昨今の国際政治に於ける争いの源泉は恐らく、千年以上を遡ると思われます。歴史を追ってみると、現代へとつながる大河が浮かび上がってくるのです。

ヨーロッパの統一

歴史上、初めてヨーロッパを統一したのは、初代神聖ローマ皇帝となった、カール大帝。

こうして古典ローマ、カトリック、ゲルマン文化の融合を体現したカール大帝は、中世以降のキリスト教ヨーロッパの王国の太祖として扱われており、「ヨーロッパの父」とも呼ばれる。

「カール大帝」 ウィキペディア

彼は、文字通り欧州の支配者となりました。

結果としてカールの王国は現在のフランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、スイス、オーストリア、スロヴェニア、モナコ、サンマリノ、バチカン市国の全土と、ドイツ、スペイン、イタリア、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、クロアチアの各一部に広がった。このことによって、イギリス、アイルランド、イベリア半島、イタリア南端部をのぞく西ヨーロッパ世界の政治的統一を達成し、イングランド、デンマーク、スカンジナビア半島をのぞく全ゲルマン民族を支配してフランク王国は最盛期を迎えた。カールは、ゲルマン民族の大移動以来、混乱した西ヨーロッパ世界に安定をもたらしたのである。

カール大帝が支配のために利用したのが、キリスト教でした。

800年、カール大帝はローマ教皇レオ3世から戴冠され、「ローマ皇帝」となる。この瞬間、ヨーロッパの皇帝、王とキリスト教が結び付いた。

『ヨーロッパ王室から見た世界史』

で、私の研究によればですが、この辺りから現代の世界的な政争に繋がってくる大きなうねりが始まってきます。

キリスト教をぶっこわす

ヴァイキング時代の始まりとされるリンディスファーンの蹂躙は、カール大帝によるザクセン戦争、すなわちキリスト教徒による異教徒に対する戦争と時期を同じくする。歴史家のRudolf SimekとBruno Dumézilはヴァイキングによる攻撃は同社会におけるキリスト教の広まりに対する反撃ではないかと位置付けている[要出典]

「ヴァイキング」 ウィキペディア

帝国に対する海賊の逆襲。

これこそが、現代の二度の世界大戦を引き起こた上、現代の奇妙な国際政治の出来事を引き起こしている根本の原因ではないか、と私は思うのです。

Rudolf Simek教授は『初期のヴァイキングの活動がカール大帝の統治時代と時を同じくするのは偶然ではない』と分析する。カール大帝はキリスト教を掲げ、侵攻と拡大を繰り返しており、スカンディナビアにおけるその脅威は想像できる。また、キリスト教の浸透はスカンディナヴィアにおいて問題化していてノルウェーではそれが原因で1世紀に渡り深刻な対立が生じていた。通商・貿易面では、スカンディナヴィア人はキリスト教徒による不平等な条件の押しつけで苦しんでいたことが判明している。名誉を重んじ、名誉が汚された場合は近隣を襲撃することを厭わない文化において、上記のような原因で外国を襲撃することは考えられる[要出典]

それは、海賊と帝国の「ワンサウザントウォーズ」なのです。中現代は、「海賊王」と「皇帝」の争いの歴史。初代ドイツ皇帝がカール大帝なら、その後1,000年を超える宿敵となったと想像される初代海賊王は・・

ロロRollo、仏: Rollon、846年頃 – 933年)、洗礼名ロベールRobert、彼の子孫と区別するためにロベール1世と数えられることもある)は、ノルウェー人、デンマーク人の指導者で、間もなくノルマンディーとして知られるようになったヴァイキングの公国の創始者。

(中略)

なお、彼の子孫であるウィリアム1世はイングランド王となり、現在に連なるイギリス王室の開祖となったため、現在のイギリス王室はロロの血を引いている。

「ロロ」 ウィキペディア

さっき、海賊の襲撃のきっかけは、「キリスト教帝国」に対する反逆だったかもしれないことをお伝えしましたね。

米国でキリスト教離れが止まらない、教会の閉鎖も急増中

宗教に対する若者の信頼が崩壊、コロナ禍がダメ押し

JBPRESS

800年代、北部イングランドのキリスト教化が始まった地、「リンディスファーン修道院」をバイキングたちは執拗に襲撃しました。

それは現代でも起きていたのです。

世界大戦の結果

先の二度の世界大戦で、いったい何が起きたのでしょうか?

