、一週間くらいで急激に織り込みに入ると考えるのは、やはり不自然と言えますよね。降って沸いた材料ではないのです。

 

2.イギリスの離脱はない、と踏んでいる

下がらないのだから、ダウがこう考えていても不思議ではないかもしれません。しかし、世論調査では、離脱派が優勢と伝わっており、この情報が完全なデマでない限り、実際どっちに転ぶか分からない状況です。当たり前ですが、株価が国民投票の結果を確信することはあり得ないですよね。

 

3.離脱しても対して下がらない

ダウは当然ながら、国民投票の結果を知っているわけではありません。普通に考えると、なさそうなのですが、後一週間と言うところで、下がっていないのですから、離脱しても対して下がらないと考えるのは、むしろ自然ではないでしょうか。これだけ言われているのに、一向に織り込まず、結果が出てから直後に暴落、そんな動きは株価の推移としては、むしろかなり不自然です。

突然悪材料が出てきたのなら、そんな動きになりますけど、例え離脱の結果が出ても、今の情報から言えば、サプライズじゃないですからね。

結局、この中では、3が今のところ、一番自然と言う結論になっちゃいますね。少なくとも、結果如何によらず、直後に暴落すると言うようなことは起こらない、ことをダウは教えてくれているのかもしれません。もし、直後に大暴落したら、「いや、だから、離脱しそうだって前から言うてるやん!」 って突っ込むしかないですよね(笑)。

 

売り物がない?

よく朝倉先生がおっしゃっていますが、世界的な金融緩和で、資金は行き場を失い、国債市場は馬鹿みたいな高値になっているようです。

世界を震撼させる不透明性が高まっていて、悪い結果に転ぶかも知れないと言うときに、株価がさがらない、という異様な光景の答えは、投資家心理ではなく、資金の行き場がないと言う物理的な理由なのかもしれません。

年初の暴落は、産油国の売りというごくごく分かりやすい、物理的な理由が存在していました。今回、恐怖指数と呼ばれるVIX指数はそれなりに上昇しているようで、投資家が警戒感を持っていないと言うことはないようです。もしかすると、投資家が恐怖しても、株は下がりにくく、なってきているのでしょうか? 日本株に関しても、空売り比率は45パーセントを超えているようですね・・。下がっていると言うよりも、かなり無理矢理下げているという様相です。

結局、下がらないダウのその心は、投資家が「イギリスの離脱はない!」もしくは、「離脱しても大丈夫!」と楽観的に構えているだけなのか、それとも、余りある資金の行き場がなく、物理的に下がる余地がないのか。いったいこのうちのどちらなのか? と言うことが、今後の株価の行く末を占う上で重要な意味を持つとは考えられないでしょうか。