佳境を迎えている「ギリシャ債務問題」ですが、前回の記事を書いてから、ギリシャ側が大幅に譲歩した、などと言うニュースが流れたり、ギリシャの「一時的なユーロ圏離脱」をドイツ政府が提案した、という記事も出たりとまさに混沌とした状況になっています。

 

「国民投票でNOを出したのに、なぜ今更譲歩するのか?」

「なぜギリシャが譲歩したのにドイツが一時的なユーロ離脱を提案するのか?」

など、ニュースを普通に追っているだけではまったく訳が分からないと思います。

 

ですが、今回私は題名にもしていますが、とうとうその答え「チプラスの本当の意図」をつかんだような気がしています。謎はすべて解けた! と言う心境です。その答えを解く鍵は次の記事に。

<ギリシャ危機>債務再編が焦点に

ここに書いてあることで重要なのが、譲歩の代わりに突きつけた彼の真の要求です。

 

「借金を減らしてくれ(無くしてくれ)! であればユーロにとどまる」

これがそれです。

 

「債務再編が初めて真剣に検討されている」

チプラスはこう訴えたと書いてあります。これは債権者側(ドイツ)が一番嫌うことです。ギリシャの借金を債権国の国民が肩代わりすることを意味するからです。だから、それを言われたドイツがギリシャを一時的にでもを追い出そうと言い出したのです。

チプラスは単に譲歩したのではありません。これからの緊縮策を受け入れてでも欲しいものを要求したのです。最後の審判とでも言える要求。それが債務再編、わかりやすく言えば借金の免除です。

 

なぜ、このタイミングでそれを出したのか。その鍵を握るのが先日の国民投票です。チプラスはそこで国民からユーロ離脱の許可を得たのです。

 

「われわれはこれで有利に交渉を進められる」

 

これは、国民投票の結果を受けて、チプラスが語ったことですが、初めはやはり意味が解りませんでしたが、「ユーロ離脱の可能性が高まる最後の要求をEUに突きつけることが出来る」と捉えれば、がぜん納得がいくのではないでしょうか。

 

チプラスはこの結果、ドイツがギリシャをユーロ離脱へ追い込むことを十分知っているでしょう。メルケルがギリシャの要求に屈するとはとても思えません。実際、一時的なユーロ離脱の提案がドイツから出て来ています。が、それでも、もはや彼は少しも怖くないのです。

 

恐るべきはチプラスです。私も最初は完全に彼を甘く見ていました。彼は、はじめからユーロ離脱の覚悟を持ち(それを目指していたと思えるくらいです)、その準備を着々と進めていたのだと思います。かなり早い段階からロシヤや中国に接近しているというニュースがありましたし、先日ご紹介したドラクマの復活準備のニュースもそうです。

 

そして、すでにどちらに転んでも、チプラスに敗北はない状態になっています。あり得ないと思いますが、債務再編を獲得できれば、緊縮を飲んだことなど、国民は納得するでしょうし、最悪の結果と言われた「ユーロ離脱」と言うことになっても、すでに国民はそれを支持しています。つまり、もうそれはギリシャ国民にとって最悪の結果ではなくなっているのです。

 

これらはすべてチプラス首相が主導してきたことです。当ブログで初めてこのニュースを取り上げた時、

 

チプラス首相が本物の坊ちゃんである限り、敗退するということになります。そうならないためには、彼の「坊ちゃん」はあくまでも政治家としての見せかけの戦術であり、本当は「したたかな偽物」である必要がある

 

と書いたのですが、彼は極めて「したたかな偽物」だった可能性が、かなり高いと言うことが言えるのではないでしょうか。そして、株式市場が期待する「合意」は夢のまた夢ということなんだと思いますが、いかがでしょうか!