なかなか刺激的なニュースが入ってきましたね。

猛暑で電力不足に直面する日本が、石油・天然ガス開発事業「サハリン2」を巡るロシアの新たな方針に揺さぶられている。権益を維持するには改めてロシアに申請する必要があり、ウクライナ情勢を巡って西側諸国が結束する中、冬に一段と電力切迫する恐れがある日本にとっては踏み絵となりかねない。

焦点:サハリン2でロシアが揺さぶり、電力逼迫の日本に踏み絵 ロイター

おお! なんてこったい! プーチン、ついに煮え切れない態度の日本にキレたのか!? いや、ひょっとすると、ひょっとする。これはもしかすると、プーチンからの、中田英寿ばりのキラーパスかもしれませんよ。

ターゲットは日本

「サハリン2」を巡るプーチン氏の大統領令はこのタイミングで発せられた。北方領土問題で長年にわたりロシアの顔色をうかがい、エネルギー自給率が11%と低い日本はプーチン氏から見ればソフトターゲットである。資源国オーストラリアのエネルギー自給率は346%、ニュージーランド74%。韓国は19%で日本より高い。日本を揺さぶっているのは明らかだ。

国内総生産(GDP)の257%にのぼる膨大な政府債務残高を抱え、円安が急激に進む日本はウクライナ戦争で「最大の敗者」になる恐れがある。

サハリン2の権益を失うか…弱い立場の日本はウクライナ戦争「最大の敗者」に? NEWSWEEK 日本版

今回のプーチンの一手が、日本をターゲットにしたものであることは明らかです。しかし、なんのために今、このしたたかな男は動いたのでしょうか?

ロシアの優勢と米国側の劣勢が拡大する一方になりそうな今後、ロシアは今までの慎重な姿勢をやめて、ロシアが日独などへの石油ガス資源類を使った嫌がらせ・加圧を増加し、日独がどこまで対米従属を続けて自滅していくものなのか、どこかで対米従属を離れてロシアと和解して非米側に足を突っ込んでくれるものなのか、見定めようとしている。

「日米欧の負けが込むロシア敵視」 『田中宇の国際ニュース解説』

唯一無二の国際政治解説者である田中宇氏は、こう言います。しかし、どうも今回、この説明に納得できなかったのですね。ですので生意気にも自ら考えてみたんです。で、ある仮説に行きついたので、臨時で記事にしてみたという訳です。

でも、私が考える結論は、田中氏の記事に書かれているんですね。

陰謀返し

それがこれ。

だが、あらためて確認するまでもなく、プーチンは、日本政府がこれまでのように米国やG7と調子を合わせてロシア敵視の発言を続けていたら、1か月後もしくはもう少し先に、サハリン2の日本勢の利権を剥奪し、日本をガス不足に陥れる。ガスがすぐに止まるわけではないが、このままだといずれ止まる。日本政府は、これまでよりもロシア敵視のトーンを下げ、裏でプーチンと交渉してガスの流れを維持するしかない(安倍晋三の訪露とか)。

これがプーチンの、いやプーチンと安倍、いや日本とロシアの「共同陰謀」です。

これまでよりもロシア敵視のトーンを下げ、裏でプーチンと交渉してガスの流れを維持するしかない

日本がロシアと仲良くせざるを得ない状況が出来ましたね。しかし、私たちは、とっても嫉妬深い恋人と遠距離恋愛中であることを忘れてはいけません。

日本の岸田総理も軍事費の増額と反撃能力の保有を日米首脳会談でバイデン大統領に約束したという。なぜ記者会見を開いて国民に説明する前に米国大統領に言うのか理解できないが、それが日本という国なのだろう。

理想主義は戦争を引き起こし現実主義が戦争を終わらせる Yahoo!ニュース

昨今の日本の軍拡が、ロシア敵視を大義名分にしていることを否定する人はいないでしょう。そして、これを大いにやらせたい諜報勢力がいることは、もう何度も書いて来ました。

アメリカ国防総省系のシンクタンク「​RANDコーポレーション​」は今年、アメリカのGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する戦略について分析している。

 インド・太平洋地域でそうしたミサイルの配備はオーストラリアも嫌がっているようで、結局、ミサイル配備を容認する国は日本しかないという結論に達したようだ。

その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備に協力するという案をRANDは提示している。

日本が従う米国は露国や中国と戦争状態にあり、サハリン2の問題は序の口 「櫻井ジャーナル」

国防総省系のシンクタンク、実に分かり安い。もちろん、情報通のプーチンがそれを知らないはずがないのです。そして、日本の敵視が本物ではなく、演技であることも当然分かっていると思うのですね。

日本はウクライナに兵器を送っておらず、岸田首相らが対米追随の一環として、くちでロシアを敵視・非難してきただけなので、今後の露敵視の演技の抑制が比較的やりやすい。ロシア敵視をやめるには米英から非難されることを覚悟して腹をくくる必要があり、それを考えると日本には無理かな?、とも思うが、国民にガスなしの生活を強いるのと、どっちを選ぶんだという戦後初の決定的な選択肢なので、自民党と官僚機構は腹をくくらざるを得なくなっていく。

「日米欧の負けが込むロシア敵視」 『田中宇の国際ニュース解説』

プーチンは日本が敵視を弱めるための「口実」をくれたんですよ。もちろん、日本のためではありません。ロシアの安全保障のためにです。タイミングとしては、絶妙です。

岸田総理が所属する「宏池会」という派閥は、「軽武装・経済重視」の路線で日本の高度経済成長の基盤を作った。軍事に力を入れないことで経済に力を集中させ、しかも巧妙に米国を騙す政治だった。

理想主義は戦争を引き起こし現実主義が戦争を終わらせる Yahoo!ニュース

つまりこれは「ロンドン」を煙に巻く、いや出し抜く日本とロシアのコラボレーション作戦の可能性があるというのが私の説です。

ついさっきまで「ロシアはけしからん! プーチンをこらしめてやるべきだ!」と息巻いてたんですけど、見事にガス抜きされちゃいましたわ。

御後がよろしい様で・・。