次期トランプ政権がまたまた、面白人事を発表しましたね。

米下院監視・説明責任委員会は政府効率化に関する小委員会の設置を決め、共和党の保守強硬派マージョリー・テイラー・グリーン議員が21日、委員長を務めると明らかにした。

米下院に政府効率化小委設置、共和党強硬派グリーン氏が委員長に ロイター

「保守強硬派」と書いてありますが、この方は「政府が気象を操作している」と語る、Qアノン支持者のゴリゴリの陰謀論者。ケネディに次ぐ、2人目の「陰謀論派」の要職登用です。これらの「仕組まれた大逆転劇」は、当ブログが4年前から予想してきた展開です。

火に油を注いでしまうキャスリン先生

ところで、昨今の「極右」の台頭を側面サポートしてきたのは「左派」と言うことは、はっきりしていますね。前回の記事で紹介した『遺伝と平等』という書籍を取り巻く寸劇?が、その象徴となっています。

誕生時に引かされる二種類のくじ

人々は、教育、富、健康、幸福、そして人生そのものについても、大きくレベルの異なる経験をする。これらの不平等はフェアなのだろうか? パンデミックが吹き荒れる二〇二〇年夏のあ る一日に、ジェフ・ベゾスは、すでにして莫大な富に百三十億ドルをつけ加えたのに対し、アメリカの世帯の三十二パーセントは家賃が払えなかった。この状況を並置するとき、私の心にむかむかと嫌悪感が湧き起こる。この不平等はあんまりだと思うのだ。

『遺伝と平等』 キャスリン・ペイジ・ハーデン

超美人で大学教授という「最強のくじ運」の持ち主が、「ああ、なんて不公平な世の中なのかしら!」と嘆き、それをメディアが絶賛すると言う構図。そしてご丁寧に、

本書の全体を通して、私は自分が左寄りの政治的立場に共感していることを隠すつもりはない。

隠さんでもいいけど、ここでわざわざ言う必要もないやろ!

これは「新手の炎上商法」と見て、間違いないでしょう。いや、本の内容はまともですよ。おかしいのは、構図です。

ところでキャスリン先生、その左手のポーズは、いったいなんですか?

バイデンには敵わないトランプ

左派の「前フリ」を受けた「極右の逆転劇」それが、「カミ」のメインシナリオのはず、でした。しかしどうも、2016年~に比べて、この4年間は冗長だったように思います。書き手としては、ネタに苦労する退屈な4年だったと言う確たる実感があります。

2020年以降の「逆転劇」は確かにあったのですが、物足りない内容だったのです。それが現在、加速し始めたということは、やはり、2020年の大統領選でトランプが敗れたために、「カミの計画」に遅延が生じたのではないかと考えることが出来ます。

と言うのも実は、トランプにとってバイデンは、強力なライバルというか、そもそも敵わない相手という観測があるのです。

「自分なら勝てたはずだ」

 クリントン氏が本選で共和党のドナルド・トランプ氏に敗れた後、バイデン氏は周囲にこう語ったという。信念を貫かなかったことへの後悔、オバマ氏から見放された恨みは、バイデン氏の心に深く刻まれた。

オバマ氏の後継狙ったが見放され…バイデン氏、9年前の「後悔」と「怒り」がもたらした続投への執着 読売新聞オンライン

このバイデンの「自分なら勝てたはずだ」という言葉には、単なる負け惜しみとは言えない背景がありそうです。

63年、ジョン・F・ケネディが現職大統領として初めて、アイルランド系カトリックの大統領として初めてアイルランドを訪問した。当時、アイルランドと米国のメディアはケネディの訪問を『センチメンタルジャーニー』と表現した。アイルランド系カトリック2人目の大統領であるバイデン氏の訪問はケネディ氏のそれとダブる。

(中略)

「バイデン氏はかつて強力だったリベラルなアイルランド系米政治家の最後の一人であり、消えゆく存在だ。バイデン氏にとってトランプ以降、後退する自由主義的国際主義のリーダーという米国の世界的評価を修復するチャンス。ベルファスト合意25周年を祝うことは外交政策における法の支配への米国の支持を示すことになる」とケネディ教授は強調する。

バイデン米大統領のセンチメンタルジャーニー アイルランド帰郷に込められた意味 NWEESWEEK 日本版

つまり、2020年の大統領選は、「とある勢力」による「神」への最後の抵抗戦だった可能性があるわけですね。ですから、ヒラリーやハリスでは、そもそも最初から負け試合の出来レースだったわけです。

では、そのシナリオに裏協力した、オバマはトランプのスパイだったのか? 左派の連中もやはりと考えてしまいがちですが、そういう見方は思考が陳腐化しやすく、実際は、そこまで単純な構図ではないはずです。

