最近、ギリシャ記事ばかりだったので、少々遅くなってしまいましたが、非常に残念なことに任天堂の岩田聡社長が55歳と言う若さで亡くなってしまいました。

ネットで見るとかなり愛された経営者であったということが分かりますね。また、天才プログラマーと言う評もとても多いようです。さて、そんな故岩田社長の意外と知られていない? 当ブログ的視点でのすごさを書いてみたいと思いました。

 

それは何か、ズバリ書きますと、任天堂と言う会社はハードウェア開発会社でありながら、ハイテクを否定するという極めて困難なことをやっているということです。TVゲームは最新のコンピューターを駆使した美麗なグラフィックを搭載することが世界の主流になっており、事実PS4はそれで成功を収めています。PS4の成功の理由は何かというと、ハイテクノロジーを搭載していると言う一点につきます。悪く言うと、特徴はそれだけです。

しかし、任天堂にはこの逆をやろうと言う思想が見えるのです。

 

岩田さんの任天堂での大きな功績の一つである、皆さんご存知のWiiの爆発的なヒットですが、これはその好例です。これは正に、任天堂がコンピューター関連会社でありながら、ハイテクノロジーを否定する方向へ舵を切り大成功を収めたということを表しています。

「テクノロジーだけのゲーム機はもう限界にきている」

wii発売前に岩田社長が語っていたことです。

 

Wiiはテクノロジーの進化を選ばなかったゲーム機です。TVゲームと言うハイテクが当たり前の業種にあって、遊びという極めて人間的、文化的な方向によってその価値を守ろうとし成功したということは、実に高尚な、驚異的なことではなでしょうか。そして、これは岩田さんが意図的に主導したことです。

 

常識にすら反抗して立つためには、真の偉人となるを要す

~ 『悪霊』 ドストエーフスキー ~

TVゲームの世界ではハードに最先端のテクノロジーを搭載することが、売り上げの絶対条件というのが、常識でした。岩田さんはそんな常識を覆した真の偉人ということでしょう。

 

そんなTVゲーム業界、ハイテク産業界において稀有な方向性は、つい最近までも貫かれていました。そして、DENAとの業務提携発表や、新型ハードの投入のニュースなどで株価も高騰、上場来高値に向かって動き始めたと見ていたのですが、この先、果たしてどうでしょうか!?

ぜひ、任天堂には今後も岩田氏の遺志を受け継ぎ、この実に崇高な挑戦をし続けて行ってもらいたいなと思いますね。任天堂、岩田さんが追求したのは機械的なテクノロジーではなく、その対極にある人間らしい「遊び」、だったのではないでしょうか。任天堂は世界に誇るべき日本の企業だと私は思います。

 

2016年7月17日追記

任天堂が『ポケモンGO』というスマホゲームをリリースし、世界的に社会問題化しています。やはり、この会社の持つ底力は凄いものがあります。このゲームの製作には「外でも遊んでほしい」という岩田さんの思いがあったとか。そこにあるのは新たな遊びを生み出す工夫ではないでしょうか。任天堂には常にそれが存在している気がしています。

そして、もう一つ言えることは、任天堂はいつでも世界的な現象を巻き起こせる力を秘めながら、それをあえて抑え続けていたということです。

なぜ、任天堂は、岩田さんはそれをしなかったのでしょうか。おそらくそれは、スマホと言う他社が作ったプラットフォームへ歩み寄ることを良しとしなかったからでしょう。彼は自分たちの創る方向へみんなの目を向けようとしていたのです。しかし、その大きな野望は一ゲームメーカーにはあまりにハードルが高かったのかもしれません。

とうとう、彼は自分たちから歩み寄るという大きな決断をしたのです。もしかすると、岩田さんは自分の死期が近いことを悟っていたのかもしれません。だからこそ、最期の大いなる決断を下したのかもしれません。