チプラスがメルケルに完全敗北を喫し、EUの要求を丸呑みしてしまいました。
しかし、まさか、こんなつまらない結果になるとは・・。
メルケルがチプラスに屈することはあり得ないので、交渉は決裂しかないと読んでいましたが、まさかのチプラス完全敗北。
彼の求めていた債務再編はまったく獲得できず、「中長期的には得た」と言っているようですが、負け犬の遠吠え状態のようです。
私も過去2回にわたっては、チプラスを持ち上げるような記事を書き、もっと劇的な心躍る展開を期待していただけに、ギリシャ国民とともに裏切られた気持ちです。私の記事を読んでくれた方にも、申し訳ないとしか言いようがないでしょう。
ここまでの彼のというか、ギリシャの急進左派連合のシナリオは完ぺきでした。ユーロ離脱に向けて国内世論をまとめていたのですから、見事としか言いようがありません。しかし、最後の最後でリーダーが逃げ出してしまいました。いくらメルケルが相手とはいえ、これはないんじゃないでしょうか。
交渉と言うのは最終的にはテクニックや知力ではなく、気合と根性です。そして、リスクを恐れた方が負けます。EU側はギリシャが離脱しても困らないシステムを作っているのですから、チプラスがメルケルと対等に戦うには、ユーロ離脱を本気で覚悟するしかなかったのです。
そのための土台作りをしてきたのだと思ったのですが、最後の最後で彼は怯み、しっぽを巻きました。
足りなかったのは、知性ではなく、歴史の革命を志すリーダーとしての器、その一点だけではないでしょうか。これは普通の人にはよくあることですよね・・。つまりは彼は革命家としての、器は持ち合わせておらず、単なる馬鹿でも坊ちゃんでもない打算的な極めて普通の人だったという非常につまらない結論に行き着くことなってしまいました。
国民とともにユーロ離脱をちらつかせれば、メルケルに勝てるとでも思ったのでしょうか? 本当に本気で国民と死ぬ気でなければ、勝てるはずないし、革命など起こせるはずもないのですね。
私は彼に一瞬でもギリシャ国民を救う歴史の革命家を期待したのですが、はかなく幻と消えました。このままでは、やはり彼は「いっそう淋しい未来の私」へ一直線でしょう。
そして、もう一つ言えることはドイツにしても必ず勝てばいいと言うものではないと言うことも言えるのではないでしょうか。人間関係においては負けるということが実は重要なカギを握っている気がします。
お店が値段を安くることを「負ける」と言いますよね。まあ、そういうことです。今回のドイツに対しては、「やりすぎだ」との声もあるようです。いずれこう言ったことがしっぺ返しとして、ドイツに返る可能性には注意しておくべきなんでしょう。
そして、今回チプラスはしっぽを巻いて逃げましたが、ギリシャ国民の感情はそうではないことも忘れてはならないことではないでしょうか。
追記
前FRB議長のバーナンキさんが、
「ドイツはユーロ安を恩恵を独り占めにしている!」
とドイツを批判したというニュース記事が出てました。「ドイツにしても必ず勝てばいいと言うものではない」ということを書いたのですが、これはそんなことではないでしょうか。世界が人の心で動いている以上、一人勝ちと言う状態に賛美が送られるはずもありません。
メルケル、ドイツ国民はこんな世界の心理を理解していますでしょうか? まさか、チプラスがそこまで計算して敗北?
なんてことはあるはずもないですが、ドイツは今後どこかでわざと負けを選択しなければならない場面に出くわすかもしれませんね。