このシリーズもやっと、今回で終わりになります。当ブログが国際政治の分析を本格的にスタートしたのが、2017年の初め。それを8年間に渡って続けてこられた最大の動機は、公に現実として語られる「物語」への違和感でした。

この「物語」は、果たして現実なのだろうか、と。

おそらく読者の皆様が、当ブログへたどり着いたきっけけも、同じであったのだろうと想像してます。

違和感の正体

その違和感とは、文明社会のあらゆる事象が「フィクション臭い」という部分に尽きると思います。現在、目の前で展開される国際政治やあらゆるメディアニュース、さらには文明勃興以降の人類史というものが、どこかで、現実性を欠いており、常に芝居がかかった雰囲気を醸し出しており、まるで悪い夢でも見せられているかのように感じられて仕方がないのです。

現代のトランプ、プーチン、マクロン、ゼレンスキー。過去におけるヒトラーやスターリン、ムッソリーニなどは更に輪をかけて、役者臭が凄まじいです。

現代社会においては、誰もが社会的役割を演じており、そのことは、特別なことではないのかもしれません。

しかし、少々度を過ぎていませんかね?

ヒトラーなんて、偶然に生まれます? というのが端的な疑問であり、私の感覚では、そんなことはあり得えそうもないと感じるのです。

マックス・シェーラーは「世界に対するオープンさ」を人間の特徴とみなし、ほかの動物は世界の“なか”にいるが、人間は一つの世界を“有している”と主張した。

生まれてすぐ立つ「ウマ」に対して、何もできない脆弱な「人間」の赤ちゃん…同じ哺乳類でも人間が致命的な“弱点”を持って生まれてくる「驚き」のワケ 現代ビジネス

これは、うまいこと言いますね。人間は動物と違い、世界を有している

このように、人間という生物と世界の関係を分断することで、自然に直接依存するのではなく、自然とそのなかにいる自分自身を外側から同時に眺めることが可能になる。ヘルムート・プレスナーの「脱中心的位置性」という考え方も、同じような距離感を示唆している。

いいか悪いかはおいておいて、ヒトは自然から分断されたことは間違いないようです。よく映画などで、我々は仮想現実の世界を生かされているみたいなストーリーがありますが、それは私たちの現実をよく表しています。

現実のVRゴーグル

その「仮想現実」を創り出したものとは・・

ほかの多くの語族は、印欧語族の広がりとともに消滅していった。その結果、言語の多様性が失われたために、現代世界の物事の捉え方が狭まり、同じ方向へ向かうようになった可能性はある。

『馬・車輪・言語 文明はどこで誕生したのか』 デイヴィッド・W・アンソニー

私たちが、現実的に「たった一つの世界」「たった一つの物語」を有するために必須のガジェットは、VRゴーグルではなく、共通の言語だったのです。

ですから、物語の語り部を見つけるためには、人類史の最深部に迫る必要があったのです。その発想に至るまで、7年の歳月がかかりましたが、これは上出来でしょうか。

二つの人類

文明勃興以降の人類史において、奇妙な物語が展開されるに至る最大の要因は、何かの対立にあることは間違いがない、という確信は当初からありました。

しかし、「誰」と「誰」が対立しているのか? という部分がどうしても、分からなかったのです。初期は「米中」だろうと考え、晩成期に「遊牧」と「定住」の概念に辿りついたときには、とうとう真実を掴んだと言う気がしました。

しかし今にして思えば、そんなの人類史のほんの先っちょの話ですよね。爪の先さえ見ればその人を見通せる、という人もいるのかもしれませんが、多くはそうではないはずです。

研究チームは今回、古代の骨から遺伝物質を抽出するのではなく、現代人のDNAを分析する方法を用いて、物理的な痕跡を残さなかったかもしれない祖先集団の存在を推測しました。

この研究で使用されたデータは、アフリカ・アジア・ヨーロッパ・アメリカ大陸の各地の集団からDNAを解析した「1000ゲノムプロジェクト」という国際的な取り組みから得られたものです。

