ちょっと前にFacebookページで紹介したのですが、こんな記事が出ていました。

その理由について研究主任のオラフ・ブランケ(Olaf Blanke)氏は「感覚のズレが原因だ」と説明します。

ここでは被験者のロッドの操作と背後にあるロッドの動きがズレているわけですが、このように手元の動きのイメージと実際の動きがズレることで、感覚に違和感が生じ、被験者のうちに別の何者かの存在を感じさせてしまうというのです。

心霊現象は科学の領分「幽霊の声」が聞こえる状況の再現に成功 ナゾロジー

これを読んで、最近は、彼らの手の内まで情報開示してくれるようになったんだなあ、と思いました。「彼ら」とは、当ブログが「カミ」と呼ぶ、空想の科学者たちのことです。

「悪霊」の創り方

幽霊マジックは、2020年のパンデミックで使われた手法と見て間違いないでしょう。「感覚のズレ」が「別の何者かの存在」を感じさせてしまうというのは、まさにそれ。、公的機関とメディアが私たちに提供したのは、盛大な感覚のズレでした。

新型コロナが始める前の数年には、恐らく実際に史上最大に感染症(新型インフルエンザ)が流行っていたわけですが、これはおそらく、コロナと対比させて、ズレを生むための伏線だったと言う訳でしょう。

何も経験のない状況で、新型コロナが突然やってきたのだとすると、「まあ、そういうもんか」という所もあるかもしれませんが、年間1万人が死んでいた新型インフルエンザの後にやってきた、当時死者数300人とかだった脅威の新型感染症に、違和感を抱かないはずがありません。

つまりは、この感覚のズレを引き起こすことで、「別の何者かの存在」を錯覚させることが、パンデミックの大きな目的の一つだったと言う訳です。

まあ、よくできてますね。

恐怖のワケ

それにしても、それだけの”お膳立て”があるにも拘らず、感覚のズレを感じない人たちがこんなにも多いというのは、パンデミック以上の驚きです。まあ、あれをですね、「なんか変だな」と思わないというのは、ずばり、ボケてます。はい、確実に。申し訳ないですが。

高齢者なら老化と言うことで説明できますが、現役世代であれば、ちょっとまずい・・・なぜなら、それって生体反応だと思うのですよ。

恐怖は自然な感情だ。日常生活の中では、危険が差し迫ると生存本能が働いて警戒態勢を整える。そのために恐怖の感情が生じる。「恐怖を感じるということは、生命体の警報システムがきちんと機能している証拠です」と、精神分析学者のローラ・ジェランは説明する。

私たちはどうして、ホラー映画を観たくなるの? FIGARO.jp

一言で言えば、気味が悪いという感覚。それは「天敵が潜んでいるかもしれない」という状況に対する、防衛本能です。それをそもそも、感じられないというのは、感覚が相当衰えているということです。ですので、少なくともあの時、生物として何らかの違和感を得なければならなかったとは言えると思います。

しかし、その先に潜んでいるものの正体が分からないからと言って、一時的とはいえ、安易な陰謀論に飛びついたのは、軽率だったとは思います。そこは、反省してます。

で、今回の記事で言いたいことは何かと言うと、私たちは恐怖によって、科学的にコントロールされているということです。そして、それは半ば、自動システム化されているとさえ感じます。

「どこかに何か怪物的なものがいるのがわかっているのに姿が見えない、という時。観客自身が恐怖の感情を作り出し、組み立てているのです」。

また、これが最も恐ろしい話かもしれないが、ジェランは次のように付け加えている。「何よりもいちばん怖いのは、人が頭の中で想像することです」

私たちは、いつしか自然界(現実)から切り離されて、空想の世界で生きるようになってしまいました。

先に述べたように,ハラリは「共同主観的現実」という言葉から,よりネガティブな「虚構」という言葉へと移行していく.しかし,ハラリがいかに述べようとも,虚構という言葉はあきらかに非実在性を主張する言葉である.つまり,人間が創出してきた世界を,ハラリがネガティブに虚構と見なす転換をしてしまうところに問題があるのではないか.

【ユヴァル・ノア・ハラリを読む】 ハラリの「虚構」概念をめぐって ―─ヘーゲルとガブリエルを参照しつつ WEB河出

それを否定したい気持ちはとっても、よくわかります。あなたは、世界を正しいと信じている。その信じる力こそが、あなたをその地位に引き上げた原動力。

しかし、残念ながら、それは現実なのですよ。そして、私たちの空想好きは、元来そういう動物だからということではなさそうです。

考えてみれば、人類はこの家来にちょっと似ている。そしてチンパンジーやゴリラなど の類人猿は、この王様に似ていないだろうか。類人猿は森林という宮殿に住んでいる。

『絶滅の人類史』 更科功

いつしか、私たちは現実(自然)から追い出されて、ヴァーチャル(文明)社会を生かされるようになったのです。だから、恐怖には際限がありません。

また、これが最も恐ろしい話かもしれないが、ジェランは次のように付け加えている。「何よりもいちばん怖いのは、人が頭の中で想像することです」

私たちはどうして、ホラー映画を観たくなるの? FIGARO.jp

恐怖の大魔王は現実か?