もし、みんな仲良しなのでなのであれば、2020年はなぜ、トランプが敗れたのか?の説明がつかなくなります。なにせ、相手は「カミ」なのですから、そうそう逆らってばかりもいられないのですよ。実際に、2020年のトランプ敗北直後に、ロスチャイルドとアデルソンという大物フィクサー二人が殺されていますね。

2020年には、多大な犠牲を払ってまで、トランプを阻止する必要があったと考えるべきでしょう。その理由は、歴史を振り返ると見えてきます。

1930年の再来

現在は一九三〇年代の再来

ポピュリズム

だから、今こそヴァイマル共和制の崩壊とヒトラーの台頭について、新たな方法で語るべき だ。本書では、ドイツの国内情勢をドイツを取り巻く世界の状況に照らし、ドイツが受けた影響を検証する。ナチ党は、当時の権威主義でありながら大衆迎合主義の他の政治活動と同じく、 第一次世界大戦終結時に世界で圧倒的勝利を収めていたリベラル資本主義に対する反動から生 まれた。

『ドイツ人はなぜヒトラーを選んだのか 民主主義が死ぬ日 ベンジャミン・カーター・ヘット』 

現在のアメリカの状況は、1930年代のドイツの状況とよく似ています。特に気になるのは、こちら。

 翌朝、内閣は緊急事態に乗じて「国民と国家を防衛するための大統領緊急令」、以後非公式には「議事堂炎上令」とも呼ばれる大統領令の発令を閣議決定し、ヒンデンブルク大統領が署名した。この命令によってヴァイマル共和国の民主 憲法は骨抜きにされ、言論・集会・結社の自由、信書・電信・電話の秘密、住居不可侵、人身 の自由が一気にはく奪された。また、第二項により、中央政府が州政府に介入する権限も認められた。前年のプロイセン州のクーデターと同じで、反対派を排除するには効果的な方法だ。

国会議事堂が燃えている最中から、政府は反対勢力を厳しく取り締まり、国内の何千もの人を 逮捕した。議事堂炎上令は、ヒトラーの一二年におよぶ独裁政権の法的基盤となった。 学者の なかには、これを「第三帝国の憲法」と呼ぶ者もいる。

国会議事堂の火災はヒトラー政権に都合のよい結果をもたらしたため、当時のナチ党以外の 人の大多数、そして後世の人の多くは、ナチ党が自ら火を放ったのは明白だろうと考えた。し かし、火災の原因は一九三三年以降、いまだに論争の的で、この問題については歴史学者が今も議論している。

「カミの計画」が、この1930年代のナチスドイツをなぞる物だった可能性は高いでしょう。

トランプ氏SNSにナチス想起の動画、「統一帝国」と 陣営は削除

BBC

ドイツの次はアメリカの番、という訳です。だからこそ「とある勢力」は、2020年に死を賭けてまで、トランプを阻止したのでしょう。「世界の支配者」のロスチャイルドも「カミ」が相手では、一たまりもなかったわけですが、2020年は、死ぬほど決定的に、重要な年であったのです。

ナチス後のドイツ

では、そもそも私が「カミの勢力」と見ている、ナチスの計画とはいったいどんなものだったのでしょうか。

当初、「新秩序」という語はヨーロッパ各国経済の再建について述べるために使われていた。「新経済秩序」を確立するための完備した包括的計画が公式に発表されたことはなかったにもかかわらず、公務員、経済専門家、実業家、および銀行家が数百もの声明、覚書、および計画を作成した。こうした文書と討論のすべてから、ナチスがドイツの勝利後に計画していた「新しいヨーロッパ」のかなり詳細な画像が浮かび上がってくる。新経済秩序の基盤は、ドイツの支配下で運営される単一の経済共同体の形成であった。

「ヒトラーの戦争目的」 防衛研究所

なんと! それは、ヨーロッパの統一、つまりは、EUの設立だったのです。

ドイツの戦争目的と占領政策は、本質的には、全征服地域の無制限かつ直接の支配を実行し、可能な限りすべての経済的人的資源を大規模に搾取することであったと要約できる。

すなわち、グローバリズム、資本主義の加速が目的だったとは驚きです。ヒトラーは、実は「グローバリスト」だったのです。ここで私は、一つ重大な視点に気づきました。「カミ計画」とは、恐らく全てがこれなのだと。

この世に起こる、陰謀的な過激な事件の目的にすべては、資本主義を加速させるための口実なのだと。真新しい物で行ったら、パンデミック騒動はまさにそれですね。そして・・

共産主義の失敗の結果、現在の社会はふたたび資本主義が一番いいという考え方に戻りました。マルクスの資本論が批判した搾取は、逆にマルクス経済学が失敗したことで、21世紀 の資本主義社会では世界経済の成長に最も有効な手法として世界中で篤く信仰を集めている 経済ドグマ(教義)の地位を取り戻したのです。

