国際政治分析者の北野幸伯氏はよくこう言っていました。イデオロギーの良し悪しではなく、勝つ方に付く方が最も重要なことで、今回それは「自由民主主義陣営になるだろう」と。彼の読みはこれまでとても当たってきましたが、今回ばかりは全くもって外れたと断言していいでしょう。

すでに、私たちの負けは確定しました。日本は再び、前回と同じ過ちを繰り返し、負ける方についてしまっているのです。

負けを認めることから始まる

自由主義諸国は全て、共にアフガニスタンで、敗北した。この深刻な事態の客観的な認識なくして、われわれは次の一手を構想することはできないだろう。

アフガニスタンで敗北したのは、自由主義諸国全てである sakisiru

まず、何より大事なのは、こちらの筆者も言う通り、現実を認識することでしょう。

アメリカがこんなにも無様に負けることを察知出来ていた人はそうはいないでしょう。日本の一部の政治家はさすがで、その潮流を確かにつかんでいたようです。だが、いかんせん、彼らには力がないのです。

そして、国民はと言うと・・・。

私自身に関しましては、読んで頂いている方はご存知の通りで、2019年までは米側が優勢だと思っていました。トランプ政権の戦略がうまく行ければ、6割方米側有利と見ていました。

しかし、2020年になると、状況が一変。私は米国の勝利がないことを確信し、そして、信じていたよりもはるかに米側が雑魚であったことに気がついてしまいます。

このままだと30年後の覇権は中国が握ることになる、とスティーブ・バノン氏は言いましたが、30年も持たないでしょ。もって、5年と私は読みます。

いずれにせよ、受け止めなければならないのは、敗北の事実だ。

代わって中国がタリバンと蜜月関係を築いて一帯一路の影響圏をアフガニスタンに広げる。アメリカと敵対するロシアやイランも、タリバンによるアメリカの影響力の駆逐を歓迎している。「クアッド」でアメリカと結ばれたインドの影響力が、アメリカの撤退によってアフガニスタンから消滅することを、パキスタンは喜んでいる。アフガニスタンからの撤退は、バイデン政権が見通す「民主主義諸国vs専制主義諸国」の世界において、自由主義陣営の退潮を象徴する事件だ。自由主義諸国は、明らかに劣勢にある。

中国はそんなに悪いのか?

アメリカに勝つことが確実と思われる中国ですが、そうなると、気になるのが、彼らの本当の性質ですが、これを知るのはかなり難しいですね。欧米メディアの論調をそのまま信じるのは論外としても、情報が全くないんですよね。

そして、最高指導者の習近平さんなんですが、基本的に全くしゃべりません(笑)。だから、何を考えているか、分からないのです。

じゃあ、手がかりを探すにはどうしたらいいのかと言うと、周りがどういっているか、から推測するしかありません。

例えば、つい最近、彼はこう言っています。

 ソロス氏はこれまでも習氏の経済政策を手厳しく批判してきたが、中国の「改革・開放政策の祖」である鄧氏を引き合いに出して、習氏が鄧氏の政策を否定していると断定するのは初めて。

(中略)

ソロス氏は「鄧氏は1970年代から90年代にかけて、中国よりも西洋社会のほうがはるかに発展しており、中国は西洋から学ぶべきことが多い」との考えを持っており、西洋が支配する世界システムのなかで中国が台頭することを望んでいたとして、「彼のアプローチは驚異的にうまくいった」と評価している。

ジョージ・ソロス、中国・習近平の矛盾した経済政策を容赦なく批判…中国向け投資に影響も Business Journal  

習近平は、俺たちの言うことを聞かない糞野郎だ!

しかも、その口調は以前より激しくなっているようです。つまり、このタイミングで、習氏が欧米の国際金融資本の排除に本腰を入れ始めたと考えることに何らの違和感もないでしょう。

以前の記事で習近平は、実は以外にいいやつかもしれませんよ、と書きましたが、それはともかく、彼が相当のやり手であることは間違いありません。

世界のリーダーの証明

中国の習近平国家主席が、富の再配分計画の具体化に乗り出した。17日の共産党中央財経委員会で示した声明によると、習氏は「不当な所得」を抑制し、賃金を引き上げ、中所得層を拡大したい意向だ。

コラム:習主席が所得再配分に本腰、始まりは富裕層へのムチ ロイター

私はこの記事を読んだとき、衝撃を受けるとともに、とても悔しかったですよ。

「ああ、完全にやられた! 完敗だ!」

と思いました。この政策は、今、人類が最も望んでいることです。習氏はそれを、欧米支配層の力が衰えたこのタイミングで本格的に実行に移してきました。これは見事、完敗だという以外ありません。

「自由主義陣営」では米国の民主社会主義が、その実現の可能性を感じさせる唯一の勢力になっていますが、それでもまだまだ遠い道があるでしょう。欧州などでは少し芽が出来てきたた程度、日本では「そんなことをしたら経済が壊れる」という富裕層の言い逃れが、そのまま信じられているというレベルです。

