緊急事態宣言が延長されることが確実になりましたね。私はこれに対しては、世間はもっと怒るべきだと思いますよ。だって、ずっと書いてきた通り、無期限の活動自粛の強要は「死ね」と言われているのと一緒ですからね。

繰り返しになりますが、経済とはお金儲けのことではありません。それは、私たちの衣食住の流れのことです。上から目線で書かせてもらうならば、この嘘にはさすがに世間の皆様も気が付き始めている気がします。

しかし、私がもう一つ指摘したい世間の皆様の大きな勘違いは、「補償」に関してです。これね、出来ません。無期限の自粛では、決して出来ないんです。

イギリスとドイツの補償は素晴らしいじゃないかって? いえ、私に言わせれば、それは詐欺です。

世界のコロナ補償

まずは、みんなが日本に比べて素晴らしいと思っている世界の補償を見てみましょう。

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないヨーロッパでは、ほとんどの国が外出制限を実施し、多くの店舗が営業できない状態が続いています。各国政府は打撃を受ける経営者や働く人たちの損失を補う対策をとることで感染防止策への協力を得ようとしています。

経営者や働く人の損失補う対策 欧州では 新型コロナウイルス NHK就活ニュース

リンク先では、各国の補償を見比べることが出来ます。特にイギリスとドイツが素晴らしいと評判ですね。イギリスなんかは、80%の賃金補償をするそうです。

しかし、冒頭に書いた通り、私はその制度が素晴らしければ素晴らしいほど、詐欺であると考えています。その理由は子供のような疑問を解いていくことで見えてきます。

いったいお金はどこからやって来るのか

補償しろ補償しろってみんな叫んでますけど、そのお金がどこから来るのか、ちゃんと考えているのでしょうか。多分、考えてないですよね。税金ですか? だったら、私たちのお金ですね。自分のお金で困っている人を助けようというその心がけは感動的ですらあります。

しかし、実態はそうではありません。

なぜなら、先進国のほとんどは、財政赤字だからです。黒字国はドイツとノルウェーだけと言う状況です。補償に使える税金はどこもほとんど、もしくは全くありません。

ちなみに2019年のドイツの財政黒字は135億ユーロでした。で、ドイツのコロナ対策が総額いくらかと言うと、

ロイター通信は同日、追加予算を含む経済対策の規模は全体で「7500億ユーロ(約90兆円)を上回る」と報じた。零細企業や個人事業主への支援のほか、企業の資金繰り支援を行うドイツ復興金融公庫への信用供与も盛り込まれる。

さらに「経済安定ファンド」を設置し、企業の債務を最大4000億ユーロ保証するほか、経営が危うくなった大企業への出資などを進める。信用不安が広がって企業破綻が連鎖する事態を避け、ドイツ経済への悪影響を最小限に食い止める。

ドイツ、追加予算18兆円規模に 借金ゼロは棚上げ 日本経済新聞

あらら、桁が違いましたね。では、そんな膨大な額をどうするのかと言うと、

ドイツでは基本法(憲法)で均衡財政が義務付けられており、新規国債の発行は国内総生産(GDP)の0.35%までしか許されていない。ただ、自然災害や国が制御できないような緊急事態の場合には例外が認められており、今回はこの規定を適用する。

緊急事態だから、それまで御法度だった新規の国債を発行して調達しようと言うんですね。それでもって、

欧州最大の経済大国で信用力の高いドイツが財政出動に動いたことで、欧州のほかの主要国も追随する可能性が高い。欧州中央銀行(ECB)は18日の緊急理事会で国債などを年末までに7500億ユーロ(約90兆円)追加購入すると決めており、債券市場での金利への上昇圧力を抑える方針だ。

中央銀行がそれを買うってさ。つまり、補償の実態って「紙を刷って配ります」ってことです。これがすばらしい補償の本質。皆様、目を覚ましてください。紙で人が救えるはずないでしょ! だから、私はこれは詐欺だと言っているのです。そして、これが今回の記事で最も伝えたいことです。

紙幣と富を混同してはいけない

紙幣=富と考えてはいけません。そんなことは知っているよ、と言われそうですが、テレビだけを見ているような人、つまり、恐らく国民の半数いや、7,8割くらいは、それが分かっていないのです。

そんな彼らが世論を作っていると言うのは、現実です。

富を本当に分かり安く例えるとするならば、それは「コメ」です。

今は、経済活動を止めています。私たちが、冬眠出来るならば、何の問題もなかったのです。しかし、私たちは動かなくても米を食って、う〇こに変えなければなりません。そのう〇こが食べられるならば、何の問題もなかったのです。いえ、つまり何が言いたいかと言うと、コメの蓄えがどんどん減っていますよね、ということです。

そこに紙幣、つまり「お米券」を大量にばら撒いたらどうなります? コメの争奪が激しくなるだけですよね?

