岸田首相が総裁選に再出馬しないことを表明しました。これはいいニュースではないと思いますが、格別悪いニュースということでもないでしょう。彼が、最高の適任者であるという当ブログの評価は変わりませんが、日本政界は次の局面に備えているはずです。
「日本は、世界で一番安全な国だよ」
子供の頃、親にそう教えられましたが、それは今なお間違いのないことだと確信しています。そして、それは間違いなく彼らのおかげです。
「信者」が日本を壊す
政治家が日本を破壊していると考えている人が多いようですが、これは全くの勘違いでしょう。代わりに誰が、日本を破壊しているかと言えば、それは「信者」です。何の信者かと言えば、「正義」の信者です。
あなたの会社にもいませんか? 正論ばっか言ってて、全然実利を取らない(取れない)奴。そういうのは、大抵評価は高いんですね。なぜなら、上にとっては、都合がいいからです。
責任というのは怖いもので、下手をすると致命的なダメージを被ります。岸田首相はまさにこの「責任」のために辞めざるを得なくなりました。ただ、彼は「責任者」であるだけで、彼の意思の通りに動いたなんてことは微塵もないはずです。
代わりに誰が社会を動かしているかと言うと、「専門家」なんですね。
私が最も違和感を覚えるのは、感染拡大のさ中、「専門家」と称する人たちが、何ら疑問を抱かれることなく、政治の前面に出てくるようになったことです。
「政治家は明言を避け、決めるのは専門家」日本の政治はナチス化している PRESIDENT ONLINE
「専門家」は口を出すだけ出して、責任がまったくない存在。この状況が如何にまずいかは大人ならば、すぐに分かることでしょう。
私は、いたずらに危機を煽っているつもりはありません。実は専門家の重用というのは、ファシズムやスターリニズムの特徴でもあるのです。ナチス・ドイツは、専門家を最大限利用して、政策を遂行しました。
その「方法」は、ナチスで使われていたものだということをするまでもなく、それはヤバいのです。そして、最近でもそれを象徴する出来事があったようです。
利上げ志向は植田総裁個人の意見であるはずもなく、内田副総裁を含めた日銀全体に金融引き締めを急ぐ本能があったと言わざるを得ない。
「岸田・植田ショック」から1週間、日銀の〝真の権力者〟が判明 金融引き締めのDNAは健在か 日銀プロパー内田副総裁が「火消し発言」 ZAKZAK
前回の記事で、日銀の早期の利上げ論に制限をかけるべく、G7に働きかけを行っていた黒田前総裁の話をご紹介しましたが、現在の日銀内でも政治家と専門家の暗闘が行われていることを示しています。
日銀政策委員会とは?参加メンバー9名の詳細を詳しく解説
DANDA証券
日銀政策委員は「専門家」で固められています。彼らはいったい、どこから政策決定の意思を持ってくるのでしょうか? 私は「専門家」こそが悪魔の手先だ! とか言っているのではありません。
彼らは、まず間違いなく経済学の「信者」であると言っているだけです。ここまでくれば、政治家が、彼らの「正論」と戦うために、如何に苦労しているかが分かるはずですし、この構図はコロナ渦と全く同じで、世の中は、そもそも、そういう仕組みになっているのです。
信仰の本場
さて、日本がどのように破壊されていく構図について書きましたが、それでも日本は世界に比べてだいぶ良い方です。おそらく「専門家」もおとなしい方なんだと思いますし、「信者」の大衆もおとなしいです。それはそもそも、信仰の度合いが薄いということでしょう。
それに比べて欧米英は・・
イギリス 偽情報に端を発した暴動が全国に拡大 約380人逮捕
NHK
さすがイギリスは、世界の最先端を走っています。
トランプはアメリカを滅ぼすからこそ英雄なのです。
国の正当性が破綻をきたし、絶望した人々が大勢いるからこそ支持される。
トランプはアメリカを滅ぼすからこそ「英雄」だ 東洋経済オンライン
米国ではハリスが巻き返しを図り、トランプ陣営を追い込んでいると伝えられていますが、それは争いの種になるだけです。トランプ陣営の目的は、選挙に勝つことではありません。この記事の通り、トランプはアメリカを滅ぼすからこそ英雄なのです。
トランプ前大統領
トランプ前大統領、ハリス候補の選出は「クーデターだ」と批判 マスク氏との対談で 日テレニュース
「彼女は無能だ。バイデンと同じくらいひどい。この詐欺が始まって以来、彼女は一度もインタビューを受けていない。これはクーデターだ。アメリカ大統領に対するクーデターだ」
まあ、最初からだいたいそんなこったろう、とは思っていましたよ。これは、2020年に起きたクーデターの第Ⅱ幕なのです。
