つい先日、なかなか興味深いニュースが入ってきましたね。10日トランプ大統領が、ジョン・ボルトン大統領補佐官を解任した、と伝わりました。

この人物が辞める意味はとても大きいです。なぜなら、ボルトン氏は、16年前のイラク戦争時のネオコン(新保守主義)と呼ばれた強硬派の大物で、当時作られたアメリカ一極覇権の象徴的な人物だからです。

トランプは、この大物を首にしたことで、今後彼の戦略を大きく推進することが予測されます。彼の戦略とは、ボルトンが守ろうとしていた旧体制を破壊することです。

残酷な現実

さて、私たちは今を正確に知るために、16年前に起きた残酷な過去を直視しなければなりません。

2018年(昨年)4月、911事件に関する米政府の判断に疑問を持つ米国の弁護士たちで作る「911調査弁護士会(Lawyers’ Committee for 9/11 Inquiry)」が、911事件現場であるニューヨーク市の検察に対し、「911事件で倒壊した世界貿易センタービル(WTC)は、米政府の公式論のような、ハイジャックされた飛行機の衝突で倒壊したのでなく(ジェット燃料の燃焼温度ではビルの鉄骨が溶けない)、あらかじめビル内に仕掛けられた、ビル制御崩壊(高層ビル解体工事)用の高性能爆弾の爆発によって倒壊したと考えられるいくつもの証拠がある。倒壊現場から高性能爆弾に特有の物質が見つかっているし、当日の消防士らの証言や、WTCの倒壊を撮影した動画の分析などが証拠だ。誰が何のために高性能爆弾をWTC内部に仕掛けて爆発させて多くの人々を殺したのか、米政府がなぜ間違った結論に固執しているのか、米検察は再捜査すべきだ」という趣旨の請求書を出した。 (Lawyers’ Committee for 9/11 Inquiry) (9/11: Finally the Truth Comes Out? Jan 4, 2019

これまで何度か書いてきたように、2001年9月11日に起きた911「テロ」事件に対する米政府の公式な結論は、いくつもの点で不合理で、その不合理さの一つが、911調査弁護士会が指摘した「WTCの倒壊はどう見ても爆弾による制御崩壊」ということだ。この指摘はすでに911事件の当日、米軍系の研究所の制御崩壊の専門家であるバン・ロメロ(Van Romero。当時ニューメキシコ鉱業技術研究所副所長)がメディアに対して語っている。ロメロ氏はその後、公式論の方向に発言の訂正を余儀なくされた。911事件の多くの不合理さは、マスコミや権威ある人々(軍産傀儡)にとってタブーであり、うっかり不合理さを正直に指摘した人はロメロ氏のように上の方から強い圧力を受けて態度を変えさせられる。指摘した人が一般人の場合は「頭のおかしい陰謀論者」のレッテルを貼られる(私はこちら)。 (テロ戦争の終わり) (仕組まれた9・11【5】オクラホマ爆破事件と911

田中宇の国際ニュース解説

ここに書いてあることをどう思います? 私は本当のことだと思います。その映像を初めて見たとき、私は「あの位置に飛行機が突っ込んで、下まで木っ端みじんになるものだろうか?」と子供のような疑問を覚えました。

ただ、当時の私はまだアメリカの公式発表を信じていました。ここでも何度か書いていますが、私はジョージ・W・ブッシュの顔を始めてみたとき、「何かがおかしい」と強く感じました。率直に言うと、こんな変な男が民主主義で大統領に選ばれたと言うことが、とても信じられなかったのです。

選挙結果はどう考えてもおかしく、この政権は明らかに何かに乗っ取られている、私は無邪気にそう考えました。ただそれでも、ビルが爆破されたなんてこれっぽっちも考えなかったし、「自作自演」という噂話を初めて聞いた時も、「さすがにそれはないだろう」と思いました。

でも、今はあの映像は、爆破されたとしか見えません。つまり、洗脳が解けたのだと思います。アメリカの主張が正しいという思い込みがない限り、飛行機が突っ込んで木っ端みじんになったなどと言う話は、非科学的なオカルトです。

それでも信じると言うのならば、私からは、「あなたはアメリカに危険な恋をしているね」と言わざるを得ません。別に止めはしませんけど。

18年前のこの事件を経て、ネオコン勢が作ったアメリカの覇権体制は、イラク戦争後の終わらないアフガニスタン戦争の世界のことなんですね。

WTCは内部に仕掛けられた爆弾で崩壊したのに米国の政府や上層部(軍産マスコミ)がそれを隠している、という話が陰謀説でなく事実だとしたら、爆弾を仕掛けたのは当局筋自身だ。93年に起きたWTC爆破未遂事件が、まさにFBIがエージェントにやらせたことだったが、その手法が01年にも繰り返されたことになる。911は米諜報界の自作自演だったことになる。米国は、自作自演で911事件を起こし、それをイスラム組織のせいにして恒久的な「テロ戦争」を開始し、アフガニスタンやイラクなどに侵攻して何十万人もの無実の市民を殺した。アルカイダやISといった「敵」も、米諜報界の支援を受けてきた。米国は、史上最悪の国家犯罪組織だったことになる。 (FBIに雇われていた1993年のテロ実行犯