『格差と階級の未来』 鈴木貴博

「左派」が「極右」を加速する法則も、ここにあります。さらに、現在短期的には「西側」から「東側」に覇権が移行し、「多極化」していることは明白ですが、これは結局・・

なぜ民を支配する存在が王から領主へと移るのでしょう。世界中で原始的な豪族が統一国家に統合されたあとで、再び各地の領主が力を持つようになるという同じ歴史の流れができ てきたことを考えると、これは文化などの社会学的な理由ではなく、純粋に経済的な理由からそうなったと考えるのが自然でしょう。つまりそのほうがコストがかからないからです。これは経営学でいう管理スパンの問題で、管理する対象が広くなるほどコストがかかるう えに目が届かなくなる部分が増えるという命題です。中央が官僚組織をはりめぐらせて巨大 な版図を支配しようとしても、費用がかかるうえに各地で厄介事が絶えなくなります。これを解決するために組織を小さく再編したうえで、その組織の自治権を領主に権限委譲するのです。そして中央では主に領主だけをコントロールするようにする。そのほうが国家の管理コストが低く済んで効率的なのです。

資本主義が、より加速していると言う状況に変わりがありません。世界中に資本主義を行き渡せ、徹底させると言うことですね。

米単独覇権体制だと、米英欧が途上諸国からこっそりピンハネし続けて豊かさを維持し、途上諸国は永久に発展できず、世界全体としての経済発展が阻害され続ける。これはロックフェラーなど世界資本家にとって望ましくない。

『田中宇の国際ニュース解説』 「トランプが勝ちそう」

発展と言うと聞こえはいいですが、結局のところ、「東側が西側化している」とも捉えられると思います。

世界で一番庶民が安心な国

そんな大きすぎて、溺死必至の激流を、一番上手に、のらりくらりと漂う先進国は、日本だと私は思いますよ。

安倍政権は「日本復活」を賭けてリフレ政策を採用しましたが、日銀がどれほど金融緩和しても物価は上昇せず、その代わりに円高が修正されて、日本経済は「ゆたかにもならないけれど、貧乏というわけでもない」というぬるま湯につかっていました。

超低金利では銀行に預けたお金は増えませんが、物価が安定していれば、去年と同じ暮らしが今年、来年へと続いていきます。これはとりわけ、年金だけで暮らしている高齢者に大きな安心を提供したでしょう。業績がふるわない中小企業も、銀行からの借り入れにかかる金利は微々たるもので、市場から退出を迫られることもありません。

それに加えて、人類史上、未曽有の超高齢社会に入った日本では、需要と供給の法則によって、稀少な若者の価値が上がっています。大学を卒業すれば(あるいは高卒でも)ほぼ確実に就職できるし、就活がうまくいかなくても、20代であれば簡単に転職できるようになりました。これが、安倍政権が若者のあいだで高い支持率を維持できた理由のひとつでしょう。

2年前の夏の凶弾が日本を変えた? 週刊プレイボーイ連載(622) 橘玲の公式ブログ

日本は、庶民が世界で最も安心して暮らせる、なんちゃって資本主義社会だったのです。

今はむしろ日本のほうが「社会主義国」だ。配給制度こそないけれど、平等で弱者に優しい社会がそこにある。少なくとも私はそう感じる。資本主義の悪い面ばかり取り入れ、社会主義の悪い面ばかり残してしまった祖国。まさか日本で、理想の社会主義を見つけるとは思ってもみなかった。

日本は世界に誇るべき「社会主義国」です NEWSWEEK 日本版

しかし、『格差は心を壊す』の冒頭に掲載された「不平等が大きい国ほど社会問題が悪化する」というグラフを見ると、たしかに所得の不平等と健康社会問題インデックス(平均寿命、信頼、精神障害(薬物・アルコール依存症を含む)、肥満、幼児死亡率、児童の算数・読み書き能力、刑務所収監率、殺人犯罪率、未成年出産、社会階層間移動などをベースに算出)はきれいに相関しており、所得の不平等がもっとも大きなアメリカの指標がとびぬけて悪く、所得の不平等がもっとも小さな日本の指標がいちばんいい。日本に近い国はスウェーデン、ノルウェー、フィンランドなど北欧諸国で、アメリカに近いのはポルトガルやイギリスだ。

「アメリカはディストピア、日本はユートピア」経済格差の大きい欧米社会の驚くべき状況 【橘玲の日々刻々】

安倍晋三さんが殺された本当の理由にみんな、そろそろ気づかないかなあ・・いや、気づかないよなあ・・。それは、彼が、資本主義を加速させる菅ではなく、遅らせる岸田を首相に選んだからです。