そして、その恐怖のコントロールが、ほとんど自動システム化されていると言った根拠をこれからお話します。

社会心理学者のロイ・バウマイスターは、一般の人の悪に関する素朴的な理解に基づく過度に誤った悪の認識を「純粋悪の神話」と表現している。バウマイスターによると、純粋悪の神話には主に8つの特徴がある。

  1. 悪とは他人を意図的に傷つけることである
  2. 悪人は人を傷つけることを楽しんでいる
  3. 被害者は潔白で善良な人である
  4. 悪人の加害者は私たちとは違う人間である
  5. 悪人は一貫して悪人である
  6. 悪とは社会に混乱をもたらすことである
  7. 悪人の加害者は利己主義である
  8. 悪人の加害者は自制心が劣っている

1番目の特徴は、子供の漫画から戦時中のプロパガンダまで他人を傷つけることを強調されていることである。2番目の特徴は、実際の現実ではほとんど見られることはない。被害者がする説明では悪人が笑っていた、楽しんでいたなどと強調されるが、悪人からの説明ではそういったことが示されることはない。これは、被害者が純粋悪の神話の影響を受けていることが考えられる。3番目の特徴も現実ではほとんど見られるものではない。実際の多くの殺人事件では、加害者と被害者がお互いに挑発しあって、それがエスカレートしていくことで、殺人が生じる場合は多く見られる。もちろん、善良で潔白な人に対して無差別の暴力は確かに生じてはいるが、それは私達がマスコミから得る情報から考えているよりは稀である。4番目の特徴は、私達のような人がひどい犯罪を犯すとは考えたくないという欲求が反映されている。具体的にはナチスの医者はまっとうな人間とは思われておらず、また、戦争中の日米双方で相手側は劣等人種とみなしていたために、相手を悪魔化することが助長されたという分析もある。さらに子供向けの漫画の悪人は基本的に外国語なまりの英語で喋る。5番目の特徴は、現実では多く見られるものではなく例外の可能性が高い。映画でも時間の経過とともに悪くなっていった人は見られず、最初から悪人であるとされる。また、現実でもスターリンやヒトラー、ポルポトといった人物に対しても、私たちは「そういったひどく邪悪な人間がどうやってそんな大きな権力を手に入れたのか」と考えるが、「どんな経験によって彼らは悪人になってしまったのか」とは考えない。6番目の特徴は、1番目の特徴と代替的なもので、悪とは混沌であり平和や調和、そして安定を喪失させたり妨害するものであるというものである。7番目と8番目の特徴は今までの特徴とは異なり、現実では確かにその傾向が見られて真実に近いが、過度に強調されているという。

「悪」 ウィキペディア

ちょっと長いですが、要は「悪」というのは、現実ではなく神話ですよ。ということです。悪とは、空想社会を生きるヒトにとっての、最大の恐怖といえるでしょう。

1番目の特徴は、子供の漫画から戦時中のプロパガンダまで他人を傷つけることを強調されていることである。

私たちは、子供ころから、勧善懲悪のストーリーばかりを見せられ、恐怖の大魔王が、現実的に存在していると考えるようになっています。そして、世界征服を企むプーチン大魔王が襲ってくるというストーリーを、大の大人が真面目に信じ込んでいます。こちらは、アニメとゲームの影響でしょうか? だから任天堂さんは、初めか、ゲームは1日1時間までにしましょうとわざわざ言ってくれています。

ちなみに、「恐怖の大魔王」をやらされることに嫌気がさしたプーチン氏が、一瞬垣間見せた、ご乱心の様子がこちら。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領といえば強面で知られ、特に最近では民間軍事会社「ワグネル」のエフゲニー・プリゴジンによる「反乱」発生もあって、周辺の緊張感は高まっている──はずだったのだが、意外なほどフレンドリーに市民と交流する姿が動画で公開された。プーチンは熱狂する市民と握手を交わすどころか、女子学生にキスをするほどのサービスぶりで、普段の様子とは大きく異なるその姿に、「これは影武者だ」という憶測まで飛び交う事態となった。

女学生にキス! ロックスターみたいな「普段と全然ちがう」プーチンの姿に、「やはり影武者」の声 NEWSWEEK 日本版

私部隊を潰されて、よっぽど頭に来たのでしょうね。プーチンが実はいい人です、とか言いたいわけじゃないですよ。そんなこと、私が知る由もないのは、言うまでもないことです。でも、プーチンは、ただのヒトだということは分かります。え? ヒトが一番怖い? いやいや、そんなことない。それも神話です。我々は所詮、ホモ・サピエンスなんですから笑。それが、現実です。

聖書には「悪霊に取りつかれた豚の群れが湖に飛び込んで溺死する」という記述があるそうですが、これぞ、悪魔の自滅システム・・

お口にお札を貼って外出する人々、中露退散! ちょっと前なら、鬼畜米英! そう言えば、最近は、財務省恐怖症というのが流行っているそうですね。他にも挙げればキリがありませんが、「共同の空想」は、ほどほどにしておいた方がいいのかもしれません。

なぜなら、それは、とっても頭のいい科学者たちによる魔術、マジックかもしれないのですから。そして、(私だけかもしれませんが)不思議なことにその空想は、恐怖を生まないのです。と、言うことは・・・ま、まさか・・現実・・