その結果、現生人類の祖先は約150万年前に2つの異なる遺伝的集団に分岐していたことが明らかになりました。

その後、2つのグループは互いに交わることなく別々に生きていたようですが、約30万年前に再び2つのグループが融合していた遺伝的証拠が見つかったのです。

【人類進化の秘密】現生人類は「2つの祖先の再融合」で誕生していた! ナゾロジー

人類の歴史の闇に消えていった、もう一つ人類の存在こそが、対立の源泉であると、今は考えているわけです。

始めから女性的だった人類

「人類の最初の祖先」という地位は今やルーシーではなくアルディのものとなったわけだが、これは、人類の系図を表面的に書き換えるだけでは済まない。ルーシーの発見以来、人類の起源はサバナ[疎林と潅木を交えた熱帯草原地帯]にあるとされてきたが、アルディは森林地帯に生息していたと見られる。さらに、科学者らはルーシーの骨格から、人類と他の類人猿の最後の共通祖先はチンパンジーに似たものだと判断していたが、アルディの発見で、そうした判断は否定されることになる。

(中略)

しかしラミダス猿人は、チンパンジーの典型的な特徴(オスが持つ大きな犬歯など)をほとんど持っていない。これは、チンパンジーに見られる非常に攻撃的な社会的行動を、ラミダス猿人が早い段階で行なわなくなったことを示していると研究者らは言う。[犬歯の縮小は人類の大きな特徴とされる]。こういったことは、チンパンジーや大型霊長類には、ヒトと枝分かれしてからかなりの変異が起こったことを示している。

最古の「人類の祖先」はルーシーではなくアルディ(ラミダス猿人) wired

人類は、初めから女性的だったというお話を書かせていただきましたが、後に続く、ルーシーの時代はどうだったのでしょうか。

有名な映画『2001年宇宙の旅』の冒頭に、宇宙から来た謎の物体によって、猿人の知性が目覚めるシーンがある。知性に目覚めた猿人は、動物の骨を使って、狩猟や仲間同士の殺し合いを始めるのだ。これは、この説に基づいたシナリオである。

 しかし、この説にはいくつか問題がある。まず、ダートがこの説の直接の根拠とした、ヒヒやアウストラロピテクスの頭骨は、実は骨で殴られていなかった。ヒョウに襲われたり、洞窟が崩れたりしたために、頭骨に傷がついたことが、後の研究で明らかになったのである。

 また、そもそもアウストラロピテクスは肉食でなかった。腸が長かったことなどから、植物食だったと考えられる。だから、狩りはしなかっただろう。

 さらに、道具を使い始めた年代も合わない。骨を道具として使い始めた年代はわからないが、石器ならわかる。最古の石器は約330万年前のもので、犬歯が縮小した約700万年前とは年代が合わない。つまり、犬歯が小さくなった約700万年前に、武器などの道具を使った証拠は見つかっていないのである。

 以上に述べたように、「人類というものは何百万年も前から狂暴な生物だったのだ」という説には根拠がない。やはり、牙がなくなったおもな原因は、人類同士(おもにオス同士)の争いが穏やかになったためと考えてよいだろう。

人類は「凶暴な生物」なのか? ダイヤモンド・オンライン

そう、やはり我々の祖先は、女性的な、平和な生き物だったのです。

こいつらは臆病な平和主義者だ。よけいな気をきかさんでも手は出せんさ」

と、『ドラゴンボール』のベジータさんは言い放ちましたが、学者よりも我々の本質を知っていたと言うことになるでしょう。

で、アウストラロピテクスの最初期の化石である、有名な「ルーシー」は女性の化石です(アルディことラミダス猿人の化石も女性)。ルーシーの愛称がどこからつけられたかと言えば、ビートルズの楽曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」からなんです。

ルーシーは、ダイヤモンドとともに「そら」にいる・・

「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」という楽曲は、いわくつきのようで、その意味不明な歌詞は、LSDを吸ったときの気分を表現しており、頭文字が、(L)ルーシー・イン・ザ・(S)スカイ・ウィズ・(D)ダイアモンズ になっているとの疑惑があったようです・・。

なにはともあれ、人類は最初期から、女性の尻に敷かれる存在だった可能性は高そうなのです。そして、はっきりとした証拠は示されないものの、「彼女ら」から、当ブログの「カミ」こと、ホモ・エレクトスを経て、現在の私たちに繋がると考えられているようです。

しかし、その時期にはもう一つの人類の祖先候補がいたといいます。

 しかしいまだに、ホモ・ナレディが系統樹のどの位置に加えられるべきなのかはわかっていない。ほとんどの研究者は、ホモ・サピエンスの直接の祖先は180万年前に出現したホモ・エレクトスであるという点で同意している。しかし、バーガー氏の分析では、骨の年代が比較的新しいという点はともかく、その形態から見ればホモ・ナレディのほうが人間の祖先候補として適しているのではないかとも考えられる。

