6月3日、ドイツ政府は消費税の3%の減税を含む16兆円規模の追加経済策をとりまとめました。
これまで頑なに財政健全化を言ってきたドイツの方針からは、不審にすら感じられるほどの転換です。
独政府は三月末、企業支援などに七千五百億ユーロの大規模な経済対策を発表。今回の追加策で消費を喚起し、景気回復につなげる狙い。
ドイツ、16兆円規模のコロナ追加策 消費税減税へ 東京新聞
欧米至上主義の方には、ドイツはとてもよく見えるそうですが、これは私に言わせれば、ちゃんちゃらおかしな話です。だって、景気回復阻んでるの、お前らだろ?
経済を回したいの? 回したくないの?
「コロナなんて気にしないで、経済活動をばんばん、おやりなさい!」
メルケル氏はこう国民にはっぱをかけたのでしょうか? もちろんそんなことは言っていません。ドイツ政府は段階的にロックダウンを解除しているものの、厳しい制限を国民に課したままです。
つまり政府自らが、「経済を全力で回すな」と仰っているのであり、そこに大規模な景気回復策を講じるということが、完全な矛盾であるということは馬鹿でも分かります。
思い切って奮発して、高性能スピードエンジンに交換しよう! 制限速度は50キロですけど・・みたいな?
うまくない例えですけど(笑)、そんな感じです。
まあ、とにかく彼らは、全く意味の無いことをやっているわけです。しかも、財源はECBの金融緩和なんですから、所謂ヘリコプターマネーですね、これは。
そして、このコロナを大義名分にしたヘリコプターマネーは、ドイツに限らず、アメリカは元より世界的な動きになっているのです。
財政破たんはしない?
更にその傾向に拍車をかける論拠となっているのが、MMTと呼ばれるもっともらしい貨幣理論です。これが最近やけにもてはやされており、大規模財政拡張をやっても大丈夫、いや今こそやるべきだ!との声を大きくするのに一役買っているのです。
MMTはごく簡単に言うと、自国通貨で政府がいくら借金しても、インフレにならなきゃ平気平気という理論です。
以前の記事にも書いたのですが、これは私には「だからどうした?」と言う話であって、到底大騒ぎするような新理論には思えません。
信奉者たちは、まるでそれを相対性理論かのように祭っています。
「株は安い時に買って高い時に売ればいい、だから誰でも儲かる」これをすばらしい理論だと言われたらどうでしょう?
現実に、「金融緩和に効果がないなら政府債務をさらに拡大して無理矢理インフレにしろ」という、マッドサイエンティストのような主張をする学者も出てきました。私たちはいまだに、いつ日本国の財政が行き詰まり、国債が暴落し急速な円安が進むかわからない崖っぷちの狭い道をおそるおそる歩んでいるのです。
日本国破綻に備える、とってもカンタンな方法 橘玲
「インフレにならなければ」って、「いつインフレになるか?」は誰にも分からないのですから、そもそもそんな仮定の話は、まったく意味をなさないのではないでしょうか。
これについては、「国債の金利が低いことが、世界じゅうが日本国債を信任し、財政破綻など起こるはずがないことの証明だ」というひとがいますが、この議論は因果関係が正しいかどうか証明できていません。日銀総裁が財政健全化を促し、安倍政権が消費税を上げようとしているからこそ、かろうじて日本国債の信認が保たれているかもしれないからです。
どちらが正しいかは、「財政破綻なんてフェイクニュースだ。どんどん借金を膨らませて国民にお金を配りまくればいいんだ」という「反緊縮」のポピュリズム政権が登場すれば明らかになるでしょう。
今がまさにそんな状況で、信奉学者は「今は緊急事態! デフレなのに、インフレを心配するのはおかしい!」と言いますが、まったくおかしくありません。日経平均株価が16,000円だった3月に、3カ月で23,000円に戻ることを心配する必要はなかったでしょうか?