その答えはもう目の前にあるから簡単です。「帝国」が崩壊し、代わりに全体主義世界が出現しました。

世界経済の混乱を歓迎したのは、既存の秩序体制の周辺に位置して、そこからの脱却を主張で支持を集めていたドイツのナチスであり、イタリアのファシストであった。 スターリンが独裁体制を築きつつあったソ連も、アメリカに重心が移動した国際経済の埒外で独自の計画経済の進展を謳い、ソ連共産党主導下の国際共産主義組織コミンテルンが、世界各地で革命運動の工作を激化させた。

『興亡の世界史13 近代ヨーロッパの覇権』

まず、第一にこの二度の世界大戦は、「海賊」側の圧勝に終わったことを抑えておきましょう。「ヨーロッパ」だけではなく、ロシアでも2月革命が起きて、ロシア帝国が崩壊しています。

つまり、海賊たちは「帝国」を滅ぼすことに成功した後に、もっとヤバい世界を作ったのです。

繰り返しますけど、現代にクリソツです。

「人々の恐怖や怒りを武器にトランプ氏と、FOXニュースのタッカー・カールソンやジョージア州選出の下院議員マージョリー・テイラー・グリーンといった同氏の信奉者や熱狂的なファンは名高い共和党を攻略し、これを民主主義を破壊するのに申し分のないファシストに近い個人崇拝へと変えた」と同氏は書いている。

アメリカは2030年までに右翼独裁者に支配される可能性がある —— “暴力的紛争の研究者”が警鐘 BUSINESS INSIDER

ただ、慌ててはいけません。海賊王はRPGゲームのような、悪魔の大王による恐怖支配の世界を作ろうというのではないことは明確です。陰謀論者は、それを頑なに信じようとしているようですが、支配者は人間であるため、不合理な選択はしないのです。

「そうすると、トランプ氏のあとには同氏が作り出した混乱に秩序をもたらすべく、より管理の面で有能な支配者にとっての舞台が整うだろう」 とホーマー・ディクソン氏は書いた。

ファシズムがどうなったのか、と言えば「正義」に倒されました。歴史は、繰り返すのです。

歴史上、凄惨な出来事は数あれど、あれほど絵にかいたような醜悪さを醸し出した時代は、他にないのでしょう。あれは人工的に作りだされた、つまり「仕組まれた醜悪」だったのです。

ですから「正義」が勝つことは、初めから決まっていたのです。

現代のファシスト役が極右なのでしたら、新時代の有能な支配者とは、いったい誰になるのか。取りあえず、それは西側には存在しないことだけは、明らかです。

「国際金融通貨システムの支配的地位を利用した身勝手な制裁は、世界の人々に害をもたらす」と米欧の対ロ制裁を強く批判した。

 そうした米欧の振る舞いを念頭に「国際社会は覇権主義と強権政治に共に反対すべきだ」とも主張。「新興国や途上国の発言力を高め、各国国の平等な権利、ルール、機会を確保する必要がある」と呼びかけた。

