9月後半から突如暴騰を開始した日経平均株価が年初来高値を更新したのも束の間、10月30日には21,000円割れまで売り込まれる燦々たる有様となりましたが、それより酷いのがTOPIXやマザーズ市場です。

恐らく多くの個人投資家が、相当の痛みを伴ったと思います。しかし、それでも多くのアナリストは俄然強気を維持していると言うのが、今年の奇妙な特徴です。彼らがあまり本当のことを言わないので、今回はっきりと私が書き記したいと思います。

「株式相場は完全に壊れました」と。

 

爆弾を抱える市場

現在の株式市場は大きな爆弾を抱えています。3カ月前から私は、たった一人でそのことを訴えてきましたが、とうとう大きな味方を得ました。

「世紀の空売り」アイズマン氏、英銀2行空売り-合意なき離脱に賭け

2008年の金融危機に先立ち、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連証券の下げを見越した投資を仕掛け、 一躍有名になったニューバーガー・バーマン・グループのマネーマネジャー、スティーブ・アイズマン氏は、合意が成立しないまま英国が欧州連合(EU)から離脱するとの見通しに基づき、英国の銀行2行を空売りしている

~ ブルームバーグ ~

で、これが当ブログの記事。

世界的金融危機が迫っている可能性 ~あらゆる事態に備える必要がある~

これは投資家のみならず、あらゆる人にとって、「必読」と自信を持っている記事なのですが、アイズマン氏の見解と全く一緒ですね。私はそれを今さっき知ったばかりです。で、少々興奮気味に今書いている、という訳なんです。

 

やはり減速の企業業績

先程も書きましたが、今年の変わった特徴は、とにかくアナリストが強気なことです。彼らの強気の理由は日本株が、「割安」だと言うこと。で、この「割安」がどこから出てくるのかと言うと、予想PERと言う指標ですね。

PERとはPrice Earnings Ratioの略で、株価が1株当たり純利益(EPS:Earnings Per Share)の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度です。現在の株価が企業の利益水準に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。PERの数値は、低いほうが株価は割安と判断されます。なお、1株当たり純利益は当期の予想数値を用いるのが一般的です。

~ SMBC日興証券 ~

彼らは過去の日経平均株価が、PERの13~16倍の基準で動いていることから、13倍以下の225を絶対的な買いの理由にしているのです。でも、過去において225が13~16倍で動いた、というのは、所謂アベノミクス相場以後の長期上昇トレンドの中でのことなんですよね。

それにPERは過去の数値ですし、未来を図ろうとしたら、それも予想でしかないのです。私はずっと、こう書いていました。

「その予想はきっと間違っていますよ」と。

企業業績に減速感 4~9月期、貿易戦争の影が顕在化

拡大が続いてきた企業業績に一服感が出てきた。2018年4~9月期決算では主要企業の半数で利益が株式市場の「期待値」に届かなかった。会社計画対比でも全体の約3割が未達だ。米中貿易摩擦の影が数字に表れ始め、10月の株安の一因となった。利益水準はなお高いが、中国経済の減速感が強まる中で景気の先行きにも影響を与えそうだ

~ 日経新聞 ~

そのことが証明されつつあります。アナリスト達は、今期のEPS(一株当たりの純利益)の絶好調を信じて疑わなかったようなのですが、予測は見事に外れました。

彼らの言っていることは、元々滅茶苦茶でした。

「米中貿易戦争は出来レースだ」

「影響は大したことない」

はたまた、「日本に取っては漁夫の利だ」なんてことを言う人までいました。でも、私に言わせると、影響が大きいのは中学生でもわかる当たり前のことじゃん、です。

 

チャートは明らかな中期下落トレンドへ

今年一年のチャートを見てもらえれば、株価が中期下落トレンドを描いていることは一目瞭然です。日経平均はまだいい方ですが、TOPIXとマザーズは今年の買いは完全に失敗なのです。

日経平均株価

 

TOPIX

 

マザーズ

 

アナリストはまずは誤りを認めるべき

ですから、今年強気だった大半のアナリストはまず、誤りを認めるべきだと思います。謝罪する必要はないと思いますが、とにかく間違っていた事実は認めるべきでしょう。

偉そうに書いていますが、実は私も今年の初めは強気でした。しかし、年初の暴落を見て、唯一の弱気派だったニトリ社長に「参りました」と敗北宣言(笑)。早々に弱気に転換しました。

今思えば、これは正解だった思います。

 

今後にも当面期待はできない

①大きな爆弾が潜んでいる

②企業業績は減速へ

③下落トレンド入りが明確

以上、書いてきました3点、これらの理由により、株式相場の上昇は当面期待できないばかりか、アイズマン氏の方針の通り、「危機が訪れる」可能性もかなり高いように感じられます。年末相場はおろか、来年に向けて、相当厳しい相場になる、と言うのが、当ブログの見通しであり、現実だと思います。

私は従来、高値から20%の下落、日経平均で2万円~1万9千円辺りまでの調整を予想してきました。このくらいの下落であれば、あくまで上昇相場の調整局面に過ぎないはずだったのですが、どうもそれも怪しくなってきたように思います。

今の下げは調整を超え、長期下落トレンド入りした気配が濃厚です。私の想定よりも下落まで多くの時間がかかり、マーケットに悲観が熟成されることもありませんでしたが、これはまずい状況だと言えるでしょう。

この雰囲気では、マーケットは長期上昇トレンドに復帰することは出来ないでしょう。もう、全員が「暴落だ!」と騒ぐようにならないとやはり無理と思います。その値段はいくらでしょう? 前回は日経平均株価が、15,000円の時だったわけですが・・。

当ブログの投資方針は、残念ながら当面、「世紀の空売り」です。