さて、みなさん、突然ですが、「文明と文化」とはなにか、についてご存知ですか? 人間が人間たる所以、その活動の根幹を担うとも言えるこれらですが、「なんとなく」以上の理解は、実際のところ、なかなか難しかったりするのではないでしょうか? 今回、糞生意気にも人類史上の最重要ワードと言えるこちらを、とっても分かり安く、再定義しちゃいたいと思います。

「文明と文化」をはっきりと切り分ける、とっても大切なキーワードがあるんです! これからそれを特別にお教えします。

一般的な定義

まずは、当ブログの独自解説に移る前に、一般的なものを確認しておきましょう。

文明とは

人知が進んで世の中が開け、精神的、物質的に生活が豊かになった状態。特に、宗教・道徳・学問・芸術などの精神的な文化に対して、技術・機械の発達や社会制度の整備などによる経済的・物質的文化をさす。

~ コトバンクよりデジタル大辞泉の解説 ~

文化とは

人間の生活様式の全体。人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体。それぞれの民族・地域・社会に固有の文化があり、学習によって伝習されるとともに、相互の交流によって発展してきた。カルチュア。「日本の文化」「東西の文化の交流」

~ コトバンクよりデジタル大辞泉の解説 ~

さて、どうでしょう? う~ん、分かりづらい! と言うことにしましょう(笑)。だって、「文明」が、経済的・物質的「文化」をさすって、言葉のループしちゃってるじゃん!

当ブログの定義

これから、当ブログの独自定義を記していきますが、これは言葉の意味を新しく作る、と言うことですから、「本来の意味とは違う」、と言うクレームは受け付けません(笑)。

分かり安く理解するのに最も重要なことは何かと言うと、はっきりと区分けすることです。冒頭でこう記しました。「文明と文化」を分ける、大切なキーワードがあると。いったい、それは何か。私はこう思っているのです。「速度」、すなわち「スピード」だと。

へ? 時間? いったい何の関係が? それをこれから具体に記していきたいとおみます。

文明

さて、文明と聞くと皆さんは具体的になにを思い浮かべますか? 私は一番に思い浮かぶのは科学技術です。科学は文明ではない、と言う人はいないと思うのでこれを例に話を進めます。

科学とは?

では、科学とはいったい何でしょうか?

一定の目的・方法のもとに種々の事象を研究する認識活動。

~ コトバンクよりデジタル大辞泉の解説 ~

なるほど。これは分かり辛いわけではないですが、当ブログでは、もっと深く捉えるためにこう定義しています。

目的に対し、最短で最大の効果をあげる方法のこと。

科学の最も重大な目的の一つは知ること、だと思いますが、いったい何のために知るのでしょうか。最短で最大の効果をあげるため、ですよね?

文明の目的

さあ、実はもうこれだけであなたは、文明の根幹が分かってしまったと言ってもいいかもしれませんよ。文明を捉える大事なキーワードは、ずばり「速度」だと書きましたね。

新幹線、車に、飛行機、乗り物は当然、目的地に早く到達できることを目指すものです。IT技術は、情報をどれだけ早く正確に伝えられるかが、鍵となります。これらの技術にとって「速度」が、最も重大な要素の一つにあるのは、誰でも認めることかと思いますが、これはなぜなのでしょう? その方が快適だから? いや、実はちょっと違います。

この答えは、明快で「誰かに勝つため」で決まりです

他のライバルより事を有利に運ぶためであり、悪く言うと、誰かを出し抜くためなのです。最近の例でいえば、現在アメリカと中国がハイテク分野で覇権を争っていますね。その中核の「5G」は、超速の次世代通信システムです。

文明の目的は、勝つためであり、それは争いから生まれた可能性が高いのです。

これは弱肉強食の世界に生きる私たちの本能的な機能です。人より有利に生きるため、科学の目的とは、本質的にそのような性質をもっているのです。ですから、大阪万博決定の盛り上がりに水を差すようで申し訳ないですが、科学技術が人類全体を幸せに導くことはありません