対ロ制裁は「身勝手」 習近平氏、BRICSサミット前に米欧を批判 朝日新聞

今度の「正義」は、東側になりそうだ、ということはここ1年くらいで書いてきました。帝国(中道と左派)をファシスト(極右)が倒し、ファシストに東が勝つのです。

それが第三次世界大戦に用意された、過去の二度の世界大戦にそっくりなシナリオだと読みます。

別に悪い方向に向かっているわけではないのですよ。戦後が、戦中より酷い訳がありません。どんな物語でも争いの後は、平和と決まっているのです。

人類滅亡? ないない。

悪い知らせ

しかし、悪い知らせもあります。

特に我々日本人にとって、非常に重大な意味を持つちます。「海賊」が滅ぼそうとしているのは「ドイツ帝国」のみならず「大和帝国」は、彼らの主要な攻撃目標だと考えられます。

とは言え、彼らの狙いは、日本国民の命を取ることではありません。

ある民族を解体 すための第一段階は、その記憶を消すことだ。その書物、文化、歴史を破壊する。それから別の者が新しい本を書き、新しい文化を製作し、新しい歴史をこしらえる。やがてその民族は自分が何者であるか、何者であったかを忘れはじめる。

『笑いと忘却の書』 ミラン・クンデラ

文明が記録によるものだとすれば、文化は私たちの記憶によるものだと言うことが出来るでしょう。「海賊」の目的は、私たちに日本を忘れさせることです。

しかし建築に対しては、もうひとつの戦争がつねにおこなわれてきた。それは敵の民族や国家を支配し、脅かし、分裂させ、完全に根絶させる手段として、彼らの文化遺産を破壊することだ。

『なぜ人類は戦争で文化破壊を繰り返すのか』

文化破壊。それは、「海賊」による「国家」に対するテロです。

現場近くの飲食店の女性従業員は「外に出たら小屋が燃えているのが見えた。首里城の火災があったばかりなので、とても怖かった」と話した。女性によると、駐車場は当時、多くの観光客でにぎわっており、火災で一時騒然とした。

白川郷で火災、小屋燃える 合掌造り集落被害なし 日本経済新聞

同2019年の4月、パリのノートルダム大聖堂も炎上しました。80年前の下記の事件も含めて、犯人は全て同じではないですか? それはもちろん、海賊です。

あるドイツの新聞は、一九四三年六月のケルン空襲による大聖堂の損壊を「ヨーロッパ文化に対するイギリスの暗殺行為」と報じた。

『なぜ人類は戦争で文化破壊を繰り返すのか』

そして、もっと悪い知らせが、この『なぜ人類は戦争で文化破壊を繰り返すのか』に書かれていました。

数秘術者はそこになんらかの符合を見るかもしれない。第二次世界大戦前夜のドイツの「水晶の夜」は、一九三八年一一月九日にはじまった。一九八九年の同じ日、ベルリンの壁が崩壊した。四年後のその日、ボスニアの古都モスタルで、オスマン帝国時代からの石橋スタリ・モストが、クロアチア兵の砲撃によってネレトヴァ川に崩れ落ちた。 そして、そう、次はニューヨークの九月一一日が来る――もちろん月と日は逆さまだが――この数字の組み合わせは破壊の日を指し示しているように思える。こうした偶然の一致が起こるのは、建築や記念建造物を意図的に、かつ意味を持たせて破壊するのが通例になっているからである。

やはり、それらすべてを偶然の結果だと考えられるのは、頭が正常だからではなかったのです。つまり、それは3.11をテロだと考えるのは妥当だということを意味します。なにせ、それは通例なのですから。

