以前から書いて来た通り、日経平均株価は2月16日につけた30,714.52円で既に天井を付けた可能性が高いのではないでしょうか。そう考えられる根拠は、狂気の金融緩和の終了が見えたからです。

長期国債は2016年夏に天井

当ブログでは、2015年末のFRBの利上げ開始、2016年のECBによる金融緩和が限界を迎えたことにより、2016年に債権バブルの崩壊が起きたとお伝えしてきました。

国債テクニカルチャート 楽天証券

こちらは日本、米国、ドイツ10年債のチャートです。こちらをご覧いただければ、国債利回りの底打ち(価格の天井)は、ドイツと日本で2016年の夏に起きていることが分かります。米国がちょっと違う動きを見せているのは、トランプ政権の影響でしょう。

「もうこれ以上、金融緩和は拡大できないよ」

世界の中央銀行の限界値が見えたのが、その頃だったのですね。

総裁はフランクフルトでの講演で「われわれの評価はいずれ、インフレ率が目標に向けて調整を続けていくかどうかに依存することになるだろう」と言明。「つまり、金融緩和を縮小しても、インフレ率2%に向けた収れんが継続できるかということだ。言い換えれば、物価上昇の原動力は自律的である必要がある」と述べた。

ECB、緩和縮小後もインフレ回復が継続するか注視=ドラギ総裁 ロイター

2016年11月、当時のドラギ総裁はそれまで噂に過ぎなかったECB限界説をほとんど認めるような発言をしました。「我々は十分やった。後のことは知らんよ」という意味ですね、これは。

これに投資家はショックを受けたのです。なぜなら、彼らは中央銀行が自分が買った価格よりも高く買ってくれるという約束の下に債券投資を続けてきたからです。

しかも、「伝説の」ドラギ総裁にフラレたのですから、その失望は一塩だったはずです。

2021年6月

そして、2021年6月、同じような、いやそれ以上のことが起こりました。

「最大の驚きはFRBが23年に2回の利上げを見込んでいたことだ」(ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのウィン・シン氏)。

米市場、早期利上げ織り込む 「22年後半」FRBより早く 日本経済新聞

私に言わせれば、驚きでも何でもないんですが、投資家は確かに驚いたようですが、その割には株式市場の動きはおとなしかったようです。しかし、それはかえって不気味です。

16日はFRBの金利見通しが前倒しされたため、金利が急上昇した。だが、金利の水準は3月に付けた1.77%を下回っている。

現在、金利は下がってしまっているのです。つまり、これから騰がる余地があるということです。

それにしてもなぜ、FRBは突如方針を転換したのでしょうか。それは単純な話でインフレがごまかせなくなってきたからです。

足元のインフレの加速は一時的だとするパウエル議長も「経済再開は前例のないもので、インフレが予想以上に高くなり持続する可能性もある」と認める。

なりますよ、当然ね。私は1年前からずっと書いてきました。インフレになるのは当たり前である、と。

インフレの理由

今後はアメリカ以外も物価が急速に上昇し、インフレという世界が戻ってくるのだろうか? 

私には、よくわからない。しかし、誰にもわからない、ということだけは私にはわかっている。

なぜか?

それは、インフレがどうやって起きるのか、21世紀の時点では誰にもわかっていないからだ。

日本でも今後「ひどいインフレ」がやって来るのか そもそもインフレはどうやったら起きるのか? 東洋経済オンライン

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こうやったら、必ずなるんですよ。世界中で空から札をばら撒いてんでしょ? そらからルイ・ヴィトンのバックが降ってきたら、どうなります? 明日から1円ですよね? ただ、それだけのこと、考える必要なんてありません。

だが、明らかなのは金融政策ではインフレは起こせない、ということが示されたことだ。

これは間違いですね。インフレは起きてましたよ。普通に、物価上がってんじゃないですかね。日銀がインフレじゃないって言い張ってるだけですよ。これまで書いて来たステルス値上げや携帯電話の値下げは、そのカラクリの最たるものです。

