だから「株なんて買わない方がいいよ」って言ったでしょ? 今年中にこれを言える日が来ることを楽しみにしていましたが笑、その到来を私自身が疑い始めたのが、7月第二週。日経平均株価が42,000円まで駆け上がった時でした。しかし思い出したのです。前回のコロナショックが来たのは、まさにそんなタイミングだったなあと。
すると、7月SQ直後から株価は下降を開始し、225先物は昨日の夜間で34,500円をつけ、わずか3週間で7,000円超の大暴落となったのです。
とうとう、マーケットの世界にも「大逆転劇」がやってきたように感じさせますね。
米経済コケちゃいました
値動きではなく、政治的なシナリオはこの記事に書いた通りでドンピシャだと思います。
この中で、取り上げたこれ。
◆「5回のジンクス」70年代以降の日米欧の政策連動
(1)1970年代以降、日米欧の中央銀行の政策金利引き上げサイクルは一致
「6回目のジンクス」に向かう世界経済 ダイヤモンドオンライン
(2)以上の連動サイクルで日銀は日米欧の中央銀行で常に最後の利上げ
(3)日銀の利上げの翌年は全て世界同時減速
(4)同時に、世界的な金融市場の変動が生じ、新興国問題も生じる
(5)以上の5局面はすべて原油価格の高騰期と一致
まさに、このシナリオ通りで動いてますね!
そして、FRBの毎度お約束の鉄板ギャグ「コケちゃいました」が飛び出す可能性は頗る高まってきました。
7月の米雇用統計では、雇用者数の伸びが市場の予想以上に減速。失業率はほぼ3年ぶりの水準に上昇した。労働市場が従来の想定よりも速いペースで悪化していることが示唆され、9月利下げへの道筋がほぼ確実となった。
非農業部門雇用者数の伸びは過去2カ月分、下方修正された。
米失業率またも上昇、雇用者数は予想以上に減速-9月利下げ固まる ブルームバーグ
もうずっと書いているけどね、本当に当たり前の話でしかないので、こんなことも予測できない専門家は、まったく存在価値がないのです。彼らに悪気はないのは分かっています。彼らはただの信者なのですから。
今更利上げのカラクリ
さて、日銀が先日利上げに動きましたが、こちらに関してまともな解説は一つもないので、改めて詳しく書きたいと思います。
まず、何故このタイミングで日銀が利上げに動いたのかと言えば、FRBが9月に利下げに動くことが分かっていたからです。植田総裁の態度がなぜ突然タカ派化し、「これからドンドン利上げします」などと言ったのかと言えば、それをする必然性がこれから無くなることが分かっていたからです。
日銀と政府は、利上げ圧力への抵抗を最大のミッションとしていることを理解すればすべて分かります。なぜ、政府と日銀が利上げをしたくないかと言えば、この記事を読めば簡単にわかるでしょう。
米金融当局が政策金利を20年余りぶりの高い水準に引き上げてから1年がたち、過熱した米国経済を若干抑制することに成功した。ただ、利上げは幾つかの予想外の影響ももたらしている。
高所得世帯は株式市場の活況や住宅価値の上昇による恩恵を享受している。企業は急ピッチで借り入れし、消費者は支出を続けている。
しかし、その一方で、1年間に及ぶ高金利はついに打撃を及ぼし始めている。米国人の求職期間は長期化し、失業率は上昇している。中小企業は高金利の融資から痛手を受けている。比較的低所得の世帯では、自動車ローンやクレジットカードの延滞が増えている。
FRBの1年間の高金利政策が米経済に及ぼした影響-グラフで検証 ブルームバーグ
これが予想外の事態だと言うのだから、恐ろしいことです。日本政府と日銀が金利を上げたくないことは、誰でも理解できて当然の話なのです。じゃあ、いったい誰が政府と日銀に利上げプレッシャーをかけていると言うのでしょうか。中央銀行の支配者ロスチャイルド?
