2019年、欧州で何かが起こる、私は昨年、このブログでこう予言させていただきました。そして、投資方針は「世紀の空売り」だと。

元号が令和に変わり、2019年ももうすぐ半年が過ぎようとする昨今、この予言の状況が迫って来ていることをご存知でしたでしょうか?

やはりイギリスのEU離脱がヤバい

イギリスのEU離脱問題、もう昨年から散々書いたのですが、この問題、やっぱりヤバかった。3月末の時点では、あっさりと延期になり「あれ?」と拍子抜けだったのですが、事態はより深刻となって私たちの元に戻されつつあります。

英メイ首相、6月7日に党首辞任 ブレグジットめぐる「大英帝国」の混迷深まる可能性

英国のEU離脱の期日は現在は10月31日。スペインは、英国が条件などで合意しないままEUを離脱する「ハードブレクジット」はほとんど回避できないとの見方を示した。
メイ氏の有力後任候補は全員、メイ首相よりも強硬なEU離脱を望んでいるが、EU側は離脱協定の再交渉はないと表明している。
後任候補では、強硬離脱派のボリス・ジョンソン前外相が有力視されている。賭け屋では、ジョンソン氏が後任となる確率が40%、離脱支持者でEU離脱担当相を務めたドミニク・ラーブ氏が14%。マイケル・ゴーブ環境相、アンドレア・レッドサム前下院院内総務、ジェレミー・ハント外相がそれぞれ7%、ペニー・モーダント国防相とローリー・スチュワート国際開発相がそれぞれ4%、サジード・ジャビド内相が3%となっている。

ニューズウィーク 日本版

このままいけば、普通に最強硬離脱派のジョンソン氏が、首相になる可能性が高そうですね。彼はそもそものイギリスのEU離脱キャンペーンを主導した人で、イギリスのトランプと呼ばれる人物です。

2016年の国民投票でEU離脱が決定されると辞任し、一時的に表舞台から姿を消したのですが、この絶妙なタイミングで再びカムバックです。

さて、この一連の流れが示すあまりに強烈な事実にお気づきでしょうか? そもそもなぜ彼は一時的に表から姿を消したんでしょう? 彼は、「政府とEUとの協定案に真の修正を加える必要がある」なんて言ってましたし、最初から彼がやる方が自然だったと言うのは誰もが思うところかと思います。

しかし、ここには、恐ろしいからくりがあります。イギリス政治と言うのは、議会の力が非常に強いんだそうです。だから、いくらジョンソン氏が強硬にEUと対峙しても、イギリス議会に潰されてしまう可能性が高かったのです。

2016年の国民投票終了時点ではそうだったのです。

ちなみに議員たちは、そもそもEUの離脱なんてしたくない人たちです。国民が選んじゃったから、しょうがないけど、強硬離脱なんてもってのほか、と言う人たちが多数派なんです。

でも、そんな多数派は、見事に破壊されてしまいました。ネットでよくやっていると評判のメイ首相のその後の2年半の涙ぐましい努力によって、2大政党の保守党、労働党は、勢力を大幅に弱体化させられてしまったのです。

で、そこにジョンソンさんが再登場、さらに欧州議会選では、強硬離脱を辞さない「ブレグジット党」が躍進すると伝えられています。ここの党首のファラージさんも、イギリスのトランプと呼ばれているんです。

EUの盟主がヤバい

さらに、絶賛開催中の欧州議会選では、EUの盟主たちがヤバいのです。

欧州議会選、欧州が恐れる「メルケル退陣」

欧州連合(EU)に加盟する28カ国で行われる欧州議会選。26日はドイツやフランス、イタリアなどで投票が行われる。各国でどのくらい極右が台頭するかが最大の注目点だが、欧州の政界関係者がひそかに目を凝らす動きがある。ドイツでうごめく「メルケル退陣」というシナリオである。

日経新聞

さらには、NO2のフランス、マクロンも・・

仏、欧州議会選もマクロン・ルペン両陣営の一騎打ち

26日に投票が行われるフランスの欧州議会選は、欧州統合を主導するマクロン大統領、統合に反対する極右「国民連合」のルペン党首の2人の事実上の対決となった。支持率調査では今月半ばにルペン陣営がマクロン陣営に逆転し、双方は激しく首位を争っている。