「Peril(危機)」によると、大統領選後、トランプ氏がマーク・エスパー(Mark Esper)国防長官を解任した際、米中央情報局(CIA)のジーナ・ハスペル(Gina Haspel)長官(当時)はマーク・ミリー(Mark Milley)統合参謀本部議長に電話をかけ、こう話したという。「右派によるクーデターが起きそう。何もかも常軌を逸している」
1月6日が迫り、ミリー氏は軍幹部に対し、ドイツの国会議事堂(Reichstag)で起きたことについて言及し、注意を促した。ナチス・ドイツ(Nazi)が支配を強める契機となった1933年の議事堂火災だ。
米議事堂襲撃:内幕本が明かすトランプ政権最後の日々 AFP
それが、単なる茶番に過ぎないとは思えません。人々の決死の努力によって、第Ⅰ幕は失敗に終わったと見るべきでしょう。
「何もかも常軌を逸している」トランプ氏は、「専門家」を支配者と見なし、嫌っていたようです。
もっとも、トランプ政権が誕生して以来、ワシントン・シンンクタンクの回転ドア”が円滑に回転しなくなった。
トランプ政権は、ワシントンのシンクタンクを〝支配階層〟側と見なし、ヘリテージ財団など一部の例外を別とすれば、シンクタンクの研究員を政権幹部とし積極的に引き抜くことを拒んだ。
『シンクタンクとは何か-政策起業力の時代』 船橋洋一
どうやら、トランプ政権は「専門家」以上の力に支持された、既存外の勢力ということになりますね。
過去と現在の政治の支配者
それは取りあえずおいておいて、シンクタンクなる専門家集団が、現代の政治に対し、支配的な影響力もっていることが確認できました。
では、過去においてはどうなのでしょう?
少し話は飛びますが、ここ最近の記事で所謂「シャーマン」が政治を支配していた可能性について取り上げさせていただきました。
「PPNA期に社会および環境に大きな変化が起き、見えない力と交信できるという人々の重要性が増したのかもしれません」と、英国レディング大学の考古学者で今回の研究には参加していないスティーブ・ミズン氏は話す。
「人々は定住化や作物栽培、牧畜など、新しい生活様式や新しい技術を試していました」とミズン氏は説明する。「不安や不確実性が高まり、シャーマニズム的行為への傾倒を強めていったと考えられます」
初期の社会の発展において儀式信仰が重要な役割を果たした、というのが考古学者の現在の考えだ。
最古級の「シャーマン」か、1万2000年前の女性、トルコで発見
農耕が始まる少し前、人類の社会の重大な過渡期に活躍? 最新研究 ナショナルジオグラフィック
私もその通りかと思います。そして、彼らは「ブツ」を利用して、人々に魔法を見せて、支配を強めていた可能性をお伝えしましたが・・
アトロピンとスコポラミンには幻覚作用があり、錯乱状態や知覚の変化を引き起こす。研究では、シャーマンによる儀式の際に、現実世界と霊界をつなぐため、意図的に摂取された可能性があるとしている。
3000年前の欧州でシャーマンが幻覚剤を駆使していた? 研究
先史時代の欧州人の毛髪から初の直接的な証拠を発見、スペイン ナショナルジオグラフィック
まあ、やっぱりね・・。そんでもって、こちら・・
「シャーマン」という存在について、霊的な存在とやりとりして使役する姿や祈りの踊りをする姿など、なんとなく魔術的なイメージを思い浮かべるものの、詳しくはよく知らないという人も多いはず。そんな超自然的な力を操るシャーマンが人類社会において初めての「知的職業階級(professional class)」だと言えると研究により指摘されています。
超人的な能力を持つ「シャーマン」は人類史上最初の「専門家」だったという研究 GIGAZINE
ああ、なんてこった・・過去において「シャーマン」は魔術師ではなく、科学者(専門家)だったのです。人は変わらんなあ・・
それにしても、いったい誰が、魔法と科学を創ったんでしょうね。
メノルカ島にあるエス・カリッチ洞窟の内部。ここから、3000年前の人間の毛髪を染めたものを入れた容器が見つかった。はるか昔にどのように薬物が使われていたのかを示す貴重な証拠だ。
儀式はこのような洞窟で行われていたみたいなのですが、その中に隠された「筒」があり、毛髪が保存されていたとのことです。
研究者たちがなかでも驚いたのは、意図的に「隠された」10個の筒から見つかった毛髪の状態のよさだった。
で、「シャーマン」の正体が誰かについて思いを巡らせてみたところ・・
知能が低く、動物同然だと長年考えられてきた旧人類のネアンデルタール人だが、17万6500年前には儀式目的とみられる複雑な地下構造物を、火明かりの中で建造していたとの研究論文が25日、発表された。現生人類の絶滅した近縁種であるネアンデルタール人の、より知的な一面を垣間見る研究結果だ。
初期ネアンデルタール人、複雑な地下構造物を建造 研究 AFP
せんぱ~い!