経済同友会の代表幹事を務めるサントリーホールディングス(HD)の新浪剛史社長は、マイナス金利の解除を「今後の金融市場の正常化に向けた新たな一歩」だと評価した。日本経済団体連合会(経団連)の十倉雅和会長も、市場の反応を見ても「いい時期に良い判断だった」と都内で記者団に語った。
17年ぶり利上げを経済界も評価、好循環の鍵は賃上げ継続 ブルームバーグ
正味な話、その正体は「経済界」ですね。それは世論であり、すなわち「私たち」と言うことになります。円安を止めるために利上げをしろって、世間は言ってましたよね?
日銀総裁は岸田総理からの要請でウソをついてまで「利上げ」を敢行した…そう考えざるを得ないこれだけの理由
現代ビジネス
それを岸田首相一人のせいにして、悪魔化する低レベルの記事。ほんとうに幼稚で下らない。政府と日銀は、強信者の専門家とそのぶら下がり世論からなる圧力を交わす知恵を施してきたのです。
少し古い話から始める。1999年9月のG7(先進7ヶ国財務相会議)共同声明では、「日本の円高懸念を共有する」との言及が盛り込まれた。当時、このように特定の通貨について言及するのは異例とされたが、それに大きく関わったと見られたのが、共同声明作成に影響力の大きいG7財務相代理、当時の黒田財務官だった。この「円高懸念」への言及は、結果として日銀の金融政策への「制約」になった可能性があった。
日銀は1999年1月、当時先進国史上初のゼロ金利政策を決定、この「円高懸念」が共有された1999年9月のG7声明が出た頃もそれを継続していた。ただ日銀内部には、FRB(米連邦準備制度理事会)が、既にこの年の夏から利上げに転換したことなどから、日銀としても金融政策の転換、要するにゼロ金利解除を急ぐべきとの考えがあった。それはこの「円高懸念の共有」声明で事実上不可能となっただろう。
黒田日銀総裁と22年前の「黒田財務官」 吉田恒の為替デイリー マネクリ
前黒田日銀総裁は、今から25年前にもG7に働きかけることで、日銀が利上げに動くことに制約をかけていたと言います。そして、彼は2016年にマイナス金利を導入します。
このマイナス金利政策は、国際金融資本から大不評だったようで、発表直後から大暴落したのですが、その理由も今から考えれば、はっきり分かりますね。
日本の利上げはマイナスからのスタートとなったため、わずか0.25%ですみ、この後に訪れる世界経済の大幅悪化の前に、すぐに再度の利下げを余儀なくされることでしょう。そして、メディアは日銀のこの愚策を大いに宣伝することでしょう。ああ、なんてものすごい無能っぷり! しかし、いったい何の奇跡か日本の経済は、西側で唯一致命傷をまぬがれるのです。
すげ~! マジでこの人たちはすごい、もう感動もの。
メディアが宣伝したこの画を見たときに、彼らにとって非常に都合の悪い人物であろうことは分かりましたけどね。植田総裁は、学者ではなく完全な政治家です。彼は「世界」とのお付き合いのために、今回利上げに動き「これからどんどん利上げ」しますと、「世界」に向けてリップサービスしたのです。
大人の世界では、よくある話ではないですか。誰だって仕事で当然のようにやっていることでしょう?
日銀の植田和男総裁は31日、金融政策決定会合後の記者会見で、今後も経済・物価情勢が見通し通りに推移していけば追加利上げしていく方針を示し、政策金利について2006年からの前回の利上げ局面のピークである0.5%が「壁」になるとは「認識していない」と明言した。
政策金利0.5%「壁ではない」、経済・物価次第で追加利上げ=日銀総裁 ロイター
彼は、今後、情勢に利上げを迫られないことを知っているからこそ、どうどうとこう宣言しているわけです。なんという役者っぷり。
そして、もう一つ重要なことは、最初に紹介した「ジンクス」の記事を見れば、政府と日銀が1980年代のバブル崩壊で、見事にしてやられた後に、利上げを嫌い始めたことが分かりますね。
ITバブル崩壊の時もサブプライム危機の時も、0.25しか利上げしていないです。政治家は過去の反省から、敵の手を読んでいたんですね。素晴らしい。それにしても、世間は一向に成長しないなあ・・。
さて、株価はそろそろいったん下げ止まるのかもしれませんが、買うのは引き続きやめておいた方がいい、と私は思いますね。