ひとは誰でも しあわせさがす 旅人のようなもの 希望の星に めぐりあうまで 歩きつづけるだろう きっといつかは君も出会うさ 青い小鳥に

『銀河鉄道999』 うたまっぷ.com

幸せの青い鳥を探しに

私事ですが、2024の年末、とある駅で、新幹線を待っていました。乗車予定の一本前の「はやぶさ」が進入してきて停車、その車両は「グランクラス」。私が乗るのは、当然普通車ですが、編成車両数によって停車位置が異なるためでした。

はじまりからもう、特別な旅になる予感がした。

「GranClass」 JR東日本

「すげー、グランクラスだ」

同じ列に並んでいた男性が、そう呟きました。

その男性よりも遥かに心のすさんでいる私は、嫉妬で頭がおかしくなったのだと思います。

「ああ、きっと、この人たちは「銀河鉄道」に乗って、機械の体をもらいに行くのだなあ」

などと、訳のわからない空想が頭をよぎっていたのです。続いて、この歌詞が流れてきました。

ひとは誰でも しあわせさがす 旅人のようなもの 希望の星に めぐりあうまで 歩きつづけるだろう きっといつかは君も出会うさ 青い小鳥に

きっと、年末の仕事のストレスでどうかしていたのです。

機械の体をもらいに行く

そんなことも忘れかけていた本日の先程、この記事を見てしまいまして、ぜひ、本年の一発目の記事にしたいと思いついてしまったのです。

ピーター・スコット=モーガンの話を知ったときにはほんとうに驚いた。ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されたモーガンは、ほぼすべての身体機能を機械に移植し、「デジタル空間の私は年を取らないし、あらゆる言語を話せる。週7日間、これまでのキャリアで最もハードに働いているよ」と語っていた(「人生の半分「バーチャル生活」 人類の進化か退化か」日本経済新聞2021年5月25日)。

「テクノロジーによって人類は「補完」され、わたしたちは「ニュータイプ」になっていく」 橘玲公式ブログ

私も、本当に驚きました。実際に「銀河鉄道」に乗って、機械の体をもらった人がすでに存在していたとは・・・。しかもそれは、私にとっては、まさに絵にかいたような人物でした。

ピーター・スコット=モーガンは1958年にイギリスのエスタブリッシュメントの家庭に生まれ、全寮制の名門パブリックスクール、イートン校でヘッドボーイ(監督生代表)とフェンシング部の主将の座を約束されていた。理系の大学を目指していたが、教師からは演劇(芸術)の道に進むことを勧められていたというから、文武両道を兼ね備えた、まさに理想のエリート予備軍だった。

グレート・リセット

人生の半分「バーチャル生活」 人類の進化か退化か

データの世紀 グレートリセット(下)

日本経済新聞

橘氏の記事の引用元になっている、日本経済新聞の記事は、副題に「グレートリセット」と書かれていますが、やはり、これこそが「カミの計画」なのだと、ほとんど確信に似た感覚を持ってしまいました。

ピーター・スコット=モーガンはALSによってやむなく自身を「サイボーグ化」することになったが、現代のテクノロジーは人体のさまざまな機能を機械に置き換えている。

人間が人間でなくなること、これこそが文明社会の行く末であり、目的なのだと。

脳とコンピュータ(インターネット)を融合させるBCIは脳科学の驚異的なブレークスルーで、「人間」の概念を大きく変えてしまう。その究極の目的は、脳のすべての情報をそのままコンピュータに転送するマインド・アップローディングだが、その実現には(楽観的な研究者でも)100年はかかるとする。

だが、このまま「サイボーグ化」が進んでいくなら、脳そのものの自然な寿命は250年ともいわれるから、ピーター・スコット=モーガンは自分の脳をアップロードできるようになるかもしれない。そのとき、リアルな世界では眼球しか動かせないピーターは、ヴァーチャル世界で究極の自由を手に入れることになる。

しかし、それは決して、全ての人類に強制されている訳ではないでしょう。「銀河鉄道」のチケットを入手できるかどうかは、その人の遺伝子によって決定されるのです。

宇宙の多くの裕福な人々は機械の身体に魂を移し替えて機械化人となり永遠の生を謳歌していたが、貧しい人々は機械の身体を手に入れることができず、機械化人の迫害の対象にされていた。そんな中、機械化人に母親を殺された主人公の星野鉄郎が無料で機械の身体をくれるという星を目指し、謎の美女メーテルとともに銀河超特急999号に乗り込む。

「銀河鉄道999」 ウィキペディア

そして今私の頭に中には、数年前に見たNHKのドキュメンタリー番組、『NHKスペシャル 大アマゾン 最後の秘境 第4集「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」』の中で、取材班がイゾラドに投げかけた「あなたは、幸せですか?」の質問の答えが駆け巡っています

「幸せ? 私には、それがなんだか分からない」

しあわせの青い鳥をさがして、チルチルとミチルは いろんな国をたずね歩きました。でも、どこにも 青い鳥はいませんでした。そして、やっと気づいたのです。しあわせの青い鳥は、ずーっと前から 自分のうちにいたんだ…と。

青い鳥

大人になっても忘れたくない いもとようこ世界の名作絵本
青い鳥メーテルリンク 原作/いもとようこ 文絵 金の星社

名作童話「青い鳥」では、幸せは遠くではなく、身近にあると言います。しかし、私の意見はちょっと違う。「幸せ」は、遠くにあるのですよ。だから、イゾラドにはそれが分からなかったのです。

いずれ、ある種の人類は、ピーターのように実際に、幸せの青い鳥を遠くの星で見つけると思います。なぜなら、それが「カミの思し召し」だから。そういう意味で、『青い鳥』より『銀河鉄道999』の方が、現実的な話だと思います。

そして、「銀河鉄道」に乗るか乗らないかは、あなた次第です。

ご挨拶遅れましたが、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。2025年も、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げして、本記事の終わりとしたいと思います。

え? 幸せはいらない? なんと、贅沢な!