こう書くと、いや、科学で豊かになって幸せを手に入れたじゃないか、と言う人がいると思います。それに対しては、「私たちはね」とお答えします。

ある大富豪がこう語ったと言います。「俺が儲かったと言うことは、誰かが割を食ったということだ」と。日本は先進国と言われます。ですから、当然日本人は文明で幸せになったのです。

しかし、文明の本質が人より有利に生きることを目的としている限り、私たちが幸せになったと言うことの裏には、どこかに負けを掴んだ、不幸になった人達がいると言うことなのです。

もちろん、全体の底上げ、と言うことはあるかもしれませんが、文明、合理性の本質は、独占の呪縛からは逃れられないのです。なぜなら、「誰かより早く(速く)」が、絶対条件だからです。

参考記事:世界の富の82%、1%の富裕層に集中 国際NGO試算

国際NGO「オックスファム」は22日、世界で1年間に生み出された富(保有資産の増加分)のうち82%を、世界で最も豊かな上位1%が独占し、経済的に恵まれない下から半分(37億人)は財産が増えなかったとする報告書を発表した。

~ 朝日新聞デジタル ~

ですが、ただ一つだけ、科学で人類全体が幸せになるシチュエーションがあります。それは、宇宙人がいた場合です(笑)。地球人の科学技術が彼らより優れていれば、私達は、彼らよりも幸せになれます。ですから、科学者は宇宙人を必死に探しているのかもしれません・・。

文化

では、次に文化を考えてみましょう。よく文明と文化は、相対するものとして捉えられることが多いですが、こう考えれば、すっきりします。

文化とは、速度以外に価値が見いだされた活動のことであると。

芸術、宗教、料理、遊び、これらは文化的な活動と呼ばれる最たるものだと思うのですが、これらには「より早く(速く)」と言う目的がありません。ですから、文化は人より有利に生きることには何の役にも立たないのです。

絵を書いたり見たりしても、それそのものが、人に有利に働くことはありません。ピカソの絵は誰が見ても、こう言った目的から大きく逸脱していますね(笑)。だから、偉大な芸術なのです。また「宗教」は、人を出し抜き、自分だけが得をすることは止めなさいと教えたりします。

料理もそうですね。料理をしてから食べる動物は他にはいませんから、料理は生きることには不必要な、人間的な文化だと言えます。「遊び」は言葉通り、無駄です。そして、ここからこうも言えるのです。

文化とは、無駄な活動のことである、と。しかし、実は「無駄」はとっても尊いものなのです。

これを踏まえてカテゴリー分けすると、デジタル大辞泉に文化として例に挙げられている「学問」は文明ではないか、と言えると思います。

そして、ここまで見てくると、人類に幸せを運んでくれそうなのは、「文化」の方だ、と言う気がしてこないでしょうか?

まとめ

「文明と文化」と言う人類の活動の根幹部分には、「速度」という要素が非常に重大な意味を持っていると言う見解はいかがだったでしょうか。

こちらの記事では、少々文明を悪く書いていますが、なぜかと言うと、既に文明は行き過ぎているからです。現代の科学技術はもはや危険な領域に踏み込んでおり、これ以上の発展をしても人類全体にとっては、なんの恩恵ももたらさないでしょう。

対する文化は、我々が人間らしさを維持するために非常に重要な要素として、これから先の未来も大事にされるべき活動であると言うことが言えるのではないでしょうか。

『合理性と非合理性の仮説』

さて、私はこの度上記の考えを大げさにも『合理性と非合理性の仮説』と名付けることににいたしました。こちらを用いると、「AIとは何か」「科学とはなにか」「人間とロボットの違いは何か」「文明と文化の違いは何か」「ピカソはなぜすごいのか」また「笑いとは何か」まであっさりと分かることが出来てしまいます。

これらは当ブログを読みこむことでも知ることが出来ますが、「知りたいけど記事探すのめんどくさい!」と言う方のために一つの書下ろし作品としてまとめてみました。