謎の人類ホモ・ナレディ、生きた年代が判明
現生人類と同時期に生きた可能性、新たな化石の発見も ナショナル・ジオグラフィック

また、非常に興味深いことに、「ナレディ」とは、現地のソト語で「星」を意味し、つまり「ホモ・ナレディ」とは、星の人という意味だそうです。そして、個人様のブログに「ホモ・ナレディ」に関する、雑誌版のナショナル・ジオグラフィックの記事の引用があったのですが、

しかしタッカーとハンターには洞窟探検のスキルはあっても、発掘調査のスキルはありません。そこで古人類学者のリー・バーガー博士らが中心となって、「細身の発掘調査チーム」を募集。
 応募により資格を得た全てが若い女性だったというメンバーを、バーガー博士は“地下の宇宙飛行士”と呼びました。

ミッシングリンクをつなぐ存在か? 新たに発見されたヒト属の新種「ホモ・ナレディ」 付録部

ホモ・ナレディの化石は狭い洞窟から発見された為、その発掘チームが細身の若い女性で構成され、「地下の宇宙飛行士」と呼ばれていたんだそうです。なんだかなあ・・

新人類の誕生

そして、ここから先の展望は、割と分かりやすいんではないかと思います。

約4万年前まで存在していた旧人類、ネアンデルタール人が絶滅した理由は諸説あるが、新たな研究によると、現生人類であるホモ・サピエンスと争いを繰り返していたわけではなく、性交するようになったことで滅んだ可能性があるという。

争いではなく愛だった?ネアンデルタール人はホモ・サピエンスと肉体関係を持つことで滅んでいった可能性 カラパイア

そう、やはり、人類が一種類になったのは、愛の結果だったのです。

 だが、両者が急接近したのは、最初の出会いからいきなりだったわけではない。むしろ約6万年前、私たちの祖先がより大規模な移住をするようになってからのことだ。

しかし、そこに最初から愛があったわけではなさそうです。

ホモ・サピエンスは、今から約15万年前にはすでに東アフリカで暮らしていて、他の地域に進出して他の人類種を絶滅に追い込み始めたのは約7万年前です。その間の約8万年は、他の人類種に対して、これといった強みを持たなかったようです。それどころか、約10万年前、ホモ・サピエンスの複数の集団がネアンデルタール人の縄張りだったレヴァント地方(地中海東岸の地方)に移り住んだときには、ネアンデルタール人が勝利し、ホモ・サピエンスは撤退して、ネアンデルタール人が中東に君臨し続けていた証拠が残っています。

ところが、ホモ・サピエンスの複数の集団が約7万年前に再びアフリカ大陸を離れると、ネアンデルタール人をはじめとする他の人類種をすべて中東から追い払ったばかりか、地球上からも一掃してしまいました。

SPN JOURNAL

15万年前に、彼らの間で大規模な戦闘があったとは思いませんが、ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人に追い払われた格好になったことは間違いなさそうです。

しかし、7万年前に彼らが再会すると、今度は、突然愛が芽生えてしまった・・。「あの日 あの時 あの場所で~」、まさに小田正和の『ラブ・ストーリーは突然に』。

彼らに、いったい何があった?

パンドラの箱

ネアンデルタール人の遺伝子を受け継いだ現生人類であっても、ネアンデルタール人のミトコンドリアDNA(母からしか受け継がれない)は持っていない。

 このことは、ネアンデルタール人の男性とホモ・サピエンスの女性とでしか子供を作れなかったということかもしれない。

この時、ホモ・サピエンスに「ヴィーナスの誕生」があったと考えれば、ドンピシャです。

さらに13万5000年前と9万年前に東アフリカでひどい干ばつが発生、そして7万年前には極端な気候変動によって人類はついに消滅の危機に瀕するほどの少数にまで激減し、一時は2000人ほどになっていたようです。

人類は7万年前に絶滅寸前、全世界でわずか2000人 gigazine

ホモ・サピエンスは、過去2回の干ばつでアフリカを逃れ、北上したのではないでしょうか。そしてそこで、ネアンデルタール人と出会った。だが、ホモ・サピエンスは恐らくその弱さゆえに撤退せざるを得ず、絶滅の危機に瀕したのです。