911事件が米諜報界の自作自演であるなら、なぜあの事件が起こされたのか。これについても私は何度か書いている。冷戦後、米上層部では諜報界の黒幕だった英国と組んで「金融覇権体制」を強化する動きになり、軍事覇権が軽視されたが、これに不満な軍産系は、米軍を中東に引っ張り込みたいイスラエルと組んで、米国を軍事覇権に引き戻す911事件を引き起こし、米国がイスラム世界を恒久敵視するテロ戦争の体制が作られた、というのが私の読みだ。

恒久の対テロ戦争、これがアメリカの軍需産業の莫大な利益になっている、これは間違いなく事実でしょう。じゃあ、その軍需産業がこの事件の黒幕なのか、と言うとそうではないと思います。軍需産業は、単なる民間企業です。単なる民間企業に、いくらなんでもこんな大それた事件を引き起こす力はないはずです。

じゃあ、誰がって言うと、ここに少し書いてありますね。「金融覇権体制」、これです。

国際関係アナリストの北野幸伯さんは、イラク戦争は「フセインが石油取引をドル建てからユーロ建てに変えてしまったため」に起きたと分析されています。

イラク戦争でフセインを倒したアメリカはその後に石油取引をドル建てに戻したのだそうです。

つまり、ドルと石油の支配者が、この事件の黒幕だと言うことです。私は、このブログを通じて何度も、アメリカ大統領の権限を上回る力を持った人たちが存在することをお伝えしてきました。

それが巨大財閥、銀行家と呼ばれる人たちであることを客観的なソースを用いて書き記してきました。

つまり、こんな大それた、とてもつもないことを引き起こせるのは、その方々しかいないのです。かつてスタンダード石油を創業、アメリカの石油の90%を牛耳ったジョン・ロックフェラーの孫の唯一の生き残りで三代目当主のデイビット・ロックフェラー。当時、世界皇帝と呼ばれたこの人物が、事件の首謀者である可能性はかなり高いでしょう。

ネオコンはその配下の政治集団ですね。

イラク戦争の本当の理由は、彼らが「金融覇権」を奪われることを恐れたから、ではないでしょうか。その後のアフガニスタン侵攻による対テロ戦争永続による軍需産業の利益は副次的で、彼らにアメを与えて協力させた程度だと私は思っています。

覇権解体の必要性

なぜトランプは、この旧体制を崩壊させなくては行けなくなったのでしょうか。正義のため? 多分違うでしょう。それは中国の台頭です。アメリカを支配する巨大財閥、銀行家たちは再び「金融覇権を奪われる」脅威に直面したのです。

2015年のこと。前出の北野先生はそれをAIIB事件と呼びます。中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立を宣言。ドル覇権体制に挑戦する姿勢を鮮明にしたのです。

世界各国はこぞって参加を表明、それ以来アメリアの対中姿勢は一変したのです。つまり、ドルの支配者たちは、とうとう中国打倒を決意したのでしょう。

バノン氏は「中国との経済戦争がすべてだ」との見方を示し、米国は「脇目も振らずそれに集中する」必要があると主張した。

CNN

トランプが覇権解体を進める理由は、対中国に集中するためです。

政治的な面について言えば、アフガニスタンとイラクでの戦争をもっといい形で終わらせることができていれば、アメリカの納税者も「アジア重視政策」への資金提供にもっと前向きだったかもしれない。

『米中もし戦わば』 ピーター・ナバロ

対テロ戦争による軍需産業への支出は、当然アメリカの税金で賄われています。完全な無駄である戦争ごっこに、これ以上資金を投入する余裕は、彼らにはないのです。

しかし、軍需産業にとって対テロ戦争の終焉は、死活問題なのです。ですから、必死にトランプの邪魔をしています。よくニュースでトランプは、エスタブリッシュメント(既得権益層)と戦っていると言う話が出てくると思うのですが、それはこの争いのことなのです。グローバリストとの戦いとも言われますが、言葉の意味こそ違えど、実体は同じようなものです。

軍需産業はグローバル企業の連合体、アメリカ政界のスポンサーとして多大な影響力を持っているのです。これらは軍産複合体と呼ばれています。

最近終了した「ロシア疑惑」という小学生レベルの嘘も、邪魔立ての一つです。

アメリカのドナルド・トランプ米大統領は7日、アフガニスタンの和平を目指し、同国の反政府武装勢力タリバンとの「秘密会談」を米国内で予定していたが、それを取り止めたと表明した。タリバンは「アメリカは多くの損害を出す」と非難している。

BBC

最近出たこれもそうでしょう。そして、金正恩と文在寅とトランプが、仲良く一緒にしたがっている「在韓米軍撤退」も同じ理由で邪魔されています。ボルトンは3月の米朝会談を露骨に邪魔しに来ましたよね。

そのボルトンがいなくなったことの意味はとても大きいです。これによりトランプ政権は平和主義になるのではなく、対中強硬姿勢がより先鋭化すると言うことです。

今のトランプ政権は、トランプ、ナバロ、ポンペオ、実質この3人で運営されていると見ていいでしょう。

たった3人でエスタブリッシュメント層を次々と解体に追い込む、なぜ彼らはそんなに強いのかと言ったら、世界最大の財閥が彼らの後ろ盾だと考える以外に合理的な答えはないのです。

え? この記事を読んだら、こんな国は中国に負けちまえ!って思ったって?・・・まあ、ただ、中国に自由はないらしいですよ・・。