インフレはどうしたら起こるのか。物価はどうしたら上がるのか。その方法はただひとつ。値上げすることである。

その通りで、インフレなんて、実に簡単に起こせますよ。政府が「値上げしてください」と言えば、良いだけなんですから。でもなぜか、政府はスマホ料金を一生懸命下げました。インフレで経済がよくなるんでしょ? だったら、スマホ料金をもっと高くしなきゃダメですよね? 本当に不思議な人たちだ。

株式市場も同時終了の可能性

そして、今回は債券と同時に株式市場のバブルもすでに終了した可能性を感じています。景気という意味では、2018年の夏ころにはすでにリセッションに突入する形になっていました。それがコロナ騒動でさらに悪化し、その後の大量のバラマキで、見た目だけ好況であるかのようになっているのが、今です。

もはや完全にそれだけなので、その金融緩和が終了してしまえば、株式を買う理由がなくなってしまいます。実態が余りになさすぎるのです。

そして、株高の終わり、株安の始まりは、経験的には「最後の利上げ」または「最初の利下げ」で起こってきた。以上のように見ると、テーパリングといった金融緩和見直しは、株式市場などにおいて警戒されるものの、それに伴う株安は、経験的には一時的にとどまる可能性が高い。

ただ、これはあくまで経験則。テーパリングという、ある意味では「最初の利上げ」が、過去の経験にない株安への転換をもたらした場合、結果的に政策金利がなお歴史的な低水準のままに「最後の利上げ」となってしまうと、株安への対抗手段としての金融緩和の余地が限られることになる。

FOMCの為替・株への影響を考える 「吉田恒の為替デイリー」 マネクリ

だから、私は後者になるのではないか、と見ています。なぜなら、先程も書いた通り、買われていた理由が「狂気のバラマキ」でしかないからです。それしかないのですから、それがなくなると分かった瞬間に終わり、ということになるのではないかと。

金の価値は本物か?

もし、そんな予想が万が一当たってしまった場合はどうしたらいいのでしょうか。よく危機には金を持つのがいいと言われますが、私は懐疑的です。

ニューヨーク(CNN Business) 米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、予想より早い時期に利上げを実施する見通しを示し、市場を驚かせた。特に金投資家の失望は大きかった。

金価格は16日に4%下落し、17日も続落。5月上旬以来、初めて1オンス=1800ドル(約19万8000円)を割り込んだ。

輝き薄れる金、1800ドル割り込む FRBの早期利上げ示唆で CNN

もし、本当の危機がやってきたら、あんなもの何の役にも立たないですし、道に落ちていても誰も拾わないでしょう。

金の価値は嘘だと思うのです。

本当の危機に本当の価値をもつものは、食料だと私は思いますね。危機の備えとして、タンスに置いておくなら、金より缶詰の方がいいんじゃないでしょうか?

中央銀行は狂気の世界へ

そして、もう中央銀行とやらに期待するのは、止めた方がいいです。

そして今回、日銀は気候変動対応投融資をバックファイナンスする新たな資金供給制度を導入することも決めた。7月会合で骨子を公表し、年内をめどに実施するそうである。

 4月22日から23日にかけて気候変動サミットが開催されたが、日本政府は温暖化ガスの排出量を2030年度までに2013年度比で46%削減すると表明しており、日銀もそれを支援する格好となる。

 FRBは地球温暖化が金融システムに突き付ける危険について、その特定と対応のための「金融安定気候委員会」を新設。「金融システムへの気候変動関連リスクを評価して、それに対処するプログラムを開発・実行」するのが同委設置の趣旨だとブレイナード理事は説明していた。

日銀金融政策決定会合で異例の棄権、日銀は気候変動問題にも関与 YAHOO!ニュース

彼らは、完全に狂気の世界に落ち込んでしまったからです。私たちはもう、はっきりと表明するべきでしょう。お前たちは、もうこの世の中に必要ない、と。

私たちに残された選択肢は、危機から生き残る準備をするだけだろうか? 私はそうは思わない。アメリカ各地で、国民の地響きのような怒りの声が上がり始めている。この怒りを活かし、前向きで建設的な形に変えられれば、私たちの想像を超えた素晴らしい結果を得ることができるだろう。悲劇的な混乱を私たちは押し付けられたが、今はそれに絶望するときではない。いきり立つときである。

『連邦準備銀行を廃止せよ』 ロン・ポール