石筍の断片の中からは、火の痕跡と焦げた骨のかけらも見つかっている。
(中略)
1992年に最初に発見され、最近に再調査が行われたこの石筍建造物の機能については、まだ推測の域を出るものではない。
初期人類が使用した洞窟の他の事例に基づくと、この石筍建造物が象徴的または儀礼的な目的で使われていたことは「推測可能」と、論文の執筆者らは指摘する。
太古と現代の共通項
さて、話が大きくなりすぎてしまったので、舞台を日本に戻し、太古の政治体制を確認してみます。すると、とっても面白いことが分かりました。
卑弥呼の行った「鬼道」とはシャーマニズムのことであろうと推測されており、未開社会においては王がシャーマンの役割を兼務していた可能性もあるが身分制が確立してくるとシャーマンと祭司は分化し、祭司は上層に、シャーマンは下層になることが多い。また部族社会では祭司の家系は部族の創始者、すなわち世界=社会の創造者に由来し、祭司=王であることも多いという。
琉球研究の泰斗・鳥越憲三郎氏は卑弥呼と男弟の統治形態を見て卑弥呼の統治形態を琉球国の聞耳大君と琉球国王のような祭政二重主権の統治形態であると判断した。これを見た漢人がその独特な統治形態を理解できずに「女王国」だと報告したのだという。
「卑弥呼」 ウィキペディア
なんと、太古から日本の政治は「祭祀王」(天皇)と「シャーマン」(専門家)の二重統治、暗闘政治だったのです! ホントにまったく変わらんなあ~!
まとめ
そういうわけでそろそろ、纏めです。最初は、この記事は岸田首相にエールを送るだけの短い記事にしようと思っていたんです。だけど、読み返してみたらつまらん!となりまして、結局こんな内容になってしまいました。
結果的に皆様にご満足いただける記事になったかどうかは分かりませんが、誠に残念ながら、現実として世界の歴史は、崩壊のフェーズに入っていることは間違いがありません。後はどこまでやれるか? やるか? と言いう話でしょう。
そんな中での「緊迫の1年」を、可能な限りの安全保障に努めた岸田首相には、当ブログとして感謝の念を示したいと思います。なにより、殺されなくてよかったです。そして、後任者が誰になろうと、欧米に比べて相対的に有利な状況は続くでしょう。なぜなら、日本政界に「信者」は、もうそんなにいないのですから。
最後の最後に念のため、断りさせていただきますが、当ブログは自民党政権が、実は正義だとか言っている訳ではありません。最大の問題は「バランス」なのです。バランスがおかしくなることによって、秩序が崩壊することを一番に恐れるべきです。
現代の「祭祀王」VS「シャーマン」の暗闘は、「シャーマン」の力が強くなりすぎているように私には思えます。ですから正義ではなく、常に弱い方につけばいいのですよ。ですので、次期首相がだれになろうと、今のところ当ブログは、次期政権を支持していきます。
というわけで、副題の「なにを支持すべきか」の答えは「バランス」になります。バランスを支えろとうことです。うまいでしょ?