もちろん、格差を是正したら経済が壊れるなどという合理的な根拠は見当たりません。むしろ、その逆だという例はいくつもあるのです。

さらに、バイデン大統領の「民主主義対専制主義」という「決めつけ」を、「国家間ではなくアメリカ内部の問題。民主主義が勝つつもりなら、権威主義より人々により良い生活の質を提供できることを実証するべき」と主張した。

台湾寄りで中国刺激続ける日本に「ハシゴ外し」のリスク。アメリカの対中政策に「変化の兆し」 BUSINESSINSIDER

米民主社会主義者のサンダースは、自由主義陣営が素晴らしいというのなら、それを国民に証明して見せろ、と言いました。しかし、誠に残念なことに、世界にそれを証明をするのは中国になりそうな予感がプンプンしています。

今後、民主社会主義的な思想が自然と広まっていくことが予想されますが、それは世界が中国を手本にする時代になっていくということです。

欧米べったりから、思考を取り戻せ

元々日本は中国を遣隋使の頃からお手本にしていった国家。江戸時代に入っていくら鎖国しても中国とは関係を結んでいました。日本はこのアヘン戦争の経過とその後の清の惨状を見て「あれ?これからは清ではなく西洋諸国をお手本にすべきじゃね?」と考え始めるようになり、「そうだ‼︎交易をしているオランダから西洋の書物や技術を学んで行こう」という風に江戸幕府はシフトチェンジをしていきます。

イギリスが悪魔すぎ!中国の分割を決定づけた「アヘン戦争」はどんな戦争だった? RINTO

昨今の情勢を鑑みるに、そろそろ日本は、隣国といがみ合う「仕組まれた」思考回路を見直すべきだと思います。これは国民一人一人がですね。政治家は分かってますよ。

中国が恐ろしいと考えるのもわかります。というか、私自身2019年まではそんな感じで書いてましたからね。確かに彼らは、そういう一面も持っているのです。しかし、きちんと見てみると、現在の習政権は、恐ろしい部分を排除する方向に動いているように見えます。

中国共産党は「黒社会」と呼ばれるマフィアなど犯罪集団の全国的な取り締まりに乗り出す。庶民の間では、地方幹部の一部が黒社会の後ろ盾となって暴利をむさぼっているとの不満が根強い。反腐敗闘争を続ける習近平(シー・ジンピン)指導部は「黒社会との闘争」を通じ、地方の末端幹部の汚職を摘発するねらいもあるとみられる。

中国共産党「『黒社会』と闘争」通知
反腐敗闘争、末端幹部にも拡大か 日経新聞

この「黒社会」ってなんでしょう。

黒社会が中国の政治と深く結びついてきた歴史も見逃せない。清朝の時代に成立した「青幇」と呼ばれる地下組織は、20世紀に入ってからも強大な勢力を誇った。国民党を率いた蒋介石は、この組織の力を借りて権力基盤を固めたといわれる。

地下組織?

巨大秘密組織

一方で上海は、列強諸国の租界が誕生し商工業が急速に発展した。それにつられて中国各地から移民、流民が押し寄せてきた。彼らが出身地ごとに団結し組織を結成した。七つあったその組織は統合が進み最終的に洪門(洪幇)と青幇が残り、地下社会を支配するようになった。当時の上海の人口300万人のうち四分の一が両組織に属していたといわれる。そのうち青幇はフランス租界の娯楽施設「大世界」の一帯を本拠地にしていた。この「大世界」は合法、非合法のあらゆる快楽が味わえる総合娯楽センターで1917年に親分の黄金栄(厳密では無字班輩)が建設した。

列強諸国の秘密組織? そうですよ。あいつらですよ。ジョージ・ソロスがぶち切れた訳、もう分かったも同然ですね。

イルミナティ=七光り軍団

皆様ご存知の通り、「秘密の腐敗組織」の連中が今、世界で進めているそれらすべては、恐らく彼らの親が何百年か前に計画したものでしょう。親の言いつけをきちっと守って、それをただ計画通り実施しているのでしょうね。

つまり、イルミナティって、ただの七光りって意味だったてこと。だから、たたき上げの習氏に、最初から敵うはずがなかったのです。

「西洋の自由民主主義・人権・市場経済を嫌う習の思想を現している。」

「習近平」 ウィキペディア

習氏は、欧米の国際金融資本家の手先にはならなかった。

今回の習批判は14日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に掲載されたもので、ソロス氏は中国の最近の経済政策やそれに違反した企業への罰則などについて、習指導部は鄧氏の大胆な改革の恩恵を受けている一方で、鄧氏の中国における影響力を「消し去っている」と指摘している。

ジョージ・ソロス、中国・習近平の矛盾した経済政策を容赦なく批判…中国向け投資に影響も Business Journal  

そして、奴らは負け惜しみを言っているということです。知れば知るほど、しょぼい! 夜な夜な泣いてんじゃないの?

「ママ、もう無理だ! 中国とロシアのおじさんが怖いんだ!」ってね。

勝負は既に決し、時代は変わるのです。