楽天グループの三木谷浩史会長兼社長(56)が8日、自身のツイッターで岸田文雄首相を痛烈に批判した。

 格差是正を重視する岸田首相は、〝金持ち優遇〟と揶揄される金融所得課税を引き上げ、中間層への手厚い分配を政策の柱に据える。それが同首相が呼ぶ〝新しい資本主義〟だ。

 ところが、三木谷氏は「今までの新政権の発表は、新資本主義ではなく、新社会主義にしか聞こえない」とバッサリ。

楽天・三木谷氏 岸田首相の〝新資本主義〟を痛烈批判「新社会主義にしか聞こえない」 東京スポーツ

「カミ」のお怒りは、岸田首相の就任会見中の「大地の震え」で、表現されていましたね。タイタン現る。

分岐する人類

さて、で、結局「カミの計画」が資本主義を地球全体に行き渡せる、究極の資本主義化を目指すものだったとすれば、それは何のためだと思いますでしょうか?

イーロイのユートピアは偽りの楽園であった。時間旅行者は、現代(彼自身の時代)の階級制度が持続した結果、人類の種族が2種に分岐した事を知る。

『タイム・マシン HG・ウェルズ』 ウィキペディア 

やはり、この小説にその解を求めてしまいますね。

ゲノム編集は、ネガティブな影響力をもつDNAの配列を修正したり、「よりよい」配列に改変できるだけで、人間にもともと備わっていない能力がもてるようになるわけではない。映画『X−MEN』のようなミュータントはつくれないが、『ガタカ』が描くような、人工授精と遺伝子操作によって優れた知能・体力・外見をもつ「適正者」と、自然妊娠で生まれた「不適正者」に世界を分断するじゅうぶんなちからをもっている。

──『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリはこれを「ホモ・デウス(神人)」と「無用者階級」と呼び、いずれわたしたちはこのような未来を迎えることになるという不吉な予言をした。

赤ちゃんの遺伝子を操作する時代に…「人類をアップデート」して「完璧な人間」を目指すという「あまりにグロテスクな未来」 現代ビジネス

そう、”人類”は分岐するのです。それが文明社会、資本主義を徹底させる「カミ」の目的なのです。

「優れた」遺伝子をもつ者同士を交配させ、「劣った」遺伝子を排除することで人類を進化させようとしたのが優生学(Eugenics)で、精神病者・障害者の断種やホロコーストの悲劇を生んだ。それに対して、テクノロジーによって自分の子どもの遺伝子を操作することは「優生学2・0(Eugenics2.0)」と呼ばれる。

しかしどうも、奇妙なことに、私の目には、排除されようとしているのは「優れた者」のように見えるのです。

米国ではドナルド・トランプ氏の当選以降、民主党を支持する富裕層の米国人が投資移民を調べる事例が増加していることが明らかになった。

「トランプが当選? 私はここを離れる」…米富裕層「ゴールデンビザ」移民の問い合わせ急増 中央日報

それとも自分が「劣った者」だから、そう見えるだけですかね? とは言え、これからはテクノロジーの力によって、誰でも「優れた者」になれるのですから、よかったですね。

より現実的にニュータイプに近づく方法は、遺伝子編集によって「新人類」をつくりだすことだろう。

赤ちゃんの遺伝子を操作する時代に…「人類をアップデート」して「完璧な人間」を目指すという「あまりにグロテスクな未来」 現代ビジネス

つまり、「カミ」は人類に、選択の自由を与えたわけです。「優れた者」になるのか、それとも「劣った者」のままでいるのか。

そして、「優れた者」たちは、「宇宙人」に。

いつか私たちは火星人に。NASAとイーロン・マスクが挑む有人火星探査の最前線

telescopE magazine

「劣った者」たちは、地球で「野蛮人に戻る」のです。

それにしても、絶滅動物の再生というと難しそうに聞こえる。しかしルッツによれば、遺伝の担い手は染色体という「固体の成分」であり、すべての生きものはこれがモザイクみたいに集まってできている。つまり、現在の家畜のウシやウマから、先祖オーロックスやターパンにさかのぼる染色体だけを「切りはなし」、「結合」させればよい。早い話が、彼らが「祖先の姿に似ている」と思ったウシやウマを選んできて交配させ、子孫をつくらせるのだ(ルッツとハインツのやりかたには違うところもあったが)。

「絶滅動物を交配で再生」ナチス政権下のベルリン動物園が進めた危険な計画 PRESIDENT ONLINE

チンパンジーの子、ボノボの子、オランウータンの子、クマの子、といった風に、「カミ」と「ヒト」が同居していた古き良き時代へと、地球は戻るのです。