そして、もはや、生きるに残された道はただ一つ、それは水のなかへ入ることだった。

ギュスターヴ・モロー『海から上がるヴィーナス』

これが、奇跡の始まりとなりました。私たちの祖先は、海の恵みにより危機を乗り越えた末、強くなってではなく、なんと!さらに弱くなって、再び地上に現れたのです。

それは、絶滅寸前に追い込まれたホモ・サピエンスの起死回生の一手となりましたが、動物の世界においても、前代未聞の出来事だったのではないでしょうか。我々を絶滅の危機から救ったのは、(女の)裸だったというわけです。再会の時には、全裸だった・・私たちが体毛を失った時期は、はっきりとは分かっていませんが、もっと大分早い時期、100万年以上前とかが一般的ではあるようです。

ところで、アタマジラミからコロモジラミが分かれたときに人間が衣服を着始めたのではないか。そう考えた研究者が、2種類のシラミの遺伝子を調べてみたそうです(*3、ドイツ、マックス・プランク進化人類学研究所の研究者による論文)。すると、コロモジラミが出現するのは、約7万2千年前だということがわかりました。

我々が「裸」になった理由を遺伝子から考える Yahooニュース!

しかし、それが”ごく最近”のことであれば、『ラブストーリーは突然に』は、必然の成り行きです。しかし、同時にそれは、人類史における「パンドラの箱」となったのかもしれません。

パンドーラーは、ギリシア神話に登場する女性である。人類最初の女性とされており、神々によって作られ人類の災いとして地上に送り込まれた。パン(Παν)は「全てのもの」であり、パンドーラーは「全ての贈り物」を意味する。

「パンドーラ」 ウィキペディア

例え、そんな「災い」の中にあったとして、それに抵抗した人たちがいたとしても不思議ではありません。「ヴィーナス」に吸収されること、つまり絶滅を拒んだ人たちがいた・・。

そして、それは恐らくそれは彼らの中の誰かではないのではないでしょうか。

研究者は、この加熱調理を行ったヒト属は更新世に生きていたホモ・エレクトスの可能性が高いと推測しています。

(中略)

火の発明は、多方面に多大なる影響を及ぼし、ヒトを大きく飛躍させました。

今回の発見は、その飛躍が予想よりずっと早く起こっていたことを示唆しています。

78万年前に焼き魚!ヒトが「火を使った料理」の最古の証拠を発見 ナゾロジー

彼らは、文明の創始者です。神話の中では、火は「カミ」が「ヒト」に与えた技術です。

プロメーテウスが天界から火を盗んで人類に与えた事に怒ったゼウスは、人類に災いをもたらすために「女性」というものを作るようにヘーパイストスに命令したという。

「パンドーラ」 ウィキペディア

最も長く生きた人類である彼らは、何万年という時の中で、ある計画を立ち上げ、問題の解決に動いた可能性があるのではないでしょうか。その計画とは、ホモ・サピエンスに、「たった一つの物語」を見せることだったのではないか。

これから地球は危機に陥り、そこから救われるというストーリーです。

「地球は有限です。世界経済と人口が今後も成長していくには、宇宙に行くしかありません」。1982年のマイアミで、当時まだ高校生だったジェフ・ベゾスは地元新聞の取材にこう答えていた。37年たったいまも、その想いは彼を動かし続けている。

ジェフ・ベゾスは、 地球を救うために宇宙を目指す wired

救われる側ではなく、救う側に回るヒトも。

人類が宇宙で暮らす準備はすでに始まっている。それは決して一世代では成し遂げられない野心的なヴィジョンだ。それでも、ベゾスは冷静に未来を因数分解しながら、足元で着々と開発を進めている。

「プランBは存在しません」と、ベゾスは強い眼差しで断言する。「地球を救わなきゃいけないんです。わたしたちの孫とその孫の未来から、ダイナミズムと成長を奪ってはいけません」

場合によって、それは「夢」という、ポジティブな言葉に変換されました。

あなたは、「人類の夢」に同意しますか?

今日人類がはじめて 木星についたよ

ピテカントロプスになる日も 近づいたんだよ

さるには なりたくない さるには なりたくない

『さよなら人類』 たま うたねっと

それとも、「カミの計画」に同意しますか? それはずばり、地球に残って、ピテカントロプス(ホモ・エレクトス)になる、ということでしょう。

今日人類がはじめて 木星についたよ

ピテカントロプスになる日も 近づいたんだよ

さるに なるよ さるに なるよ

「空想を語るヒト」か「現実を生きるサル」か、二者択一の未来は確実に迫っている、それは現実ではないでしょうか?