私を忘れないでください

先の世界大戦で被破壊の中心は、ドイツと日本でした。

空襲はヨーロッパと日本で続いた。アメリカ による空襲は東京をはじめとする都市部を壊滅的に焼き尽くし、何十万人もの人々が命を落とした。

ドイツに投下された全爆弾の約八〇パーセントが一九四五年に投下された。ドイツでは、ドレスデンが戦争末期の攻撃の大きな犠牲となった。

ドイツの皇帝と日本の天皇、その配下に位置する貴族たちが邪魔だったからです。

イギリスでは現在も貴族院が存在し、貴族たちが政治に一定の影響力を及ぼしている。ところが日本では、敗戦によって貴族院が廃止され、華族はその地位を失い消滅した。…

イギリスの貴族が生き延びて、日本の貴族が滅びたのはなぜか――そのメンタリティーの決定的な違い デイリー新潮

日本の記憶を外敵の侵略から守るべき立場にあった貴族たちは、その力を持たず、自ら過ちを犯す結果になりました。

藤田から見れば、戦犯として捕らえられることを嫌い服毒自殺した近衛も、戦犯として捕らえられた木戸も、戦前から戦中にかけての時期に「君側にあって百難を排しても正しきを貫」いて、天皇を支えなければならない立場にいたはずであった。それにもかかわらず、二人とも政府や世論に迎合し、最悪の事態を招いてしまったと、藤田は内心忸怩(じくじ)たる思いであった。「余りにも人間的に弱く〈中略〉気力に欠けた一貴族の姿」を藤田は木戸に見ている。

それは、庶民を力で抑え込むイメージとは大きく異なります。しかし、以前の記事でも書いた通り、弱い支配層だからこそ、彼らは歴史上稀に見る長期に渡る存在になったのです。

藤田はこう述べる。「木戸内府については、やはり“貴族”であったと思う。当時の習慣として、何がなくても自然と他人に敬われていた“貴族”であったことが、木戸内府の性格、内大臣としての宮中での仕事に反映していたのだ。

いつしか庶民からの尊敬をすっかり、海賊製のテレビとネットに奪われてしまい、ここ最近では、日本貴族界のトップであった安倍晋三を、公衆の面前であっさりと殺されてしまいます。

弱いこと、この上なし。こんなことで、最強の「海賊」から日本を守ろうなど、笑止千万。

このようにして、長い目で見れば律令時代からおよそ1300年にもわたり続いてきた日本の「貴族」は消滅した。

いや、しかし、それは否です。彼らは決して滅んでなどいません。

近衛文麿(1891~1945)やその親友で内大臣として昭和天皇を支えた木戸幸一(1889~1977:侯爵木戸孝正の長男)などは、貴族的「先手論」と呼ばれる手法を得意とした。すなわち、ある時代の方向性を先取りすることにより、その流れに沿いつつそれを自分たちにとって好ましい方向に変えていこうとする手法である。彼らは華族のなかでも「革新派」と呼ばれ、平等主義を唱えるエリートたちだった。

彼らは先の大戦の過ちを大いに反省し、敵が同じ手法を繰り返し用いていることを見抜いています。得意の「先手論」は、ヨーロッパの貴族より遥かにいい戦いをしているようです。

彼らの守るべきもの、それは日本の記憶。

私の勘はただしかったと感じています。2020年のパンデミック勃発後、何かの力が日本を守る方向に働いていることを感じ初めます。それは一個人を超えた力、しかし当然ながら、超自然的な物などではありません。

それは、天皇家だったのです。日本の保守派とは右派ではなく、天皇派のことです。それは外国のテロリストから、日本の文化を守ろうとする力だったのです。

ただし、勘違いしてはいけないのは、天皇が守ろうとしているのは、国民の命ではないということです。

彼らが守ろうとしているのは、日本人の心の中の日本の記憶なのです。

それはつまり、自分たちの存在を守ることだと考えれば、天皇を神格化する必要もないでしょう?

だって、好きな人たちに自分の存在を忘れてほしくないと考えるのは、人間ならば当然のことではないですか。彼らは、人間として当然のことをしているだけ。私が気づいたことは、特別な事でもなんでもないのです。

※ちなみに題名と記事中に使った「千日戦争(ワンサウザントウォーズ)」とは・・

本シリーズの最強クラス聖闘士である黄金聖闘士同士がぶつかりあった際、双方のあまりの強力さ故に長時間の膠着状態になることを指す。

(中略)

将棋などで同じ局面が繰り返し現われ決着がつかなくなる「千日手」という用語からの派生であろう。

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