トランプ氏の関税をきっかけとして、景気後退が、声高に叫ばれるようになってきました。経済的に、そして政治的も、今後景気後退に陥ることはほぼ間違いないと思われます。

グラフ

なぜ、そう言えるかと言えば、それは単に経済予測的にという部分ももちろんありますが、今回はそれ以上に「政治的なフラグ」が、多数立っていることが確認できます。

トランプ氏は2020年の大統領選挙キャンペーン中から最近に至るまで、バイデン氏の下で米経済が災厄に見舞われると予言してきたが、これは実現していない。トランプ氏は先月、自身が今年再選されない限り、フーバー大統領時代の1929年の株価暴落が引き起こしたような大恐慌が起こると主張した。

トランプ氏、米株価急落と経済崩壊がバイデン政権下で起こること望む ブルームバーグ

その最も分かりやすいものがこちらで、トランプ氏自身がそれを予言していたと言うことです。彼の予言は当たりますよ、当ブログは予想してきたわけであり、今回もそうなるぞと言うことです。

その中で前回もお伝えした通り、こちらがそのスケープゴートに選ばれてしまったような感もあります。

任天堂スイッチ2、調査会社が販売台数予想引き下げ-トランプ関税で

ブルームバーグ

とは言え、任天堂が負ける、と言うことはないでしょう。ただ、景気後退の象徴として、販売数が予想を下回る、その象徴として任天堂が選ばれてしまった可能性が高いと予想しています。

今日は決算発表シーズン最終日にあたる。何らかの不祥事を起こしたり、問題が発覚した一部の企業は来週以降に決算発表を予定している企業もあるが、ざっくり20社程度である。なりふり構わず関税を発動するトランプ政権の発足で、業績予想を過大に下方修正する企業が多くでるのではないかと予想していたが、自動車株の一部などむしろ過大とも思われる出来過ぎの業績予想を出す会社の方が多かったと個人的には感じている。

『山本伸のいいたい放題』

著名株式評論家の山本伸氏によれば、いつも弱気のはずの日本の業績予想が、なぜか今回は、強気一辺倒になっていたと言います。これは、2月14日の記事ですが、読んだときに「これは来るな」と思いました。どこにも書かなかったので、後出しじゃんけんにはなってしまうのですけどね。

好景気のワケ

これまでも散々書いて来た通り、景気が悪くなるのは、そもそも分かり切った話であり、意外だったのは、米景気の経済指標が良い状態が、長らく続いていたと言うことです。

米商務省が25日に発表した、米国の2023年10-12月の実質GDP(国内総生産)成長率は、前期比年率3.3%で、事前の市場予想(2.0%増)を大幅に上回りました。個人消費が強く、「インフレと金利上昇によってそろそろ消費にブレーキがかかる」とみていた市場予想を裏切り、異例の強さとなりました。

強すぎる米景気。ノーランディングで成長続く?米利下げ遠のく(窪田真之) トウシル

これも理由はとても分かりやすく、その原因は移民にあったのです。

こうした効果の原因は、移民が市場の需要を増やし、サービスを提供し、仕事を増やし、税金を払うためとみられる。今回の研究は、こうした経済活動が、移住者に対する政府の経費にはるかにまさることを示した。「その1つの理由は、移住者は、高齢者よりも、国の給付金に頼らない、若い人や中年の成人が多いことかもしれません」とdʼAlbisは指摘する。

移民と難民は経済に好影響 NATUREダイジェスト

これはかなりイメージしやすいことでしょう。強すぎる米景気、というよりも経済指標を支えていたのは、移民だったのです。バイデン政権が、「強すぎる米景気」の要因を断ったのは、ちょうど昨年の暮れの少し前です。

米国のジョー・バイデン大統領は9月30日、不法移民の入国を一時制限する6月4日の大統領布告(2024年6月5日記事参照)について、一時制限を決定する際の基準を示す布告を発表

バイデン米政権、不法移民の入国規制基準の厳格化を発表 JETRO

その後、米国の経済指標は目に見えて悪化していきました。

仮にトランプ氏が大統領に再選されれば、移民の流入は急減し、米国経済の堅調を支えてきた要因の一つが失われる可能性があるだろう。

「米国大統領で争点となる移民急増の光と影」 &未来創設ラボ

ですので、ここでの景気後退は仕組まれてたものだった、ことは明らかでしょう。

台風の後

しかし、それが格別悪いことという風には、当ブログは捉えません。台風が起これば、犠牲者はある程度は出るでしょう。

-しかし経済成長を止めると、日本人の生活水準が下がりませんか。

水野氏:生活水準が下がるのではありません。企業に乗せられていた消費者がサービスや商品の過剰な購入をやめ、正常な生活様式に戻るのです。例えばファストファッションなどの登場で、衣料品の価格が下がりました。これによって人々は本来Tシャツを1枚買えばいいところ、余計にもう1枚買うといったことが行われています。

亡国への分岐点(下)経済学者・水野和夫氏「日本こそ理想社会だ」 日経ビジネス

しかし、恐らく「カミの筋」は、「異常」を「正常」(自然)な状態に戻しているだけです。ほとんどの人は、「異常」を「正常」だと信じているだけなのです。

中国商務省の報道官は、トランプ政権が導入した「異常に高い」対中関税について、「米国の横暴かつ威圧的な態度を一層際立たせるものであり、いずれ国際的な嘲笑の的となるだろう」と強く批判した。

中国、米に125%の報復関税も「これ以上は無視する」 afp

私たちの信じていた「正しい世界」は、もはや崩壊寸前です。

その昔、ブロック経済の導入から世界大戦に繋がっていったわけですが、今回もその流れが繰り返されていることは、もはや誰の目に明らかでしょう。これが朗報とは流石に思えませんが、恐らく過去の二度の大戦と同じではなく、その形態は冷戦、みたいなことになると予想します。