16,000円の空売り投資家は大爆死です。
つまりインフレとは理論ではなく、相場なのです。ですから、「絶対に破綻しない」とか「インフレにはならない」などと学者に分かるはずがありません。彼らに聞くくらいならば、トレーダーに聞いた方がいいです。もちろん、「いつ? どのように」と言うのは、プロのトレーダーにも分からないことですが。
しかも、このMMTの巧みなところは、悪役がきちんと用意されているところです。人はいくつになっても正義が大好きで、日本では財務省がその格好のターゲットになっています。
熱心な信奉者は一様に財務省を攻撃していますね。彼らが素晴らしい組織だなんて言いませんし、消費増税は全く必要なかったと私も思いますが、ただ日本の景気が向上しない黒幕が財務省だという話は、無理があります。支配の仕組みから言って、日本を潰そうとするのは必ず外国の勢力なのです。
本当の新貨幣理論
MMTは偽の経済理論、私はこう結論付けています。では本物の経済理論はどこにあるのかと言うと、日本にちゃんとあるんですね。これが以前も記事にした山口薫氏の『公共貨幣』です。これは「中央銀行制度の不備」にまで切り込んだ世界で唯一の本物の経済学書と言ってもいいでしょう。
すなわち、ODECの18ヵ国のほとんどは、日米同様に「借金地獄」に陥っていると結論出来る。
この債務増大の流れは止めようがない。これは明らかに現在の金融システムが崩壊する直前である。現在の債務貨幣システムは、システム崩壊に向かってまっしぐらに向かって進んでいる。ここら辺のことを私たちはどれだけ敏感に理解しているのだろうか。
『公共貨幣」 山口薫
山口薫氏は、現在の利子付き貨幣(債務貨幣)が作り出す経済体制は、最終的には必ず破綻に行きつくシステムであると言います。
すなわち、現行の債務貨幣システムはいずれ金融メルトダウン、ハイパーインフレ、及びデフォルトといいう3つの袋小路にいずれかに追い込まれるのは必至である。金融メルトダウンが先か、ハイパーインフレが先か、またはデフォルトが先かと言ったことはわからない。
コロナとMMTが目指すもの
さて、もう分かってきましたね。現在の債務貨幣システムを支配するのは、政府ではありませんよね。民間の華麗なる銀行家です。
わずか3年足らずで、米政府の債務総額以上のお金が、米準備制度と言う民間会社によって密かに創りだされ、金融危機に陥っていた銀行に緊急融資されていた。しかも、もしこの会計検査院の検査がなければ、米国民は永遠にこの事実を知らせれないままであった。
次に驚かされたのが、米国の中央銀行である米連銀が、自国の銀行だけではなく、ヨーロッパの銀行をも救済しているという事実である。
MMTはこれらの事実を完全にスルーしています。すなわち、MMTは華麗なる銀行家たちが、彼らのために作った疑いが濃厚なのです。
無制限の財政拡張をしてもよいと言う理論が登場し、その後、コロナで実行の大義名分が与えられました。コロナも華麗なる銀行家が作った可能性はとても高い。
コロナとMMTが目指すもの、それは世界的な債務危機だと言う予測は妥当であると判断できるでしょう。
ジャーナリストの船瀬俊介氏は、支配勢力はコロナで発生した経済危機によって、米ドルの借金を踏み倒し、清算する計画であると言及しています。
私は以前、日銀による異次元の金融緩和は破綻が不可避であり、インフレと超円安がやって来る可能性が高いとの記事を書いています。
しかし、今の世界的な情勢を見ると、これは順序が逆になるような気がしてきました。つまり、世界的な破綻が先に起こり、超円高となる可能性の方が高くなってきたように見受けられます。
山口薫氏は破綻は必至と言いますが、ではそれが本当に訪れたときに逃れる手立てはあるかと言うと、これは、はっきり言って、ないと思います。
「金」が安全とか言われますけど、意味ないでしょうね。「金」なんて何の役にもたたない金属片に本質的な価値があるはずありません。金に価値があると言う話は、単なるデマだと私は思います。
では、私たちは甘んじて銀行家たちの暴力的なシナリオを受け入れるしかないのでしょうか。しかし、そうとも限りません。最近彼らの計画は失敗に終わることも増えてきたようです。
それに、前回の記事に書いたように、このような危機を敏感に察した米国の若者たちは、すでに戦いを開始しています。残念ながら、その点で日本はかなり遅れていますが、山口氏の『公共貨幣』理論は、私たちの経済的救世主となり得るものです。
多くの国民が現在の経済システムの悪しき姿を見抜き、本物を求めることが出来たとき、私たちはきっと勝利を得ることでしょう。
したがって、公共貨幣システムへの以降で持続可能な社会が実現されれば、100%の現代世代が幸せになれるだけでなく、将来世代も幸せになれる。そこで将来世代をここでは象徴的に捉えて20%とした。すなわち、これから近未来にかけて生まれてくる20%の将来世代がまた幸せになれるというように、幸せな未来が継承されてゆくと考えた。そうしてまずは最初の近未来世代20%に借金を残さずに、きれいな地球環境を残すようにする。そうすれば、現在世代の100%を包み込み、120%のみんなが幸せになれる。