ドイツのやっていることはそれですね。コメを生産させずに、新規に「お米券」を刷って国民に配り、それを「補償」だと豪語しているのです。

そりゃ、お米券が無くなった人の目先は助かりますよ。でも長期的に社会はどうなるでしょうか? そこには危険がいっぱいです。ね、これは詐欺でしょう?

無期限財政拡張するとどうなるか

中野 そこまで極端でなくとも、政府が財政赤字を拡大しまくったら、大きな問題が生じます。たとえば、政府がさかんに国債を発行して公共投資をやり、投資減税や消費減税をやったら、需要が拡大して、供給力を超えるので、インフレになります。それにもかかわらず、公共事業をやりまくり、ついでに無税にしたら、おそらくインフレが止まらなくなり、ついにはハイパーインフレになるでしょう。

 インフレとは物価が上がることですが、裏返せば、貨幣の価値が下がることです。つまり、ハイパーインフレになれば、お札はただの「紙切れ」になってしまいます。いくら政府に通貨発行権があっても、その通貨が無価値になってしまうのですから、ハイパーインフレはさすがに困ります。

 だから、私は、このインタビューの冒頭(第1回)でこう言ったんです。「自国通貨発行権をもつ政府は、レストランに入っていくらでもランチを注文することができる。カネの心配は無用。ただし、レストランの供給能力を超えて注文することはできませんけどね」と。

ダイヤモンド・オンライン

経済評論家の中野剛志氏は、供給を超える通貨発行を行えば、ハイパーインフレに陥ると言います。さて、今がどういう状況かと言うと、経済活動が止められて、富の供給が極端に制限されています。

そんな中で紙幣が大量にばら撒かれている、導き出される結果は明らかですね。

だから、私はこう書いてきました。無期限補償は出来ず、それは1カ月が限度だから、感染状況によらず期限を切るべきだ、と。

もちろん、実際にヤバイインフレになるかどうかは程度の問題なのですが、今の世界の状況は、私にはかなり危険に思えます。やはり最大の問題はどの国も経済停止の期限を設定していないことです。

ロックダウンの段階的な解除が言われるようになって来てはいるものの、経済活動がきちんと再開されるかは、未知数です。再開すべきとはっきり表明しているのは、アメリカのドランプ大統領とブラジルのボルソナロ大統領くらいです。

しかし、彼らの国でもその実権は各州知事が握っています。

安倍政権の対策は正解だった

さて、もう一つ苦しい現実を皆様に突き付けなければなりません。それは、安倍政権が当初やろとしていた政策は、結果的に正解だったと言うことです。それは全く格好つけのない現実路線でした。

彼らは元から補償に消極的で、緊急事態宣言にも及び腰、可能な範囲での自主的な自粛を呼びかけましたが、結果的にこれは正しい判断だった可能性が高いと言えるでしょう。

前回の記事で書いた通り、現在の数字からも、そもそも日本は決して緊急事態ではありませんし、無期限補償は、そもそも無理ゲーなのです。

愚策ですらない狂気を、彼らはやろうとはしなかったのです。

しかし、安倍政権は失策を次々とやらされ、主導権を知事に奪われました。

“アベノマスク”とも揶揄されている安倍政権のマスク配布政策について、25日のABEMA『NewsBAR橋下』に出演した橋下徹氏が疑問を呈した。 

安倍総理の判断について橋下氏は「“必要だったから助かった”という人もいるかもしれないけれど、僕の感覚では、ほとんどの人は“何やってんだ?”と思ったのでは。僕は大きな方向性では安倍政権に賛成することが多いし、大阪の改革にも協力して下さったことには大いに感謝している。だけど最近、最後の決定をする時に、どうも官僚が決めたことにそのままオッケーを出している感じがする」と推測。

ニコニコニュース

そして、何も分かっていない世論の圧力により、

「収入が減って厳しい状況に置かれた世帯に、一律30万円を支給する」

という弱者救済策から、「一律10万円給付」というまったく意味のないどころか危険ですらある、単なる紙吹雪策に転換させられました。紙幣の支給は、差をつけるからこそ富の持ち分が調整され、弱い人が助かるのです。

気を付けてください。あなた方、誰かに騙されてますよ。

今回の記事では詳しく書きませんが、「誰か」は最初から国家の破たんを狙っています。

ご紹介した中野剛志さんの記事にこうあります。「自国通貨発行権を持つ政府」、しかし、残念ながら、政府は通貨発行権を持っていません。持っているのは、民間の銀行です。

「誰か」、世界的な詐欺事件の犯人は、そこに潜んでいるのです。