産経新聞

ね、これらの事実、かなり強烈でしょ? この一連の動きを目の当たりにしてなんとも思わなかったら、ちょっと、ぼうっとしすぎでしょう。

見込みの甘いプロたち

さて、方向を少し変えて、米中関係に目を向けますと、最近、米中新冷戦と言う言葉がよく使われ、テレビニュースでもその対立の深刻さがよく伝わるようになって来ました。

米中冷戦リスク、やっと目覚めた投資家

米中貿易紛争は新たな冷戦に急速に近づいているとの懸念が投資家の間で高まっている。前線に立たされているのは高い株価をつけてきたハイテク企業だ。

ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版

そんな訳で投資家の方々もやっと気が付いたらしいです。そして、いつも参考にさせてもらっている北野先生がこんな記事を書いていました。

決算、大幅減益の深刻。日本企業を覆う米中覇権争奪戦の黒い霧

私は、「悲観論者」ではありません。しかし、起こっていることは、正確に把握しておく必要があります。普通に考えれば、「今期は6%の増益というのは難しいでしょう。この予測には、
アメリカが5月10日、中国からの2,000億ドル分の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げたこと
トランプが、残りのすべての中国からの輸入品3,000億ドル(約33兆円)相当に対する追加関税の引き上げ手続きに着手するようにと命じたこと
中国は、アメリカから輸入する年600億ドル(約6.6兆円)相当の製品に課している追加関税率を現在の10%から25%に引き上げる報復措置を発表したこと
などが、織り込まれていません。つまり、これらのファクターが起こる前に発表された2019年3月期決算は、「まだだいぶマシ」といえる。つまり、「危機は序の口。もっと悪くなる」といわざるをえない。

まぐまぐニュース

私も何度も指摘したのですが、彼らの見込みは甘すぎる。信じられないかもしれないですが、日本の一流企業のお偉いさんたちは、経済予測において、当ブログに完全敗北。その最大の敗因は、米中対立の本質をほとんど理解しておらず、事態を甘く見たからです。

最高益の安川電機、「米中貿易戦争」どこ吹く風

安川電機が12日発表した2018年2月期の連結決算は、売上高が4485億円、純利益は397億円といずれも過去最高を更新した。トランプ大統領の保護主義政策に端を発した米中貿易戦争の影響も懸念されるが、中国から米国への輸出規模は限定的。好業績に影を落とすほどの材料ではなさそうだ。

日経新聞

彼らはこの時、余裕でしたが、私は企業業績は今がピークだと、facebookページでも何度も明言しました。

安川電、2度目の業績予想下方修正 米中貿易摩擦の影響も

安川電機(6506.T)は10日、2019年2月期の業績予想を下方修正した。売上高を昨年10月10日に発表した4980億円から4820億円へと3.2%引き下げ、営業利益を前回の590億円から530億円へと10.2%引き下げた。経常利益も600億円から544億円へ9.3%下げ、当期純利益は470億円から455億円へと3.2%引き下げた。
業績予想の下方修正は、昨年10月10日の発表時以来、2回目。

中でも、設備投資抑制は「米中貿易摩擦の激化が影響した」(広報・IR部)とみている。

ロイター

そして1年後・・「とみている」って今更言われましてもねえ・・。あ、すみません、性格悪いですね(笑)。

北野先生が言う通り、2019年3月期の彼らの見込みは、悪い方に外れる可能性が極めて高いと思います。しかも、この記事では北野さんは欧州のことには触れていません。

米中貿易戦争と同じ、もしくはそれ以上のダメージを世界経済に与える一大事件が、これから起ころうとしているのです。

私はこのブログでちょっと常識では信じられないようなことを、好き勝手に書いていますし、一個人がやっていることで、もちろん、間違っていることも多々あるでしょう。

ただ、これだけは言っておきます。ここに書いてあることを甘く見ない方がいい、それが2017年以降に書いたことを読み返してみた感想です。

株の需給は悪くないが・・

現在日経平均株価は、21,000円台を割れるか、割れないかのところでうろうろしていますね。株の需給は今は特に悪くないようです。個人投資家による信用買いの残高は枯れていて、それだけに注目するならば、大きな下落はないように思えます。

しかし、とにかく今は世界情勢リスクが大きすぎるのです。特に欧州は未曽有の事態に向かっていると考えた方がいいでしょう。それこそ、巷で噂されるリーマン級となってもおかしくありません。

はっきり書くと、それはEUの崩壊です。イギリスは、自らがその先導役を果たすつもりのように見えます。そして、アメリカごとく、「イギリス・ファースト」で大復活を目論むでしょう。要は、3人、もしくはそれ以上のトランプによって、EUは破壊される、ということです。

ですから、ポンドは買い場探し、ユーロは売り場探し、がトレードとしては良さそうだと私は思いますが、いかがでしょうか。

さて、そんな私の考える欧州の大混乱ですが、いつ頃やって来るのでしょうか? こればかりは分からない、と言うほかないでしょう。

昨年、私は日経平均株価は2018年中に19,000円まで下落すると予想しました。それはすぐにでも訪れると思っていたのですが、結局、12月末まで待たねばなりませんでした。

ですから、私の空売りは信用期限切れでした(笑)。

今回の記事の題名では、一応7月と書いているものの、やはり昨年と同じく、2019年中という予測にさせていただきたいと思います。その時、株価は2018年の安値を下抜けていることでしょう。